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-舞台マジムリ- 拳に愛を込めて

ここ1週間、ふと「舞台マジムリ学園 LOUDNESS」の台詞を思い出してしまうことがあったので
もしかしたら「ラウドロス(©︎稲垣香織ちゃん)」なのかもしれない。

そんなわけで、アウトプットの場として初のnote。
頭にあると ずーっと考えちゃうから。

以降はネタバレを大いに含みますので、未視聴の方はご注意を!
また、個人の解釈・妄想大爆発です。ご了承ください。
やさしくしてね。

※「自分はこうだと思った」という感想があればぜひコメントで

 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


●ハイエナの裏切り


ハイエナが荒地の仲間を裏切るシーンは、今回の舞台マジムリの中でも大きな見せ場の一つとして挙げられるだろう。


推しメンである岩立沙穂さんがハイエナの相棒であるドラゴンを演じていることもあり、
ハイエナにはかなり思い入れがあったため、
裏切ったシーンを初めて観たときには「う、嘘だろハイエナぁ…!」と心を締め付けられた(誰)。


ドラゴン&ハイエナ(略称:ドラハイ)、めちゃ良いのよ。

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メンズーアの前哨戦。
2年間ケンカに明け暮れてあの頃よりも強くなったドラゴンは
相手を殴って意気揚々と、ハイエナに語りかける。

ドラゴン「メンズーア、誰が一番強いか決めようじゃねえか! ハイエナはどうする?」
ハイエナ「もう盗っ人はごめんだね。こんな街、出てってやる!」
ドラゴン「そうこなくっちゃ!」

一度目の観劇では何気なく見ていたシーンなんだけど、
展開を知ったうえで観る二度目は、「ハイエナ、そんな表情してたんか…」となった。


ハイエナを演じる佐々木優佳里さんは
仲間を欺く後ろめたさ、今の生活が続くことへの恐怖、これでいいのか?こうするしかない…という葛藤
さまざまな気持ちが入り交じった複雑で昏い気持ちを、
うつむいた横顔に映していた。

自分を信じて、前を向いているドラゴンとの対比がまた苦しい。

岩立沙穂さんのSHOWROOMによると、どうやら台本には明確に裏切ったタイミングは書かれていないようだが、
これより以前にハイエナは名誉選民の話を持ちかけられているように思った。


そしてこのシーン、ハイエナの台詞に嘘がないのが憎い言葉選び。

ドラゴンは「メンズーアに勝ち抜いて、丘の上へ行くんだ!」という意味で問いかけていて、
ハイエナの返答も一見「盗みなんてしなくても済むように、メンズーアで勝ち抜く」と同意しているようだが、
実際は手段が異なっていて、ハイエナがこの死んだ街を出るのは、皆を裏切り、名誉選民になるからだ。

目の前の相手を・未来を見据えて目を輝かせるドラゴンと
うつむいて声を絞り出しているハイエナ。


このシーンでは最後まで、ハイエナはドラゴンの顔を見ない。
2人の目が合うことは、ない。


●恐怖こそが人を導く


「どうやって人を導いていくか。それは…恐怖だ!」

生徒会室でのシーン。
高笑いするヌルは、リヒトとシャッテンを足蹴にしながらこう叫ぶ。

ハイエナが荒地を裏切るように持ちかけられるシーンは劇中にはないので定かではないが、
振りかざされたのは拳ではなく「恐怖」だったのではないかと思っている。

「私には、何も無いから…」

仲間と対峙したとき、震える声でハイエナは言う。
きっと、ずっと胸に抱えていた恐怖だ。

2年間ずっとケンカをしてきた。前よりも強くなった。
でも、所詮 盗っ人だ。
でも、自分より強いやつが山ほどいる。
でも、何も変わってない。
でも、荒地はずっと死んだ街だ。
私は、このまま生き続けなければならないのか…?

ハイエナが見ないフリをしてきた不安・恐怖を煽って、唆したんじゃないだろうか。
人を導くのは、服従させるのは、恐怖だ。


そしてこれまた妄想なんだけど、ハイエナを唆したのは冷酷で残忍なイーリスであってほしい(願望)。

で、その横でタウゼントとシュナーベルがよかれと思ってハイエナを煽るんだけど、ぶっちゃけ裏目で、
イーリスに「2バカは黙っててもらえますか?(ニッコリ)」ってバッサリ切られててほしい←

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荒地も生徒会もキャラがみんな立ってて、すごく良いんだよなあ。


