眼鏡と髭の店の主

髭面のしがない店主です。 北国在住。器用貧乏。 狭からず、浅からずな出来事を時折書きま…

眼鏡と髭の店の主

髭面のしがない店主です。 北国在住。器用貧乏。 狭からず、浅からずな出来事を時折書きます。悪しからず。 言葉の深読み多め。 お題に一貫性なし。 服と古いもの、写真、チャンジャが旨い居酒屋が好き。

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ショートショート『最高不倒距離』

「さあ、いよいよ決勝も佳境です。」 「舞台は摩天楼犇めく東京。今宵、最高不倒記録を更新する選手は現れるのでしょうか。楽しみです。」 「現在、試技をした選手はいずれも着地失敗と悔しい結果になってしまっていますからねえ。オリンピック出場経験のある選手もいましたが、やはり今回の大会にも”魔物”が潜んでいるようです。」 「そうですね。ただ、皆さん攻めの姿勢で臨んでいますから仕方のない事かもしれませんね。何せ優勝賞金も桁違いですから。」 「国内では最も記録が出しやすい環境ですか

    • ショートショート『住める猫』

      近頃、「住める猫」が大ブームだ。 「住める猫」というのは 最新のバイオテクノロジーにより誕生した、快適な居住空間を内蔵した巨大な猫である。 通常の猫と同じ量の餌だけで生命を維持することができ、餌の全てをエネルギーに変換するので排泄物がない。 変換したエネルギーは電気やガスとして供給され、雨水を猫が摂取し濾過することで飲用水の心配もない。 自立歩行も可能なため、居住地を移動することも出来る優れものである。 寿命を迎えても、骨格を住居として代用できるそうだ。 アドレスポッパー

      • 田舎の魅力は”ねるねるねるね”みたいなものである

        我ながら随分と狂ったパワーワードを作ってしまったなと思う今日この頃です。 前の記事で地元の田舎町について書いてみたのですが、途中から 「田舎の魅力」ってどういうものだろうか という疑問に思考が引っ張られてしまい、文章の流れを無視するわ長いわで破綻させそうになってしまったので、無理やり切り取って別の記事にしました。 ぶつ切りにしちゃった記事はこちら。 そのため↑の記事と内容が所々繋がってたりします。暇だったら読んでください。 タイトルの話に戻ります。 ねるねるねるねって

        • ”アオ”と”アカ”の汽空域

          青、碧、蒼・・・ 赤、紅、緋・・・ 自分が思う”アオ”と”アカ”を当て嵌めてくれれば良いと思います。 気空域は敬愛するサカナクションが作った造語です。 同郷ということでお借りします。

        ショートショート『最高不倒距離』

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          ジョーカーが強い理由

          最近プレステのCMに米津玄師が出てますね。 ジョーカーのような恰好が似合ってらっしゃる。眩しい不穏の化身。 ジョーカーかぁ。 そういえば最近トランプやってないなー、大富豪で革命返しして↑みたいな顔で煽りたいなーなどとCMを横目に脳を無駄遣いしておりましたところ、 「そういえば何でジョーカーが一番強いんだろ」と思い至ってしまった 今日この頃の髭(独身)です。 という訳でざっくりと調べて探求心を満たしてきたので、おシェアします。 「ジョーカーが一番強い理由」については諸説あ

          ジョーカーが強い理由

          Uターンして「地元?何もないよ」の意味合いが少し変わった話

          僕はいわゆるUターンをした人間です。 海に面したド田舎の地元から札幌の高校に裸一貫で飛び出し、大学進学を機に東京へ駆け上がった生粋のお上りさんでしたが、何やかんや紆余曲折があって今に至ります。 人生の三分の一ほどを都会と呼ばれる場所で過ごしてきた僕ですが 都会の民と話していると間違いなく聞かれることがあります。 「髭くんの地元ってどんなとこなの?」 僕はスポーツ選手も真っ青な反応速度でこう答えます。 「地元っすか?いや~、何も無いっすよ(笑)」 田舎出身の人は全員言

          Uターンして「地元?何もないよ」の意味合いが少し変わった話

          記事を上手くまとめきれなくて文字数多くなっちゃう症候群を発症しました。 何文字くらいがちょうどいいんですかね。

          記事を上手くまとめきれなくて文字数多くなっちゃう症候群を発症しました。 何文字くらいがちょうどいいんですかね。

          時流故の矛盾

          僕の母校、図書室にて。 現在は廃校となり、普段は入ることが出来ません。 中休みと昼休みの間だけ、「あいてます」の札に。 偉人の伝記漫画を読むのが好きでした。 今は翻す人もおらず、常に「あいてます」。 来ることのない子供たちを待っているようです。 時流とは、世の中の流れ、風潮、流行りを指すそうです。 時の流れが転じた意味でしょうか。 時流に取り残され、時が流れることで生まれる矛盾。 見返す度に、真綿で締め付けられるような気持ちになります。

