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2021年4月の記事一覧
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66 Danièle Vidal ☆ Catherine
【MY FAVORITE SONGS 66(私は音楽でできている)】 多分中2の誕生日前後だったと思うのですが、ダニエル・ヴィダルのレコード「カトリーヌ」をもらいました。くれたのはT君で、東京から来た転校生でした。私がふざけて「カトリーヌ、カトリーヌ」と歌ってファンを気取ったのを覚えていたのです。それまでプレゼントをもらったことなどなかったので、どうしていいか分かりませんでしたが、せっかく買ってきてくれたのに断るのもなんだなあと思って受け取りました。 私の中学は2年から3年はクラスが持ち上がりでした。確かT君は中二の2学期に転校してきたと思います。とにかく都会的で、秀才でした。父親が都銀(彼の誇り)の支店長か何かで、漂わせる雰囲気が違いました。成績は1・2番だし、しゃべり(東京弁)が違うし、運動神経はそれほどではありませんでしたが、クラスマッチなどの行事もそつなくこなし、クラスに溶け込んでいました。 いま考えたら、彼なりにかなり努力していたんだろうなと思います。内心は「この田舎者が!」と思いながら、ボンクラ連中にいじめられないように、いろいろ気を使っていた感じです。1度誕生日に呼ばれて、ボンクラ何人かでお宅に行きました。自分たちの母親が「かあちゃん」なら、T君の母親は「御母様」でした。出てきた洋風のおでんは、友人Kに言わせると「ありゃ、おでんやないばい、別の食べ物やった」ということでした。 お呼ばれしたものの、小遣いもなかったので、プレゼントに困って、兄が聞かなくなったビートルズのEPレコード(確か「A Hard Day's Night」)を持っていきました。「カトリーヌ」はそのお返しだったのです。 彼は東京に戻って、付属高校からK大、大学院を出て、調べたら大手化学メーカーから出向して子会社の社長、戻って現在副社長で現役でした。別世界の貴人と、ボンクラはかつて一瞬すれ違ったわけです。
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59 Dave Brubeck quartet ☆ Take Five
【MY FAVORITE SONGS 59(私は音楽でできている)】 最近はあまり聞かない気がしますが、かつては「Take Five」はスタンダード・ナンバーの中でも、スタンダードでした。テレビドラマや映画にたくさん使われていました。都会的でモダンな曲の代表だったと思います。 この曲が、デイブ・ブルーベックの演奏で、「テイク・ファイブ」という曲名なのだと知った時、その響きがカッコいいなあと思いました。そして知っていることが、何だかちょっぴり大人の仲間入りをしたようで、嬉しかったのを覚えています。ジャズは大人の音楽でしたし、お酒やたばこやギャンブルといった、大人の世界、夜の文化に一歩踏み入れるような感覚がありました。結局、お酒もたばこもギャンブルもほぼ縁がない人生を選択してきたので、私にとっては、数少ない大人の感覚の1つだったのかもしれません。 ところで、いま大人である要素ってどんなことが上げられるでしょうかね。お酒もたばこもギャンブルも、かつてほどの大人のイメージはないですね。私の中では、働くことや家族や(地域)社会に対する責任や義務を果たすこと、が大切な要素の気もしますが、社会の中枢にいる人たちが、そういうことを果たしていないように思えるので、どう定義してよいか、分からない感じがします。別に大人を定義する必要もないかもしれませんが、何かそういう頼ってもよい存在が、世の中にあったほうがよい気がします。 コロナでなかなか人が集まりにくいですが、「Take Five」を聞きながら、そのあたりの話題をあーでもないこーでもないと、語りあってみたい気がします。