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「夜明けの来ない夜はないさ」

早いもので、今年の3月末にオーストラリアから帰国してからあっという間に3ヶ月が経とうとしています。
当初はせっかく馴染んだキャンベラを離れるのが悲しく、また帰国後の生活が不安でたまりませんでしたが、おかげさまでなんとか落ち着きつつあります。

今週末は大事な予定があったのですが、体調回復と筆債返済のために無理を申し上げて休ませていただき、少しだけ落ち着く時間を得ました。
その機会に、これまでのこと、そしてこれからのこと、少しまとまった時間で考えることが出来ました。

2022年2月のロシアによるウクライナ侵略は、私の人生を大きく変えました。
それまで私はまったくもって無名の研究者で、誰にも知られることなく研究・教育生活を送っていたのですが、侵略開始以降数ヶ月は、日々の記憶が途切れるほど忙しくメディア対応をこなしていました。

ヨーロッパという、私の人生と切っても切り離せない場所で、悲惨な侵略と殺戮が続いていることが一番辛いのですが、私の研究活動に対する世間からの反応も好意的なものばかりではなく、悩み抜いた時期もありました。

研究者として見解を発信すれば、賛同していただけるばかりとは限りません。
その点はよく理解しているのですが、浴びせられた批判がもはや私の見解に関するものですらないこと、言ってもいないことを言ったことにされること、私の研究姿勢が誠実ではない等の根拠不明の書き込みがされることも、珍しくありませんでした。
無名だった時代には全く想像もつかなかったような状況でしたが、今振り返ると、そういったご反応も学びを深める上での重要な材料でありました。

同時に、私がそうした状況で苦しめられれば苦しめられるほど、多くの方々が温かい手を差し伸べて下さったのは、本当に嬉しくありがたいことでした。
信じられないほど多くの皆さん――今まさに、このnoteを読んで下さっている皆さん――が、私の発信をまっすぐその通りに受け止め、共感して下さいました。そのことがどれだけ心強かったか分かりません。

強い悪意に触れた傷は、それを上回る皆さんの善意によって癒やされてきました。
皆さんのおかげで、私は折れずにここにいます。

ウクライナに関する報道も減ってはきたものの、それでも私のような者に、今でも絶えず出演のお声がけをいただいております。
また、これまで想像もしなかったようなご縁での講演の機会など、新たなお仕事も数多くいただけるようになりました。

所属している筑波大学の上司や同僚、学生の皆さんも、私の置かれた状況を十分に理解していただいた上で、この上ないサポートをいただいています。

私の両親も、幸いにも健康そのもので、今でも私の出演番組やインタビュー記事をひとつももらさずフォローしてくれているだけでなく、出張や夜の出演の際にはいつでも助けに駆けつけるぞ!とばかりに待ち構えてくれています。

私はすべてにおいて、本当に恵まれていると痛感しています。

私はこれからの人生を、多くの方々からいただいたご恩を返し、いただいた善意を次に繋いでいくよう、使っていきたいと考えております。

職場への恩返しもまだまだこれからですし、なによりウクライナも、ウクライナを支えるヨーロッパも、今が正念場です。研究と発信の手を抜いてはならないと思っています。
兼業先の東京大学ROLESでの仕事も、折り返し地点に入ってきました。
皆様にお届けしたいこと、本当に沢山あるのです。

怒りや不満ではなく、私を思い、信じて支えて下さる方々への感謝の気持ちを抱きながら、毎晩眠りにつきたい。そういう生き方で歳を重ねたい…と思います。

このnoteのタイトルは皆さんご存じの通り、松田聖子さんの「瑠璃色の地球」の歌い出しです。
「争って傷つけあったり 人は弱いもの」ではあるのでしょうが、地道に前を向いて進んでいきたいと思っています。


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