          髭を剃る。

          洗面台の前に立つ。見慣れた髭面がひとつ。 蛇口を捻る。良く冷えた水。冷えすぎた水。 両手で掬って顔を洗う。顔が少し縮む。気のせい。 タオルで拭いて顔を上げる。赤みを帯びた髭面がひとつ。 洗面台に敷くティッシュペーパー四枚。排水溝の用心。 目盛りを合わせた電動シェーバー。肌への気遣い。 じいいいいいい。 無機質な音。有機物を無機物で刈る音。 黒を散りばめた四枚のゴミ。丸めて捨てる。 以前の会社を思い出す。 洗面台に残る、少しの黒。 顔を上げる。不精になった髭面がひとつ。

          繋ぎ、育み、廻す役割

          地元の川には毎年、多くの鮭が遡上します。 浅瀬の中、岩に身を削られながら上流を目指します。 次の世代へ生命を繋ぐために。 力尽き、打ち上げられた鮭は鳥達に啄まれ、彼らの生命を廻します。 残った骨はやがて砕けて川底の一部となり、次の生命を育みます。 一見残酷な光景ですが、役割を全うする彼らの邪魔をしてはいけません。

          繋ぎ、育み、廻す役割

          減りゆく大根の静寂

          田舎町の漬物つくりは風物詩でした。 時を経るにつれ、祖母の漬ける大根も少なくなります。 今年も大根漬けを食べられるな、そんな嬉しさと。 また大根の数が少なくなったな、そんな寂しさと。

          減りゆく大根の静寂

          人との「ご縁」を「洋服とタンス」に置き換えてみた -その2- タンス:ご縁のキャパシティ

          前回に引き続きまして第2部。 1部では”ご縁”を”洋服”に置き換えて僕なりの「ご縁」観を書き連ねて みました。 最初から読んでやるよ、という道徳5の方はこちらから。 何を何に置き換えているかも書いているので、まずはこちらを読んでいただけると少しだけ読みやすくなります。 第2部ではご縁のキャパシティをタンスに置き換えまして、自分が持っておけるご縁の総量、ご縁との向き合い方などについて書いていきます。 ではどうぞ。 タンス(ご縁のキャパシティ)について 洋服はタンスに入れ

          人との「ご縁」を「洋服とタンス」に置き換えてみた -その2- タンス:ご縁のキャパシティ

          人との「ご縁」を「洋服とタンス」に置き換えてみた -その1- ご縁:洋服

          人との「縁|《えん》」について皆さんはどのように考えますか。 いや、普段考えないだろ。暇かよ。暇だよ。そうかよ。 と言いますのも 僕はちょくちょく某clubhouseにて聞き専をしているのですが そこで「ご縁には限りがあるのか」的な話をしていたもので、 ちょうどいいやと思って自分なりに「ご縁」を考えてみた訳です。 そして、ただ言葉を並べ立てても恐らく伝わらないかもしれない。 だが自分の考えを分かりやすく伝えたい。あわよくばスキしてほしい。 願わくばフォローもしてほしい。

          人との「ご縁」を「洋服とタンス」に置き換えてみた -その1- ご縁:洋服

          足るを知るのなんぞ最期でいいだろ

          少し前に、誰かが「足るを知る」の話をしていたのを何となく聞いていた。 かの有名な老子の言葉である。 一般的に使われている意味は「身分相応に満足することを知る」のような感じ。 一理ある。満足できることは良いことだ。QOLを上げるのにこれほど効率的なことはない。満足の高望みをしないとも言える。コスパに秀でた生き方。 考え方としてはとても良いと思うよ老子。上からですまんな。 ただ、若いうちに「足るを知る」がどうだとか宣う人に対しては、それは如何なものなのか、と疑問符が一つ。

          足るを知るのなんぞ最期でいいだろ

          言葉を選べる人が好い。

          言葉を選んで発する人が好きだ。 程よく酩酊した中でも、熱のある議論の中でも。「何て言えばいいのかな、んーと・・・」の時間を惜しまない人とヘベレケになりたいし、末永くお付き合いをしたいと思う。ワードチョイスが秀逸な人なんて崇め奉りたい。 「売り言葉に買い言葉」なんて言うけれど、あんなもんは粗悪な言葉を売るから買い手が怒るのだ。生焼けのハンバーグをぞんざいに出されたら「何だよこれ」ってなるでしょ。「舐めてんのかよ」って、なるでしょ。 僕は黙って食べるけど。そしてその店には二度と

          言葉を選べる人が好い。

          「嫌い」がきらい

          ここ数年、「嫌い」という言葉を使わないようにしている。 「嫌い」の感情がないわけじゃない。むしろめちゃくちゃにある。腹の底には全方向へのヘイトが溢れかえっているし、前歯の裏まで「嫌い」が込み上がってくることなんて日常茶飯事だ。 でも何となく口に出すのが嫌で、なるべく違う言葉に変換して話すようにしている。「嫌だな」だとか。「苦手だな」だとか。 そういえば大学の友人が日常茶飯事の事を「日常茶目仕事」って言ってたの好きだったな。いま関係ねえな。 たぶん、「嫌い」と言われるのが

          「嫌い」がきらい