偏執的作家論1 『団鬼六②』
ソープ酒盛り事件を皮切りに、鬼六さんは「困ったちゃん」に変貌していった。
それは、第一次接近遭遇の時には私は25、6歳の若造だったが、この時には31歳で様々な苦難を乗り越えてきていたから、「こいつには無茶振りしても大丈夫だな」と変な信用を得てしまったのではないだろうか。
ある時には急に電話があり「明日の2時に来てくれ」と言う。私は2冊の雑誌の編集長だった。隔週で1冊を作っているのだから、大変に忙しかった。しかし当時は団鬼六の名前の載っていないSM誌は売れない、と言われていた