関西府県リーグ決勝大会を久しぶりにガッツリ見たのでガッツリ語ってみる、というお話
おそらくなんですが…、関西府県リーグ決勝大会を全節見たというのは初かもしれません。
関西府県リーグ決勝大会とは関西2府4県の各1部リーグの上位2チーム、計12チームが翌年の関西リーグ2部昇格を賭けて争う、地域CLの関西版です。毎年11月下旬、もしくは12月初めから翌年1月上旬まで続く大会です。
今年J3に参入するFC大阪が3度目の挑戦でやっと関西リーグに昇格した、その3回の挑戦全て見ているという、いつからか覚えてないくらい前から見ている大会ながら、なかなかスケジュールが合わない大会でもあるのです。各週日曜日開催なんですがら11月下旬はJFL最終節や地域CLが、12月に入ると今度はインカレやプレミア参入戦などが被ってきます。さらに会場も各県持ち回りで開催され、なかには非常に行きにくい会場もあったり(この時期行きたくない会場も…笑)するので、なかなか何試合も見ることができなかったのです。
しかし今年は、JFLの最終戦は大会前に終わっていて、さらにインカレは近年では平日開催の1回戦に照準を合わせており、この時期の週末の予定はなし。例年ならこの時期佳境を迎える関西リーグのカップ戦であるKSLカップもここ3年は開催されておらず、その上プレミア参入戦は夏場に早々と「ない」ことがほぼ確定していたので「1次リーグ全週フリー」という奇跡が起こったのです。さらに今年の我が兵庫県の代表がなかなかもってレアなチームだったので、まずは1次リーグをコンプリートしてやろう、ということになりました。
今年の関西府県リーグ決勝大会の出場チーム。滋賀県からは、専門学校大会の常連かつ優勝回数最多を誇るルネス学園と、選手はもちろん、監督も現役学生が努めるびわこ成蹊スポーツ大学のサブチームのびわこ成蹊HIRAという過去に関西リーグに所属していた「いつも」の2チーム。京都府からは府県決勝の常連ながら1度も関西リーグに昇格を果たせていない「不屈の京都府王者」京都伏見蹴友会と、昨年関西リーグから京都府リーグに降格してしまった「闘う公務員」京都市消防局。大阪府はジュニアやジュニアユースのチームを持ち、しっかりと地に足を付けた運営をされているFC Lazoと、阪南大学サッカー部のサブチーム、関西リーグ所属の阪南大クラブと同様、社会人登録チームであり大クラの次の存在、トップチームに優秀な人材を供給する「阪南のタレント供給源」阪南大Revolution。昨年エベイユとディオスまで関西リーグに昇格し飛車角はおろか、金銀桂馬香車まで抜けたのではないか?と個人的に卑下していた我が兵庫県からは、大学生中心から徐々にメンバーを固定化、着実に力をつけてとうとう県優勝を果たした「ディオスがいなくても西宮には俺らがいる!」西宮の雄OBRIGADE、結成当初は同じ高校卒の仲良しチーム、県リーグ昇格からは多様なメンバー構成となった「神戸市西部からの刺客」FC猛獣王の2チーム。奈良県からはトップチームのJ3参入との同時昇格を狙う「Jを目指さない方の奈良クラブ」奈良クラブソシオス、関西リーグ2位と躍進したトップチームFC飛鳥に追いつけ追い越せ!「もうセカンドチームとは呼ばせない!」ポルベニルカシハラNEXT。アルテリーヴォ以来長らく関西昇格のない和歌山県からはいつもの2チーム、スポーツクラブ「ソラティオーラ和歌山」のトップチーム、1971年創設以来育成年代もしっかり育てている和歌山の古豪海南FC、初芝橋本のOBチームに端を発し、アルテリーヴォよりも先に関西リーグに昇格した誇りを胸に関西再昇格を狙う和歌山紀北蹴球団の計12チーム。これらのチームが4チームづつ3ブロックに分かれてリーグ戦を戦い、各1位と2位の最上位チームによる決勝トーナメントを行います。年明けの決勝の勝者が関西リーグ2部昇格、敗者は翌週に開催される入替戦に臨むこととなります。
