アマチュアチームにおけるSDGsについてちょっとだけ真剣に考えてみたお話
社会人のチームが1年で急に強くなったり、また弱くなったりすることって稀なんですよね。たまに、何の変哲となかったクラブチームが突然「今からJリーグを目指します!」とか言い出して、多額のお金が湯水の如く流れ込んだりすれば話は別ですが…(そういうチームが北海道に出現したとかしないとか…)。ものすごく上手い選手、例えばJで代表とかに選ばれるような選手が1人入ったとしても、地域リーグ以上のある程度レベルの高いリーグではそんなに劇的に変わるものでもないように思います。
ただ、例外的にあり得るとすれば学生の社会人チーム。当然ながら在学中しかチームにいないわけですから、卒業すればチームからいなくなります。たまたまものすごく上手い選手が何人か同学年にいたりすると、そういうことが起こり得るかもしれません。てか、関西ではそれが起こり得たわけです(笑)。滋賀のルネス学園がそうです。それも2回!(笑)
1回目は2009年シーズン。この時、卒業後佐川大阪に入った濱田雄太と、今は守山侍にいる梅村エイジという強力FWを2枚擁し、関西リーグ2部2位となり翌年1部昇格しました。が、その2人が卒業してしまった翌年は1部で散々な成績となり再び2部降格し、さらにその翌年には2部でも下位に低迷。入替戦の末、滋賀県リーグに降格してしまいました。
次は2015年シーズン。その前年、滋賀県リーグを勝ち上がったルネス学園。その原動力となったのが、今年マルヤス岡崎に移籍した酒井達磨。彼が1年の時に県リーグから関西リーグ2部へ昇格させたうえに、さらにこの年2位に滑り込み、1部昇格を果たした。しかしルネス学園が2年制のため、大活躍した酒井達磨が卒業した翌年、やはり1部から2部降格し、例によってそのまま県リーグへ逆戻りしたのです。その酒井達磨、実は卒業後は徳山大学(現周南公立大学)に編入。その後、松江シティ→ヴィアティン三重→マルヤス岡崎とJFLを渡り歩いている実力者です。そりゃ、抜けたら一気にチーム力落ちますよね…
そんなジェットコースターのような現象は学生チームならありえても、社会人チームではそうそうないはずなんですが、そんな現象が今年の関西リーグで発生しております、しかも2チームも…。ということで、今日はそんな稀な現象についてのお話です。
明石のきしろスタジアム、明石陸上競技場で行われたFC EASY02明石vs京都紫光クラブの試合。結果は4-1でFC EASY02明石が勝って、前日に負けた関大FC2008と入れ替わりで2部の首位に立ったのですが、去年までのEASYではとても考えられないような成績です。そう、そんな「劇的ビフォアアフター」を成し遂げたチームの一つはこのFC EASY02明石です。
去年もEASYについてはいろいろと書いた記憶がありますが、昇格した2017年こそは4位でしたがその後はどちらかと言うと残留争いの繰り返しで、特にコロナ禍の一昨年、昨年は降格がなかったから残留できたという順位。降格枠が例年の1.5(1自動降格、1入替戦)からチーム数調整のため今年は3.5に増えるので、流石に今年は残留も厳しいだろうと思ってました。しかし、そんなチームに思わぬ事態が発生したのです。昨年共に2部を戦い、今年1部に昇格したFC淡路島の主力選手が数人加入したのです。その一部始終についてはここでは触れませんので、興味のある方は皆さんの責任の上で調べてみてください(笑)
ということで、何故そうなったかはさておき、今年のFC EASY02明石は昨年とは全く別のチームのように変わってしまったのです。この日のスタメンも、昨年から在籍していた選手はキーパーの新屋、フィールドは鳥濱とキャプテンの小林のみ。控えにはあと5人いますが、まあ別のチームと言っても過言ではないでしょうね。
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旧EASYから技術、スタミナはズバ抜けてますから、
今年のこの活躍は当然の結果ですよね。
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小林選手と同じ34歳。まだまだバリバリ現役です。
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高卒1年目からほぼ毎試合で続けています。
成長著しく、さらに頼もしいキーパーです。
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2019年にポルベニル飛鳥から移籍した選手。
見るたびに安定したプレーを見せてくれます。
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元FC淡路島、築山のゴールを見事アシスト。
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常にレベルの高いプレーでチームに貢献します。
FC淡路島からの選手は3人と意外と少ないながら、いずれもバリバリチームの主軸として働いています。当然、新卒の選手も入っていますが、みんなが上手く機能して昨年はやろうと思ってもなかなか出来なかったサッカーを展開しています。ホントに全く別のチーム「FC EASY淡路島(笑)」みたいになってました(笑)
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ベテランらしい冷静な落ち着いたプレーでした。
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得意のドリブルで紫光DFを苦しめていました。
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ベテラン、若手、 EASY、淡路島が見事に融合した
