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案山子とラケット譚

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映画『案山子とラケット』譚 http://www.kakarake.com/ 2015年4月4日 全国ロードショウ!
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2015年3月の記事一覧

村の仙人

村の仙人

鏡八重という女性は、とてもチャーミングな女性だ。島で生まれ育ち、その土地に根を張って今まで暮らして来た。夫を亡くしてからは一人暮らしだが、山菜を採ったり、宅配の惣菜を注文したり、挙句は災害時の広報スピーカーまで設置して、人生を楽しんでいる。

八重婆から見れば、島を襲う高齢化、過疎化への対応に、手をこまねいている若者たちを、焦れったい思いで見ていたに違いない。しかし、村人たちも日々の生活に精一杯で

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魂の鼓動

魂の鼓動

「これが、ソフトテニス選手の魂の鼓動だ!」

西園寺馨にソフトテニス・プレイヤーの達観したセリフを言わせたい。そんな意見が出て、監督とプロデユーサーと三人で新宿の喫茶店に集まった。

柳葉敏郎さん扮する西園寺は、実業団のコーチを務めるソフトテニスを極めた存在。そんな人が語る座右の銘は、どんなモノだろう。プロデューサーは、ソフトテニスの醍醐味はボールの音ではないかと言った。コートで弾むボールの音は、

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やるしかないよね?

やるしかないよね?

ソフトテニスにトラウマを抱えていた亜季は、家庭の問題もあって傷心し、父が住む島へと移り住んだ。学校で出逢った珠子に巻き込まれる格好で、ずるずるとラケットを握る破目になる。

やがて、亜季はトラウマと向き合う覚悟をする。

「やるしかないよね?」人生からも逃げていた亜希は、ソフトテニスを始めることで新たな一歩を踏み出した。

経験者に話を訊くと、コートの上では対戦相手ではなく、自分との戦いだという事

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泥だらけの青春

泥だらけの青春

「作っちゃおう、コート!」珠子が突拍子もない事を言い出した。

珠子は東京に行きたいが為に、亜季を誘ってインターハイを観戦に行き、その魅力にノックアウトされる。最初は亜希からソフトテニスを教えて貰うだけの約束だったが、練習場がないためコートを作ろうと珠子が提案した。

亜季と珠子は、真夏の陽射し照りつける校庭のグランド整備を始める。汗にまみれ、泥だらけになって、草を毟る中で、亜季のソフトテニスへの

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一生の宝物

一生の宝物

亜季と珠子は、廃校のグランドをソフトテニスのコートにしようと、草毟りを始めた。体育館に有った万国旗をネット代わりにして、コートもどきを作り練習を始める。

それを見守っていた村の仙人こと八重婆が声を上げ、村長にまで談判する。やがて、亜季と珠子の情熱に突き動かされた大人たちが、コート作りを手伝うようになる。そして、少女たちだけでは決して成し得なかった、本格的なソフトテニスのコートが完成した。

「努

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