1次リーグは11/27、12/4、12/11の3日間、決勝トーナメント1回戦は12/18、年始に開催される決勝は1/8の開催。1次リーグの3節と決勝を合わせて7試合、見たチームはのべ11チーム、それら全てについてつらつらと書き連ねたいと思います。最後までお付き合いください(笑)
11/27@洛西浄化センター公園アクアパルコ洛西
京都伏見蹴友会1-2海南FC
奈良クラブソシオス1-2阪南大Revo
1次リーグの行く末を大きく作用するであろう初戦。目当ての兵庫組は翌週に回して、まずは京都ラウンドから。
第一試合。試合登録メンバーが12人とギリギリの布陣で臨んだ京都伏見蹴友会が開始早々に先制。その後しばらくはゲームを支配したが、前半中盤過ぎから海南FCがボールの支配する時間帯が長くなる。
後半もその流れが続き、海南FCが追いつく。左からの崩しに走り込んでゴールに流し込んで逆転。伏見蹴友会は反撃を試みるもベンチに1人しか交代要員がいないのでどうすることもできず、海南FCの逆転勝利となりました。
第二試合は奈良クラブソシオスと阪南大Revolutionの1戦。奈良クラブソシオスですが、以前は奈良クラブのセカンドチーム扱いだった記憶があるのですが、今はどうなってるのだろうか…。奈良クラブからなんらかの運営資金が出てるのか?それとも「名義貸し」の完全独立採算制クラブなのか?詳しい人がいたら教えてください。
相手の阪南大Revolutionは昨年まで「阪南大パニックス」という名称で活動していました。「Revolution」は阪南大サッカー部のスローガンなので、チーム名としては丁度いいんじゃないでしょうか?
前半から積極的にゴールを奪いにいく阪南大に対し、奈良クラブは前半は凌いで後半勝負に出る作戦を敢行。後半は奈良クラブも積極的に攻撃に転じます。そんな嫌な流れを、阪南大は交代選手が断ち切ります。10番石田のミドルが決まると、ショートカウンターからスタメン組の塩見が追加点。後半39分に1点返されるも逃げ切り、阪南大Revolutionが勝利しました。
まずは1試合目から。
京都伏見蹴友会。この大会の常連ではありますが、今回に関してはとにかく選手が集まらなかったですね。この試合は12人、翌週の試合は11人とほほギリギリのメンバーしか来れない状態。それでは勝つのも困難ではなかったかと思います。ジュニアのチームだったり、サッカー教室を積極的に開催したりしていない単独の社会人チームなので、やはりメンバー集めに苦労してのかもしれません。歴史あるチームだけに、今後もしっかりと活動していってもらうことを期待しています。
海南FCですが、対照的にこちらはNPO法人化したスポーツクラブとして活動しています。他府県と比べてややレベルが落ちるとはいえ、和歌山県内で地道にしっかりした活動をされているだけに、近いうちに関西リーグでプレー出来ることを期待しております。
2試合目の奈良クラブソシオス。セカンドチームとしての役割は既に終えたのではないかと思っているのですが、今はむしろ奈良県のサッカーの底上げを担う存在になりつつあるのではないでしょうか。地元の選手や、奈良出身の選手、または奈良県内で働いている社会人選手の受け皿となることはとても大事です。社会人でサッカーを続けようと思うと、小学・中学時代に所属していたクラブのトップチームなどといった、小さい頃から縁があるなどの繋がりがないとなかなかチームが見つからなかったりします。最近はSNSなどで選手を募集するチームが増えてますが、奈良クラブソシオスのような「縁がない」選手でも気軽に受け入れてもらえそうなチームが増えると、社会人になってもサッカーを続けやすい環境になっていくのではないかと思うので、今後も精力的に活動してもらいたいです。
阪南大Revolution。2部に陥落して3年経つ先輩格の阪南大クラブにライバル視しているかどうかは別として、チーム内では否が応でも意識しているかと思います。実力的には大クラとも遜色ないと思いますが、トップと比べるとやはりその差はまだ大きいようでした。むしろ気になったのは、今の大クラもそうですがやや全体的に大人しい印象でした。遠慮してるのか、それとも自身がないのか、もう少しガツガツ行ってもいいのではないかと思いました。チーム全体、もっと積極的に試合を運べれば楽な試合になったのかもしれません。
