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2021年9月の記事一覧
88 宇多田ヒカル ☆ Automatic
【MY FAVORITE SONGS 88(私は音楽でできている)】 車を走らせながらラジオから流れてきた「Automatic」を聞いて、すぐにCDショップに買いに行ってしまいました。その後発売されたアルバム『First Love』はミリオンセラーとなり、現在までに世界で990万枚以上売り上げて、ダントツで日本歴代1位です。これからネット配信だけになってCDが販売されなくなることも考えると、この記録は、もう破られることはないでしょう。 15歳の女の子が歌っているとは到底思えませんでした。東芝EMIが作った彼女のHP(まだブログもなく米国から日記の原稿をメールしていたと思われる)が更新されるたびに、とても(精神的に)危なっかしい感じがして、この子の命は大丈夫かなとハラハラしながら読んでいました。当時チャイルドラインで子どもの厳しい相談を山ほど聞いていましたが、彼女は飛び切り危ない感じがしました。 その頃、宇多田ヒカルさんが「文芸春秋」でダニエル・キイス氏(『アルジャーノンに花束を』の著者)と対談したときには、年齢差が60歳くらいあるのに知的に対等な感じで話しているので、凄いと感じると同時に、早熟な才能が生きる困難さは私の想像をはるかに超えるものなんだろうと、とても心配しました。 宇多田ヒカルさんといえば歌姫という言葉が当てはまると思います。そして母親の藤圭子さんもすばらしい歌手で、親子で歌姫というのが本当に凄いのです。藤圭子さんがどれくらい凄いかというと、『新宿の女』『女のブルース』の2つのアルバムは、合わせてオリコンチャート37週連続1位という空前絶後の記録をもっているのです。 以前藤圭子さんの人生について詳しく調べたことがありますが、なかなか困難な生い立ちで、そこから宇多田ヒカルさんの大変さにまでつながっているなと思いました。 6年に及ぶ、自ら『人間活動』と呼んだ休養期間を経て、音楽活動に復帰されました。嬉しくもありますが、静かで平和な時間をたくさん過ごしてほしいと心から願っています。
81 Linda Ronstadt & James Ingram ☆ Somewhere Out There (アメリカ物語)
【MY FAVORITE SONGS 81(私は音楽でできている)】 「Somewhere Out There」は巨匠スティーブン・スピルバーグが初めて製作したアニメ映画『アメリカ物語』の主題歌です。米国アニメ史上最大のヒットだったそうです。実際に映画を見て、私はよい映画だと思いましたが、日本ではそれほどのヒットではありませんでした。 それは、『アメリカ物語』が移民の映画だったからだと思います。米国の移民の歴史は現在も進行形で、多くの国民にとって身近な存在ですが、日本人にとっては、一部の人を除いて遠い過去のもので、感情移入しにくいものなのかもしれません。私は日系2世の子なので、移民の気持ちのDNAが少し残っているのかもしれません。でも、よく考えれば、日本列島は、ユーラシア大陸の東の果てで、長い歴史の間、移民が流れ行きついた吹き溜まりの場所なのです。日本人の誰もが遠い昔に移民してきた人の子孫なのです。 我が家がそうですが、中国や満州、ブラジルやハワイなど、昭和の戦前戦後は移民や帰国、交流がかなりありましたが、平成を経て令和になって、これからより遠いものになり、意識されにくい時代になっていくと思います。それがまた新型コロナで、これから一種の鎖国状態が進むことになって、移民への共感、つまり外国籍やダイバーシティの考え方が進まなくなることを懸念しています。