名を知る

タカサブロウという名をきいたときにまず思ったのは、「それはきっと、タカタロウの弟だろう」だった。
タカタロウとはこの地域で梅雨明け直後に現れるとてつもなく高さのある入道雲のことである。
では、タカサブロウは?
千切れ雲?それでは少し小さすぎる。千切れ雲よりはもう少し質量のある、でも、あまり高くない雲。

そんなイメージだが、タカサブロウは雲ではなく畑に生える野草だ。この汁が服につくと青くなるので染料になるのではないかと気にしていたものである。
ずっと「藍の代用草」と呼んでいたが、このほど名前が判明。入道雲の弟だった。
方言名を「アンナ」という。こちらはかわいらしい女の子のようだ。

しぼり汁で髪を染めたりしていたようなので、きっと布も染まることだろう。畑が一段落したら何か染めてみようと思う。


タカサブロウ染めとアンナ染め。

方や男くさく、方や可憐。同じものとは思えない。名は体を表すというのだから、呼び名を変えればその草の意識も変わるのかもしれない。
標準和名と方言名があるのなら、方言名で呼びたい。

かの草はアンナ。
雄々しい雲ではなく、可憐な少女。
そう思ってみると見慣れた草の姿も、今までより華奢に見えてくるから不思議なものだ。

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