12/4@三木防災公園陸上競技場
OBRIGADE 8-0 京都市消防局
FC猛獣王 4-2 紀北蹴球団
第2節は兵庫県ラウンド。兵庫1位のOBRIGADE、2位の猛獣王が、それぞれ関西リーグ復帰を狙う京都2位の京都市消防局と和歌山1位の紀北蹴球団との対戦。この時期は底冷えするのであまり行きたくない(笑)三木防災公園での試合となります。
第一試合のOBRIGADEvs京都市消防局。京都市消防局は登録メンバーが試合開催ギリギリの11人で臨む態勢。シフトの調整がうまく出来なかったのか、それとも都合のついたメンバーがなんとか集まったのか、そんな感じでした。1トップに布陣した21番の選手は登録はキーパーでした(関西リーグ時代はキーパーとフィールドの兼任だったようです)から、おそらくそういうことなんでしょう。
そういう相手なので、序盤からOBRIGADEが猛攻。前半こそ3失点(それでも多いが…)に抑えたものの、後半は完全に気力体力も消耗し切ってしまい、関西復帰などと言ってられない0-8という大敗を喫してしまいました。
続く第2試合。兵庫県2位のFC猛獣王が開始すぐに先制。その後もプレーの爪の甘さは目立つがボールを支配する展開。やはり和歌山県の1位と兵庫県の2位とではそれくらいの差があるのかな?と思った矢先に紀北蹴球団の超ロングシュートが決まって追いつく。追いついたとはいえ、優勢に試合を進める猛獣王がその後2点追加して前半終了。後半も早い時間帯に追加点を決めた猛獣王が紀北蹴球団の反撃を1点に抑えて4-2で勝利。共に初戦を落とした兵庫県勢は来週に1次ラウンド突破に希望を繋いだ。
1試合目のOBRIGADEは県リーグ昇格した頃は大学生中心の構成で、卒業即退団みたいな選手も多く、なかなかチーム力が安定せずに1部と2部とを行ったり来たりしていました。しかし近年では、卒業後もチームに残る選手が増えてきたようで、そのおかげでチーム力も安定。1部定着し始めて、今回の府県決勝初出場となった。翌週の試合でも、県リーグのチームとは思えないくらい、パスやフリーランの質の高い、いいサッカーを展開していました。今年のリーグは降格してくるエベイユとディオスを迎え撃つに、十分な実力は備えていると思います。降格組がいても府県に出られるようになって初めて、兵庫県の強豪の一員に名を連ねることになるでしょうから、今年の活躍に期待したいところです。
一方、全くいいところなく大敗した京都市消防局。関西リーグに昇格した年からコロナ禍が始まり、ただでさえ激務の上に、さらなる激務が重なる不運。そんな中でも2年間いた関西リーグに復帰したいと選手たちは強く思っていたのではないかと想像します。しかし現実はそう甘くなかったようです。関西リーグだとシフトの融通も多少効いたかもしれませんが、府リーグではそうも言ってられません。思うように選手が集まらない、そんな環境でも試合をしないといけない。現に京都府2位扱いとはいえ、リーグ戦は4位通過。上位4チームによるリーグ戦で辛うじて2位に滑り込んでの今回の府県。やはり厳しかったのかな?と思います。とはいえ、地力はあるはずなのでこれに懲りず来年も府県の舞台で待ちたいと思います。
2試合目です。兵庫県2位のFC猛獣王。猛獣王の元々は高校の同級生で作ったチームらしく、県リーグに上がるまでは本当に身内だけのチームだったらしいです。そんなチームが県リーグに昇格してから、いろんなルートから選手が集まるようになり、自然とチーム力もアップして、いつのまにか1部に定着。そして今年、こちらも初の府県決勝の舞台。まだまだプレーの詰めの甘さはありますが、それでも存分に実力を発揮したのではないでしょうか。このチームも大学生が多いようで、去年の今頃は「選手が集まりません!」と悲痛な叫びをSNSに発信していたとは思えない成績。こちらも今年のリーグが正念場となるのでOBRIGADE同様、活躍を期待したいです。
