14 オフコース ☆ 秋の気配

【MY FAVORITE SONGS 14(私は音楽でできている)】

 児童養護施設時代、私の右腕になってくれた保育士さんがいました。覚えているのは、夜11時過ぎまで受験生の勉強も見て、学生ズボンの繕い物を肩にひっかけて、寮に戻っていく後ろ姿です。

 それで終わりではなくて、そこから若い保育士同士の勉強会をしたり、朝までロイヤルホストで議論したり、カラオケに行ったり、飲みに行ったりしていました。どこに行っても、話すのは子どものことでした。そして彼女は、翌朝6:30の勤務に遅れたことはありませんでした。

 いつも、わがままな子どもの話も職員の理不尽な話もじっと黙って聴いて受けとめて、ときに「勝手なことばっかり言いよう」とポロリと吐くことはあっても、激高したりはしませんでした。辛抱強く説得したり、指導したりしていました。いつも大きな目に涙をためている姿が思い浮かびます。

 自分の育った環境が厳しかった(小学生の時は朝食を食べたことがないと言っていました)ので、子どもたちには飛び切りやさしくて、でも鋼のように粘り強いかかわりで、育てました。ご家族の事情で施設を辞めてからも、児相の一時保護所で働いたりしていました。

 彼女は結婚して、子どもがかわいい盛りの頃に、がんで亡くなりました。遠くに住んでいたので、葬儀にも行けませんでした。その頃、私にとって頼りになる人(彼女も含めて)が、次々に亡くなってショックでしたが、彼女の無念な思いの方が、よっぽどだろうと思いました。

 そんな彼女がくれたのがオフコースのカセットテープです。なぜか秋になると聞きたくなります。

応援よろしくお願い致します。