今年のEASYは関西2部台風の目となってます。
その真逆なのが、オフに主力の大量退団のあった今年からチーム名称を「FC AWJ」と変更した、旧FC淡路島です。なにせ、選手のほとんどが退団してしまったので昨年2部の2位で昇格したチームとは全く別のチームになってしまったので、今年は前半戦を終えて1引き分けの勝点1しか挙げられてません。
開幕戦をチラッと見たのですが、時期も時期なので全くチームとして機能してませんでしたし、むしろこのレベルなら2部でも上位は難しいのではないか?と思うくらいのレベルダウンでした。ほとんどが新卒の選手で、まだスピードやプレー強度の違いに対応できていなかった開幕戦だけの印象ですが、あれから2ヶ月経ってもまだ勝てていないと言うことは、おそらくレベルが追いついていないのではないかな?という推測は立ちます。
ただ、昇格縛りのあった昨年までのFC淡路島のチーム方針から一転して、昇格よりもチームの存在意義を重視する方針に切り替えたことは、将来的にはプラスになったのではないかと思います。とはいえ、ここまで急激にチーム力が低下するのも衝撃ではありました。近いうちに見に行けるタイミングがあれば、その後の状況を確認してみたいと思っています。
FC淡路島もですが、同じように急激にチーム力が落ちたっぽいのが昨年1部にいた関大クラブ2010です。こちらも実は2部の下位に低迷しています。ただ、淡路島のようにこれといった外的要因がパッと思いつかないので、こちらについても原因究明は継続審議として調査してみたいと思います。これ以外にもおこしやすの低調ぶりや、学生チームの動向など今年の関西リーグは調査案件が多くて大変です…(笑)
さて、J志向ではない社会人チームってどこも共通して、選手集めに苦労していると思うのです。最近はSNSで選手募集をかけているチームが増えましたが、それでも依然として新しい選手の獲得にはどこも苦労されているかと思います。
だいたいのチームは、同級生や同じ学校の先輩後輩、前に同じチームにいた選手だったり。小学校とかで同じチームだったりあるいは同じ地域の別のチームの子だったりという人脈頼りではないかと思います。実際、FC EASYに新しく入った選手を見ても「年代的に誰かの同級生だろうな」とか「この選手の繋がりで入ったんだろうな」とかという選手がほとんどでらどういう繋がりで入ったのか分からない選手の方が少なかったようにカンミ感じます。
でも、そう言う人脈頼みの選手集めではチームは成長しませんし、逆に衰退していく一方です。昔、関西リーグに所属していて、今は兵庫県リーグに所属するFC CRESCENTというチームがあります。元々は関学クラブという名称で活動していましたが、昨年からチーム名を今の名前に変更しました。というのも、元々のチーム方針として「関西学院大学サッカー部のOB」しか受け入れないというのがありました。しかし、それでは若い、新しい選手がなかなか入って来ず、前からいる選手もどんどん歳をとっていき、体力もさることながら仕事や家庭の関係から試合にすら参加できるメンバーが限られてしまう事態に陥っていました。それ自体は実は関西リーグにいた頃からの問題でした。リーグ戦でも控えが1人とか2人しかいなかったり、カップ戦ではスタメン11人すら集められないこともありました。
県リーグに落ちてからでもやはりメンバー不足は続いていて、同じような状況が続いていました。でも、チームの登録メンバーは決して少なくはないのです。むしろ、その後に兼リーグに上がってきたチームの方が関学クラブよりも少ないこともありました。単に、試合に出られるメンバーが少ない、というだけでした。
そんな状況が昨年、ゴロッと変わりました。というのも、長年関学OBしか受け入れなかったチーム方針を止めて、門戸を広げることにしたのです。それでも昨年は1部最下位、通常なら2部降格ですが今年関西リーグに2チーム昇格したおかげで辛くも1部残留。今年は門戸を広げた甲斐があったのか、開幕から好調。前半戦を首位と勝点1差の3位と明らかに選手獲得の門戸拡大の効果があったとしか思えない激変です。
選手獲得を今までの学閥や人脈だけに頼らず、セレクションやその他の獲得活動を行うことでチーム力が大幅アップしたFC CRESCENTや FC EASY02明石、旧来の学閥に頼る関大クラブ2010と、今年の関西では選手補強による明暗がくっきり分かれているように思えます。関西大は関学と比べるとアスリート志向の強い学生が多いので突然選手不足に陥ることは少ないでしょうが、人脈頼みのチームだと既に活動停止しているチームが増えています。北信越リーグの名門で地域決勝にも出場したことのある上田ジェンシャンや、東北リーグで活動していたバンディッツいわきも福島県リーグに降下消した途端、いつの間にかチームの存在が消えていたという事実があります。関大クラブにしてもいつそうなるか全く分からないことを考えると、いずれは関大OB以外の選手の受け入れを検討せざるをえない可能性が高いのではないでしょうか。
また、その一方でチームの成長よりもチームの存在意義を重視し、方針転換を図ったFC AWJのようなチームも存在します。
チームが「チームである」以上、その成長戦略であったり存在意義が重要視されるのは当然でありますが、それらはチームごとに違って当たり前です。ただ、最終的には行き着く先はそう大きな差はないのではないでしょうか。これって、今流行りのSDGsではありませんが「持続可能な成長戦略」と言っても過言ではないかと思います。アマチュアチームにおけるSDGsとは何か?その答えは必ずしも一様ではないですが、それらを模索していかないといけない、そんな時代になってきたのではないでしょうか?
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