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どんぐりの背比べ〜喫煙者にもグレードがあるって話〜

こんにちは。
今日は生憎の雨ですね。
曇り空を見ていたらタバコの煙を想起してしまったので、今日はタバコにまつわる話を書いていこうと思います。

喫煙家ボビーの存在

私の知り合いに、妙な哲学を持ったボビー(通称)という男性がいます。
とあるバイト先で一緒に働いていた仲間だった彼は今でこそ安定して働いていますが、ほんの数年前まではその日暮らしを謳歌していたどうしようもないダメなやつでした。
アルバイトをしてはいますが、税金も年金も支払わずにポストには常に督促状が居座っているような。

フリーターとはいえそこそこ出勤もしておりある程度稼いでるはずなのに常に「金がない」という彼のことを、貧乏からもじってボビーと呼んでいました。
本人とお酒を飲んでいた時に決まった呼び方なので、決して陰口ではないことだけ言っておきます。

そんな彼の貧乏エピソードは枚挙にいとまがないのですが、ある日たまたま触れた彼独自の哲学について書いていきたいと思います。

シケモクにもグレードっちゅうんはあるんやで

彼は喫煙者なのです。
私自身愛煙家なのでそれをとやかくいうつもりはありませんが、このご時世どうしても周りの目を気にせざるを得ないのが辛いところです。
たばこ税もだんだん上がり、私が親のお使いで買いに行っていた時は260円とかだったのが今では500円以上もするようになってますね。
環境も財布にも厳しい喫煙者、すっぱりやめられたらどれだけ楽なことか。

まぁそんなことを言ったところで何が変わるわけでもなし。
とにかくボビーは喫煙者でお金がないことからこのお話は始まるのです。
シケモクをご存知でしょうか?
喫煙者の方々は当然ご存知だと思いますが、非喫煙者の中には知らない方もいるのではないでしょうか。

シケモクとは
1 湿ったたばこ(「湿気」ている「もく」(たばこ))。地面に落ち(て湿気ったような)たものや、他人の吸い殻を拾って吸ったり、(節約のために)少し吸っては消してまた吸う、といったたばこ。
2 吸い殻に残ったたばこの葉をいくつか集め、新たな紙で巻きなおした再生品のたばこ。

ウィクショナリー日本語より引用

2番目のような使い方もあるのは知りませんでしたが、まぁ一般的には吸い終わったタバコのことです。
言うなれば中古のタバコですね。
タバコを買うのに十分なお金がない場合、シケモクに頼ることがあるらしいのですが、ボビーは常日頃からシケモクを探し求めるような人でした。
知り合いからタバコをもらうようなことはしない人なのですが、シケモク拾いは躊躇なくやります。
彼のあらゆる面での基準が私には不可解でした。

そんな、シケモクを愛したボビーですが、ある日ふと、「シケモクにもグレードがある」と話し出したのです。
彼のいうことには、シケモクはまず
・人の吸ったシケモク
・自分の吸ったシケモク
の二つに大別されると言います。
「人の吸ったシケモクはよりグレードが低い」

一度吸った後のタバコを吸い直している時点で大差ないだろうと思いましたが、彼の瞳に妙な熱を感じたので遮らずに聴くことにしました。

シケモク哲学

「人が吸った後のシケモクはな、知り合いが一緒に吸ったやつなら知ってる人間のやし、いつ吸ったかもわかるからまだマシや。
でも公園とか道端に落ちてるようなやつはな、どんな奴が吸ったかもわからん、いつ捨てられたものかもわからんしやな、拾うにしても何でもかんでもっちゅうわけやないんや。
状態が綺麗なやつでも銘柄によって拾ったり拾わんかったりやし、口紅ついてるやつなんかは人の存在が感じられてよう吸わんのや。」

聞いてもないシケモク講義が始まりました。
私は何を聞かされているのでしょうか。
そう思いながらもこう言った類の話を好むタチのため、つい聞き入ってしまいます。

「自分で吸ったやつはその点全てにおいて勝るんや。
吸ったのは自分やし、いつのやつかもわかる。
何より消し方やな。
シケモクでも消し方によってうまさが変わるんや。
そこらに落ちてるやつはそれが解っとらんのやな。
ええか、シケモクでもうまく吸うためにはな、火を消すんじゃなくて消えるようにするんや。
無理やり擦って消したら不味くなる。
せやからなるべく優しく消すようにするんや。
理想は百均なんかで売ってる穴に突っ込むタイプやな、あれは空気が入らんようになってるから自然と消えるおかげでシケモクも旨く吸えるんや。」

まず、あなたのシケモクのためにみんな捨ててるわけじゃないんですよと言いたい。
何目線なのだろうか。
そしてこの話をするということは、私のシケモクに狙いを定めたが故の講義ということなのだろうか。
普段から予想のつかない言動に笑わされてきましたが、ことここに至っては居た堪れない気持ちになりました。

「もう一つはな、加熱式タバコってあるやろ?
あれのシケモクは別に火つけたわけちゃうからいくらか吸いやすいんや。
iQOSのはあかんな、gloはメンソールのやつはいける。
ploomのやつが基本外れないわ。
もちろん銘柄にもよるんやろうけどな、今んとこploomが吸いやすいな。
あれは人の吸ったやつでも吸い殻自体が綺麗やから紙巻きに比べて選り好みせんで済むんや。」

この人はとうとう本来の吸い方から逸脱した行為まで始めていたのか、と当時はまさに言葉を失いました。
まだ詳細なデータがあるわけではありませんが、本来火をつける吸い方は想定されていないため、加熱式タバコのスティックに火をつけて吸う行為はしないでおきましょう。

「整理するとやな、一番いいのは加熱式タバコの自分が吸った後のやつ。
その次は人の吸った加熱式タバコ。
で、自分の吸った紙巻き、人の吸った紙巻きって順にグレードがあるわけや。
お前もシケモク吸うなら覚えとくといいわ。」

私はシケモクについぞ手を出したことはありませんが、彼はまさかの親切心でシケモクレクチャーを施していたようです。
そんなこと言われても全く魅力を感じませんでしたが、彼なりの哲学──というか単に好き嫌いですが、そう言ったものを持っていることは容易に窺うことができました。

彼とはほぼ同時期にアルバイト先を退職し、それぞれの道を歩んだのですが、今でもふと思い出した時に連絡を取っています。
何かにつけインパクトのある彼のことをこれからも思い出すことがあると思いますので、また折に触れて書くこともあると思います。
最後に会ったのは2年ほど前ですので、また近いうちに会いにいきたいものです。

今日の記事はここまでです。
くだらない書き散らしですが、皆様の暇つぶしの一助となれば幸いです。

それでは。

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