和歌山の強豪、紀北蹴球団。和歌山のサッカーのレベルが他の近畿とはやや劣るせいか、この大会では「アンパイ」扱いされがちですが、実際はそうでもないのです。ただ、やはり経験の差やリーグの強度の差はこういう大会では致命傷で、そこが今後の課題になるのかな?と思われます。選手の中にはアルテリーヴォに在籍していた選手もいるので、アルテリーヴォがJFLに昇格した暁には社会人の受け皿として期待されるはずです。その時までしっかりと実力を維持、高めていってもらいたいチームです。
12/11@ルネス学園グラウンド ルネスフィールド
びわこ成蹊HIRA 3-3 FC猛獣王
ルネス学園SC 5-1 OBRIGADE
決勝トーナメント進出チームが決まるこの日。同一グループ同時刻キックオフということで、いろんなドラマが生まれることでしょう。
第一試合は共に1勝1敗。今日勝って別会場の試合結果によっては勝ち抜けが決まるかも?という対戦。しかも1位のFC Lazoは得失点差でも両チームを上回っているため、1点でも多く差をつけて勝たないといけない。そんな苦しい状況の中、試合は序盤から学生チームであるHIRAが攻勢に出ます。開始8分の先制ゴールから前半はHIRAが優位に試合を進め、前半は2-0とHIRAリードで折り返します。
後半は相手のリズムが掴めてきた猛獣王が、学生相手に牙を向きます。2分に1点返すと、その後もHIRAゴールに襲い掛かります。後半15分に追い付き、さらにその7分後に勝ち越しのゴール。さらに得点を重ねたいところだが、ここからHIRAの反撃。何とか凌いでいたがAT2分にHIRAが追い付くもそままドロー。共にこの時点でワイルドカードの可能性も消えたため、両チームの一次ラウンド敗退が確定しました。
2試合目は2勝しているルネス学園と、1勝1敗ながら得失点差で大きくアドバンテージを持っているOBRIGADE。共に勝てば1位通過、負ければ他のグループの2位の結果次第、というカード。
試合は序盤から激しい展開。どちらが先制してもおかしくなかった前半20分、ルネス学園10番樽井のゴールで試合が動きます。前半はボールを持ちながらもなかなかシュートまで行けなかったOBRIGADEはでしたが、後半はシュートまで持って行けるようになり、後半18分に同点に追いつく。しかしルネスは、そこから反撃。30分に樽井の2点目で勝ち越すと、さらに樽井は右クロスに飛び込み頭で決めてハットトリック。その後も追加点を入れて、終わってみれば5-1の快勝で、ルネス学園が決勝トーナメント進出を決めた。
それでは、この日見た滋賀県の2チームについて触れておきます。
びわこ成蹊HIRA。以前関西リーグにいた頃もそうだったのですが、選手はもちろん監督と現役の大学生。しかも今年のチームに至っては、全員が1、2年生(もちろん監督も2年生)という実に若いチーム。それだけに勢いに乗れば怖いもの知らずなんでしょうが、劣勢になった時の脆さもあったのかもしれません。現に、前節の試合を見た人とこの試合を見た私とでは、HIRAに対する印象が全く違っていました。チームの好不調の波が激しかったのだろうと推測されます。彼らが来シーズンもこのチームにいるかは分かりませんが、少なくともこの3試合の経験は役に立つのではないでしょうか。彼らの来シーズンの活躍に期待したいです。
