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ソーラーシェアリングは農業👩‍🌾を変えれるか?

〇ソーラーシェアリングに関して

1.国土面積的問題
 2030年度に脱炭素化を目指すロードマップを前提とすると現状の国土では、既に十分な空き地は残っていません。そのため、荒廃農地に置くしかないという規制委員会の圧力は、今後も強くなり、規制は緩和される傾向にあります。

2.農家の年齢の問題
 現在、5年ぶりの農業センサスが更新され、農業者の平均年齢が67.8歳となりました。太陽光自体の収支計算が20年前提なので、50歳代後半までが開始の限界年齢ではないでしょうか(後継者がいる場合は別)

3.収益問題
 毎年の収支は、初期投資費用により、大きく変化します。現在、固定買い取り制度が、12円である現状をみると、100kWの売電予想が、10万kwhなので、132万円(税込み/年)
来年度は、11円なので、121万円です。今からすぐにはじめると前者に間に合いますが、11月以降には、後者の収支となる計算です。融資の問題は後でふれますが、一般的にいわれている利回り10%を狙った場合、1300万くらいで全てを作る必要があります。15年ローン、1.5%の場合、保険、メンテナンス各種費用、返済を考えると30万円/年くらいしか残りません。ただし、16年目から120万くらいになるということと、25年くらいは利用できるので、21年からは、年間100万くらいは計算できます。

4.融資問題
 政策金融公庫のL資金は、利用できるようなことを書いてありますが、これは自家消費のみのため、現状は利用できません。(ただ農水省担当は、頑張っていれようとしているので、今後はわかりません)信販などは、利用できたとしても年率2.5%なので、あまりよくありません。現農業者は、基本的にJAか、政策金融公庫、地銀利用となると思います。

5.資材問題
 ソーラーシェアリングの架台は、一般的に2m以上が必要とされ、その分、通常の地面置き架台に比べ、高額になります。通常は、高くても50cm程度。また現在はパネルが高騰しており、その点も販売施工価格が高くなる傾向にあります。

6.荒廃農地収量制限の緩和
 荒廃農地、耕作放棄地とわかりづらいですが、1号遊休農地に関しては、今まで8割の収量がシェアリングの必須要件とされていたところ、今月通達で緩和される予定ですが、農水省がいろいろと知恵を絞り、いくらかの制限をかけようとしています。しかし傾向としては、今後も緩和されていく方向です。

https://www.maff.go.jp/hokuriku/kokuei/shinacho/attach/pdf/koho-35.pdf

7.電柱問題
 シェアリングは一般的に、低圧(50kW)未満で行われることが多いでしょうが、近くに電線が必要となり、近くにない場合には、電力会社に支払う負担金が高くなります。またこの負担金は、場所によって上下します。(40万~160万?)このことも20年の収支には大きな影響を与えるため、開始前に検討が必要です。

8.所有権問題
 自分でやるか、他社所有で、下だけ耕作して、耕作料をもらうかによっても大きな違いがでます。後者はリスクは少ないですが収益は低いです。

まとめ
 シェアリングを自前で行う際の注意点としては、自分の年齢、初期投資費用を考慮する、自前資金、融資が用意できるか、収益に満足できるか等の考慮が必要です。ただ若い人であれば、いますぐではなく、15年~25年の収益を考えれば、年間100万以上が収益になるのは悪くないでしょう。また面積に比して固定資産税が農地並み課税な点も通常太陽光より大きなメリットです。実はやるかやらないかは一二年後でも考えられるので、電力会社への固定買い取り制度に申し込んでおけば、12円は今ならば、取得できます。(ただ工事の紐付きとならないように、独立した申請代行を頼む必要あり)
 やりたいという人にアドバイスするならば、今後コロナ後を見据えて、パネルや設置費用は低減していくため、一応固定買い取り制度において、経産局申請12円、もしくは11円を確定させておくという考え方があります。考えようによっては、年30万でも15年後以降には100万となるので、2つも持っていれば、結構よい老後資金になるという見方もあります。また収支を全て返済に回せば、11年くらいで返済できます。
 またスーパーL資金、S資金の融資が解禁され、金利0となれば、収支も大きく改善されます。また固定買い取り制度がなくなっても、おおよそ10円程度での売電は可能なため(契約方法が複雑になります)、数年で終わるものではないため、数か所持つことも可能となるでしょう。
 個人的には電気工事以外を自前でできるようなマニュアルを農研機構が作ってくれればと思っています。(足場パイプハウスはあり)あるいは、ハウス一体型の場合、架台部分はL資金などを利用できるため、この場合も収益増になるかと思っています。

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