●なぜドラゴンではなくハイエナだったのか


ハイエナの相棒であるドラゴン。
なぜ裏切りを持ちかけられたのはハイエナで、ドラゴンは選ばれなかったのか?
理由は3つあるんじゃないかと思っている。


まず一つ目は、秘密を共有する相手は少ないほうが良いからだ。
多ければ多いほど流出するリスクは高まる。
それに、2人に持ちかけた場合は相談することができてしまうから、冷静な判断をされるかもしれない。
こうするしかないんだ」と盲目的にさせるには、一人だけに抱え込ませたほうがいい。


二つ目は、ドラゴンには信じるものがあるからだ、と思う。
ドラゴンが信じるもの、心の支えになっているもの、それは…

矢沢永吉だ。

いや、これだけ聞くとふざけてるみたいなんだけれども←
ドラゴンは名言をそらで言えるぐらい、世界の矢沢をリスペクトしている。

(2018年度の舞台マジムリ学園参照。「買ってね♪(by バラ)」)


憧れの人がいることの偉大さ・もらえるパワーは、ヲタクもよく知っているだろう←
この設定を活かしている可能性は低そうだけどw、いるかいないかの違いって結構でかい気がした。


三つ目は、ドラゴンさんがちょっと抜けているからだ←
さっほー自身とタイプが違うからまた面白いところなんだけど、ドラゴンはちょっと抜けているところがある。


前作の冒頭シーン、番長の手下に絡まれたとき、
ドラゴンは世界の矢沢の名言を掲げて悠々とファイティングポーズをとる。

ドラゴン「矢沢永吉の名言、知らないの?
   1回目、散々な目に遭う。
   2回目、オトシマエをつける。
   3回目、余裕。
   こういうふうにビッグになっていくしかないっ!」
ハイエナ「…え? 今1回目じゃん! “散々な目に遭う” じゃ〜ん!」

ハイエナはジタバタしながら、謎の余裕をもつ相方につっこむ。

この2人の性格を考えたら、ドラゴンに裏切りを持ちかけるのはリスキーだと思う。笑

あと、このシーンを思い返すとハイエナはわりと自分の状況を客観的に見られるタイプのように思うから、
何もない」って思ってしまったのかなとも思う。
そんなことは、ないのに。

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前作に引き続き今作も、本当に愛すべき2人である。


●その拳に愛を込めて


ついにヌルをとらえた。そう思ったのに。
対峙するハイエナ。

「お前、どうして…?!」

こう呟くドラゴンの心境は、いったいどんなものだっただろうか。

幼なじみ。
背中を預けてきた相棒。
苦楽をともにしてきた仲間。

もしかしたら「苦」のほうが多い道のりだったかもしれないけれど、それでも自分や仲間、未来を信じて一緒に戦ってきた、はずだった。


予想だにしなかった今の光景への動揺
仲間を裏切ったハイエナへの怒り
ハイエナの気持ちに気づけなかった自分への怒り
今までの日々を「どん底」と表されたことへのやるせなさ

いろいろな気持ちがあったかもしれない。
でも、ネロの言葉を皮切りに、
ドラゴンは戸惑いから強い意志を持った表情に変わっていった。(ように見えた)

撤回しろよ!『自分には何もない』って言ったこと、撤回しろ!

ドラゴンが叫んだこの言葉こそ、荒地の仲間が抱くハイエナへの気持ちだろう。

この後の喧嘩は、拳は、いかにみんながハイエナのことを好きかってことを伝えるものだったと思う。
愛だ

「あたしらがお前のことをどれだけ好きか、分からせてやる!」

そんな声が、聴こえた気がした。

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●ダチなんだ


ハイエナと拳を交えるのは、幼なじみであるネロドラゴンだった。

ネロだけでもなく、ドラゴンだけでもなく、2人だってのが熱い。
ネロが「ネロ」になる前から友達で、
復讐にとらわれ暴君と化したときも、会えなくなったときも、ずっと大切な “ダチ” だ。

ネロがハイエナの両肩を抱いて訴えかけている様子も、
ハイエナの目を覚ます最後の一発を決めたのがドラゴンだったことも、
なんかもう あーーってなった。(語彙力もうすぐ終わりだから力尽きないで)


撤回する!『自分には何もない』を、撤回する!
あんたの軍門にくだるくらいなら、ダチとつるむほうを選ぶよ!お前らもそうだろ?!