一方で決勝トーナメント進出を決めたルネス学園。チーム力というより、この日ハットトリックの樽井くんでここまで勝ち上がってきたのではないかと思います。長年関西リーグを見ていると、たま〜にルネス学園が上がってくることがあります。そういう年ってだいたい、今年の樽井くんのようなスーパーな選手、特にFWがチームを牽引しているケースがほとんどです。ただ残念なことにルネス学園は2年制の専門学校のため、どれだけスーパーな選手がいたとしても、県リーグ優勝→関西リーグ2部優勝(もしくは2位、かつ入替戦勝利)→関西リーグ1部に昇格した年には、そのスーパーな選手は卒業してチームからいなくなってしまうのです。残った下級生だけではとても1部を戦えるだけの戦力ではないケースがほとんどで、結果的は2部降格、さらには県リーグにまで降格してしまうのです。もし今年、ルネス学園が決勝トーナメントも勝ち上がって優勝(もしくは2位、かつ入替戦勝利)したとしても、おそらく同じことが繰り返されるだけかもしれません。結果として、トーナメント初戦で負けたのでそういう悲しい未来は今回は回避できましたが、大学生チームとはまた違った苦しいチーム事情を感じてしまいます。
そんなルネス学園ですが、なかには卒業後にステップアップする選手がいます。最近では、今年から奈良クラブでプレーする酒井達磨です。彼が在籍していた2014年、2015年にチームを県リーグから2年で関西リーグ1部にまで昇格させた立役者でした。その後、彼は徳山大学(現周南公立大学)に編入。そこでも中心選手として活躍、大学卒業後は当時地域リーグだった松江シティFCに入団、ここでもチームをJFLに昇格させる活躍。その後、ヴィアティン三重、FCマルヤス岡崎を経て、とうとう今年からはJリーガーにまでなりました。専門学校卒の選手は大卒の選手以上に卒業後の進路は厳しいのが現実です。そんな厳しい状況ではありますが、彼が活躍することでルネス学園に入学しようと思う選手が増え、その中からさらにトップレベルでプレー出来るような選手が次々と出てくることを期待しつつ、まずはこの日プレーしていた選手たちの1人でも多くが1年でも長くプレー出来ることを願っています。
1/8@ヤンマーフィールド長居
F.C.Lazo 3-4 阪南大Revolution(延長)
1次ラウンドを勝ち抜けたのは滋賀県1位のルネス学園、大阪府1位のF.C.Lazo、同じく2位の阪南大Revolution、そしてワイルドカードで勝ち上がった奈良クラブソシオスの4チーム。12/18に和歌山の紀三井寺で行われた決勝トーナメント1回戦。第一試合のF.C.Lazo vsルネス学園は4-0でF.C.Lazoが、第二試合の阪南大Revolution vs奈良クラブソシオスは4-2で阪南大Revolutionがそれぞれ勝ち、年明けの決勝に駒を進めました。そして、この試合に勝てば関西リーグ2部昇格が決まるという試合は壮絶な内容となりました。
正月休み明けからなのか?それとも昇格の掛かった試合で極度の緊張からなのか?阪南大の動きが硬く、動きの良さが際立つLazoは前半19分に鋭いカウンターから先制点を決める。徐々に動きが良くなってきた阪南大も33分にPKで追いつき同点に。しかし、直後の36分に再びLazoが勝ち越して前半を終える。
後半もまだ動きがぎこちない阪南大に対してLazoは後半開始3分、試合の流れからして決定的と思われる3点目を決める。しかし、ここから阪南大の逆襲が始まります。10分に2人交代してシステムを変更。それが功を奏してのか、徐々に阪南大がLazo陣内での時間帯が長くなる。苦しい展開の中、疲れの見える選手を交代させ、フレッシュな選手を入れることでなんとか必死にゴールを守るLazo相手に、時間だけが過ぎていくという阪南大にとっては実に嫌な流れ。そんな試合のドラマは、アディショナルタイムにありました。
後半途中にゴールネットの修理をしたため、8分と掲示されたアディショナルタイムが2分経過した時、ゴール前の混戦から代わって入った3番佐藤が押し込み1点差。さらに、再開直後のプレーから20番小島が決めて土壇場で阪南大が同点に追いつきます。さらに攻勢をかけるもタイムアップ。決着は10分ハーフの延長戦へ。延長前半は勢いに乗った阪南大が押すもLazoが凌ぎ、後半は逆にLazoが最後の力を絞り切り攻める。そのままPK戦かと思われた後半終了間際の110分、遠目からのロングボールに同点ゴールを決めた小島が頭で合わせる。ボールはキーパーの頭の上を超えてゴールに吸い込まれる。阪南大Revolutionがまさにドラマのような展開で大逆転勝ち、関西リーグ昇格を決めた。
