(G)I-DLE 7th ミニアルバム 「I SWAY」 感想
(G)I-DLEの7thミニアルバム「I SWAY」。
「(G)I-DLEサマー・ヴァケーション」の文字がある通り、夏の企画アルバムであり、ちょっと懐かしいアナログレコードのジャケットの感じを踏襲して、正方形のアナログレコードジャケットっぽい感じ、横楕円にフォントが乗る80年代によく見たデザインやテキスト満載の情報量の多さ、おしゃれより「楽しく売る」感じなど、レコード屋の棚やポスターを眺めてたあの気持ちがよみがえってきてもうオレは……。
「Klaxon」
サウンドも70~80年代的でアナログな感じ。よくテレビやラジオから流れてきたな、こういう曲。
具体的には、ストリングスやピアノの連打など、そこはかとなく「夜のヒットスタジオ」「ザ・ベストテン」な感じで、そこにTR-808のポコポコしたフィルが入ったり、今まで封印してたウギの低音をユーモラスに使う感じも、早回し的な声の合いの手「アミヨー」も、きたきたコレコレと。
メロディはいつの時代もグッと来る親しみやすさで、キャッチーなサビも、フックとしての「ウウワウー♪ ウウワウー♪」も、夏にこれを聴かないでどうするってなもんで。
(G)I-DLEはK-POPアイドルというよりは、あり方として「バンド」に近かった。
自分たちで出す音楽を作り、活動も主体は自分たちという、どちらかというとオールタネイティブなロックバンド的な。
でもそうなると狭い道に入りこんでいく未来が見えたのかもしれない、ソヨンには。
だからただただ楽しく明るいサマーソングをヒットさせて、K-POPアイドルとしてのアイデンティティを取り戻そうという、その試みに思えてならない。
ソヨンPDの深謀遠慮たるや!
「Last Forever」
サマーアルバム2曲目は、ウギ作詞作曲。
去年の夏を思い出すような、内省的で、回顧的でなのは、イントロのエコーが深くかかったエレキギターのアルペジオがそう感じさせるからだ。ちなみにこの潤ったギターサウンドは曲全体を通して鳴り続ける。
でも決してネガティブに聴こえず、だんだん明るいコード進行になっていく、多分そんな嫌な思い出ではなかったんだろうなと思わせる、メジャーキーのポップソングの教科書のような曲。
可愛いソヨンのラップがいい。
途中の落ちサビでキュンとするよね。
「Bloom」
エコーの深いギターはまるでメドレーのように続く、ミンニ作詞作曲のサマーソング。
ちょっと回顧的な感じも「Last Forever」からの流れであり、そこに軽快なベースなどのリズム隊が加わって、そうだあれだ、林哲司サウンドだ。オメガトライブとか菊池桃子とか。
ここまでの隠れキーワードは「懐古」ではないか。
「Neverland」
で、僕的な本題はこちら。
ミヨンとウギの「ピンクほうれん草」コンビ作詞、ウギ作曲の、「Polaroid」以来の名曲。
親しく心に寄り添ってくるメロディはまさにウギのもの。
しつこいようだが、こんなメロディ、心が暖かい人からしか出てこないよね。
出だしのため息まじりのウギの語りかける歌い出しで、いきなり心をつかまれる。
こんなに最初の歌いはじまりでグッと持っていかれるのは、IUの名曲「夜の手紙」以来だ。
僕の心の目にはミンニのピアノとウギのアコギで始まる映像が見える。
そこへメンバーのまっすぐな歌声がかわるがわる追いかけてきて、ミヨンの圧倒的な歌で世界が壮大にひろがっていく。
隣で親しく歌ってくれていたのが、共に空へ飛び立っていく感じ。
空の向こう、雲の彼方へ心が解放されていくのだ。
言うまでもなくNeverlandとは(G)I-DLEのファンダム名であって、それを意味しない訳はない。
このミニアルバムのテーマは「回顧・懐古」であった。
ファンに、「これまでも色々あったよね。ありがとう」というメッセージが隠れてるのではないかと思う。
で、そこから壮大になっていく曲調は、未来への拡がりを現しているように思えてならない。
契約な事とか連想してネガティブな考えになる人もいるかもしれないが、先に先に心配しても始まらない。
ソヨンはもう次のアイデアでパワポ作業にとりかかってるみたいだ。
期待しかない。