荒地のみんなからの愛を痛いほど受け取ったハイエナは、ヌルを制止して、仲間に叫ぶ。

良かった! みんなの気持ちが伝わって良かった!!  涙が出た。
ドラゴンが放った言葉によるアンサーだったのも、ドラハイのファンとしては胸熱ポイントである。

そしてもう一つ、個人的に好きだなと思ったのが
ダチとつるむ
という言葉選びだ。
これってたぶん、「仲間と一緒にいる」じゃ 伝わりきらなかったと思う。


【ダチ】

「ダチ」は、「友達(ともだち)」の俗称だ。
「友達」とは、対等に関わっている人や、互いに心を許し合う人のことを指す。
「仲間」とは、ともに物事に取り組む人のことを指す。

もちろん「仲間」という言葉が冷たいというわけではないが、
何もないと思っていた自分に対して全力の愛をぶつけてくれたみんなは、「友達」と呼んだほうが
感じている気持ちに近い表現だったのではないだろうか。

無条件に好きでいてくれる
無条件にそばにいてくれる

それが「友達」なのかもなって、親友たちの顔を思い浮かべながら、思った。


また、「ダチ」というのは3人にとって原点のようなものじゃないかと思っている。

前作でもこの言葉は使われていて、
番長の手下にボッコボコにされているドラゴンとハイエナの前に現れたネロは、

「悪いけど、ダチなんだ。」

と言って、手下たちを一蹴する。


ためらいなく「ダチだ」って言える関係性で、
助けるのも一緒にいるのも何でも、「ダチだから」って理由だけでいい
そんな3人のたしかな絆を強調してくれる単語なんじゃないかと思った。


【つるむ】

「つるむ」は「連む」と書いて、一緒に行動することを指す言葉だ。
しかし、たいてい悪い行動に対して使われる。本来の意味から飛躍したニュアンスが込められた単語だ。

あえてこの言葉を使ったのは、ハイエナが荒地を受け入れられたことを示すためなんじゃないかと思う。

荒地はすさんだ街だ。死んだ街だ。
でもバラも見つけていたように、良いところもいっぱいある。
自分のことを大切に想ってくれる仲間が、友達がいる。
「どん底」なんかじゃない。「ゴミ」なんかじゃない。

そう思えたからこそ、劣等感が薄れたからこそ、言うことができた言葉なんじゃないかと思った。

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●ゆるっと感想


寝返ったハイエナに対して 荒地のみんなが叫ぶシーン、本当に熱い。
荒地って仲良しこよしなわけではなくて、なんならメンズーアだって誰が一番か決める戦いであって、
いつもいつも拳を交わしてきているわけで。
じゃあ敵か? っていうとそうじゃなくて、同じ境遇で戦いつづけてきた「仲間」なんだよなーー。

全員の台詞がそれぞれ “らしい” うえに熱いので、ぜひ聞いてほしい。


また、語らないハイエナからも目が離せなかった。
仲間の言葉に揺れて心が引き裂かれそうな様子が、台詞もないのに伝わってくる。
佐々木優佳里さんの演技にあらためて惹かれた。

そしてアンサンブルも実は良い表情をしている…!
これは角度によっては見えないかもしれないけど、配信だと長友彩海さんと佐藤妃星さんの表情がよく映る。
ハイエナを想っていることが伝わってくる気がした。

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撤回しろよ!『自分には何もない』って言ったこと、撤回しろ!

感情を前面に出して、心から叫ぶドラゴン。

冒頭のメガホンを持って叫び、民衆に語りかけるシーンにも圧倒されたが、このシーンこそ圧巻だ。
ドラゴンのハイエナを強く想う気持ちが伝わってきて、個人的に最も涙を誘うシーンだった。

ふだん激情を晒すタイプではないように思うし、良い意味で「誰?!」ってなった。

初めてこの舞台でAKB48を見た人がいたとしたら、
まさか いつも「うふふ♡」って笑ってるだなんて思いもしないだろうなあ←


その世界で、その人として生きている、というか。
ドラゴンだった。荒地でまさに生きていた。


演じる岩立沙穂さんをもっと見てみたい、と思いました。
ワクワクするんだぜー。

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ちなみにHuluでの見逃し配信期間は

13時公演  9/5(日)21:00まで
18時公演  9/6(月)12:00まで


「あとで観よう」と思っていた方はお早めに!
なお、13時公演のゲストパートでは 貴重なドラゴンさんの萌え台詞が見られます←

龍岡道代ちゃんに告白されたい人生だった…(?)


※「龍岡道代」はドラゴンの本名です。前作参照


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一番書きたかったことが書けたので、今回はこのへんで。
もういくつか強く心に残っていることがあるので
もしかしたらnoteに置きにくるかも。

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舞台マジムリ、楽しかったなー。
無事に開催されて、そして観劇することができて、良かったです。

ありがとうございました。


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