惜しくも決勝で敗れ、関西リーグ昇格は入替戦に持ち越しとなったF.C.Lazo。しかし、レベルとしては関西2部でも十分やれるくらいの力はあったかと思います。特にFWの10番中山やサイドの8番西山、アンカーに位置した5番の佐々木は湖のレベルだと反則クラスの選手でした。しかし、それ以外のメンバーやさらにはベンチにいる控えメンバーのレベルはそう高くはなく、致命的だったのは交代選手が入るたびにサッカーの質がみるみる低下していくことでした。現に、交代選手から流れを一気に変えて同点、勝ち越しまで持っていった阪南大Revolutionとは対照的でした。スタメン11人はさることながら、ベンチメンバーの更なるレベルアップが図られると、怖いチームになると思います。まずは気持ちを入れ替えて来週の入替戦に勝利することを目指していただきたいです。
以上、観戦した試合とポルベニルカシハラNEXT以外の11チームの寸評でした。どのチームも特徴があり、また面白いチームばかりでした。この界隈の方々のこの時期の興味といえば「関社」関東社会人サッカー大会と「東京カップ」天皇杯東京都予選だと思います。しかし「関西府県」も負けず劣らず面白くて熱い大会ですので、関社に飽きたらぜひ関西府県に足をお運びください。損はしないと思います。
P.S.
府県決勝の決勝の翌週に開催されました入替戦の様子も追加しておきたいと思います。
1/15@J-GREENメインフィールド
京都紫光クラブ1-1F.C.Lazo
90分延長なし、引き分けは上位リーグチームの残留というレギュレーション。2ヶ月半ぶりの公式戦で、さらに未知の相手に対して出方を探りながらの入りになったのか、京都紫光は様子見の立ち上がり。一方、勝たないといけないLazoはスタートからガンガン飛ばした入り。そんなLazoが16分、カウンターから10番中山がDFをぶっちぎってのゴールで先制。チームの勢いがそのまま出たような流れでした。
しかし20分も過ぎると京都紫光が落ち着きを取り戻すと、一転京都紫光のペースとなります。防戦一方となったLazoも何とか凌いで前半をリードして終えます。
後半も京都紫光のペース。3分に右からのクロス、合わせたボールに一度は反応したキーパーでしたが、こぼれたところを玉置が押し込み、京都紫光が同点に追いつきます。
しかし、そのプレーでゴールポストと衝突した藤川が治療の為、10分近くピッチを離れることに。追いついたはいいが、不意の数的不利な時間帯が生まれる。しかし、その数的有利の時間をうまく使えなかったLazo。さらに、後半20分には2枚目のイエローをもらった京都紫光30番矢谷が退場。京都紫光は後半のほとんどの時間、数的不利の状態で戦うことになってしまいました。
そこでLazoは、フィードの精度の高い8番西山をサイドバックに下げ、代わりに長身のセンターバックを前線に上げる。10番中山と共にどんどん前線に放り込んでいく作戦を執る。さらにアンカーの佐々木も前線に上げて押し込もうとするも、京都紫光の必死の守りを崩せずそのままタイムアップ。京都紫光クラブが1-1で逃げ切り、関西リーグ残留を決めました。
終わってみたら、Lazoの選手層の薄さが致命的だった試合でした。この試合、交代したのは僅か1人だけ。京都紫光も全ての交代枠を使ってはいませんが、システム変更などで効果的に交代枠を使っていたことを考えると、京都紫光クラブの方が一枚も二枚も上だったの言えるでしょう。来年はレギュラーとベンチメンバーとの実力差を詰めるようなチーム編成が出来れば、関西リーグ昇格も大いに見えてくることでしょう。ひと回り大きくなって、また府県決勝に戻ってきてもらいたいチームでした。
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