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文章力を上げるには、常套句に頼らない

小学校4年の夏に、母に読書感想文を書いてもらいました。当時住んでいた県のコンテストに入選し、冊子になって印刷されたものを10冊もらった日には、冷や汗をかいたのを今でも忘れません……あれ以来、自分で文章をひねり上げるように書いてきましたが、どうも、自分の文章が単純でつまらなく、書きどまりするのに嫌気が差していました。


文章力を磨きたくて読んだ本

先日、近藤康太郎さんの「三行を撃つ」という本を読みました。
私は文章を書くのがとても上手とは言えず、時間もかかりがちです。AIの威力も仕事上感じており、淘汰されるライターに入ってしまうのでは?と思ってしまうほど。

でも言葉を選ぶのが好きだし、何より書く仕事で生活していきたいと目指していて、諦めるには悔しいと思い、自分がライターとして勝負できるのはどこだろう、どうしていけば良いのだろうか、と読んだ本です。

最初に私が冷や汗をかいたのが、このお話しです↓

近藤康太郎氏が文章を教える私塾で、一番最初に教えるのが「常套句をなくせ」だそうです。

なぜなら、「常套句はものの見方を常套的にさせる。世界の切り取り方を、他人の頭に頼るようにすることなんです」と。例として「抜けるような青い空」と書いてしまうと、その時点で人は空を見なくなる。一つとして同じ空はないはずなのに、自分の視点で空を見ない、他人の表現で終わってしまう。

気になっていた常套句

そうか、常套句を使ってしまうと、他人の目で見て分かった気になってしまう。他人の人生、生きるみたいなもんになっちゃうなと思った私は、常套句が気になり始めました。そういえば、常套句、数年前にも気になったことがあったと思い出す。数年前、雑誌で見た記事のこと。

記事には「殴る蹴るの暴行をしたAは……」と書かれていたが、Aは「俺は殴ったけど、蹴ってはいない!」と反論があったと書かれていた。

その時、妙にそうだよなと納得した覚えがある。「殴る蹴るの暴行」が常套句になっていて事実を捻じ曲げてしまうこともある。決して殴るのは許されない行為だが。こういうところも気をつけないといけない。

高校野球にみる常套句

ということで、私の毎年夏の楽しみ高校野球でも常套句がたくさん使われているなと思い、まずは拾ってみました。

・熱戦が繰り広げられる甲子園→冷静に進んでいる試合もある
・泥だらけのユニフォーム→泥じゃないしだらけでもない
・白球を追って→球は白いだろうか
・甲子園には魔物が住んでいる→魔物のせいですか?
・あと一歩及ばず、甲子園を去ります→あと一歩、だろうか二歩かも
・球史に残る名勝負→球史って何?ほんまに残る?
・初出場の〇〇高校、檜舞台に立つ→リラックスして試合してるかも
・強打の智弁学園、好投の徳島商業→徳島商むしろガンガン打ってる

結構使ってしまいそうな表現がたくさんあり、こんなに表現は常套句にまみれているのか!と驚いた。常套句に慣れているからこそ、その表現が出ると妙に安心してしまうこともある。そうするとライターいらない?常套句を読み込んだAIが書けばいいのではないか?と思ってしまいました。

先人の作った決まり文句を書いてしまっていると、たしかにそこで想像力は止まり深掘りできていない文章となるのがわかる。目に留まる、惹きつける、ある線を突破する文章を書くには、それではだめなんだろうということは理解し始めました。

しかし考えれば考えるほど、常套句ばかり浮かび悶々する。漫才でここまで来たら、このツッコミがくるぞとテッパンを期待するのとは違う、これは只事じゃないぞと怖くなった。

じゃ、どうすりゃいいのか

近藤康太郎氏はこう述べている。
「海や旋律や人物の美しさを、まず自分が分かっていない。言葉にしていない。つまり、考えていない。」

どうして美しいと思ったのか、なぜ素晴らしいと思ったのか、感じる、考える、気づく、観察する、周りを見る、手触り、虫眼鏡で見る、双眼鏡で見る、耳で小さな声を聞く。たくさん出来ることあるのではないか。これを言葉にできるかは、悶絶しながらも生み出していくしかないのだなとできることの多さに、呆然としながらも、少しワクワクもした。そして、これは誰でも、どこでも日常でも、初心者でもできる第一歩ではないかと思った。

これも常套句?

先日、京都の清水寺へお礼参りに行ったのですが、私の撮った写真がヘッダーの写真。ザ・清水の舞台写真ですね。これも写真の「常套句」と言えるのではないでしょうか。清水を決まりきった表現で撮っちゃいました。

私が京都に行った時、観光客が戻った京都とお願い事を叶えてくださった御礼参りができたことに、私とても感動してたのですけどね。そんな写真も撮れると、文章と相まって、記事が書けそうな気がするとも感じたし。

結論

もしかしたら常套句から離れた、派生した表現を生み出すことは、ライティングだけでなく、仕事をする上でルーティーンから外れていろんな新しい提案も生まれることにもなるのではないかしらと思う。これはゴリゴリコツコツやるしかない夏ですね。










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