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【ARI】🐍刮目せよ、呑み込まれる前に🐍【WBCメンバーまとめ(野手編)】

 2月18日の京都牝馬ステークスでララクリスティーヌが私の期待と2番人気に応え見事優勝しましたので今週初投稿です。


※この記事は以下の記事の続きです。投手編も合わせてお楽しみください。


一覧

前回出した選手一覧を再掲します。

列見出しの色を試行錯誤してるのですが、グレーは汚いっすね…

 今回は野手5人を紹介します。前回はあまりにもマイナー下層に在籍する選手が多かったため苦戦しましたが、今回はそんなこともなさそうですね。よろしくお願いします。

捕手

Dominic Miroglio(ドミニク・ミログリオ)🇮🇹


 ミログリオはAAAでプレーする27歳(3月で28歳)の苦労人。高校時代にアスレチックスから40巡目でドラフト指名されたものの拒否してカリフォルニア大学ロサンゼルス(UCLA)に進学します。しかし、強豪UCLAではなかなか出場機会を得られなかったミログリオはサンフランシスコ大学に転学。結果2016年にレイズから16巡目指名を受けますが、これも拒否します。当時のミログリオは大学3年生で好成績を残しており、翌年はさらに指名順位を上げられると見たのでしょう。

 ただ勝負の翌2017年、ミログリオは手の故障で出場機会を減らし、結局D-backsから20巡目と前年よりも低い順位での指名を受けて入団することとなりました。という、ちょっとついてない上に日本ではなかなかないややこしい経歴の持ち主です(アメリカではちょいちょいある)。

 こうしてプロの世界に入ったミログリオは初年度の2017年からRk級で好成績を残し、翌2018年にはとんとん拍子でAA級まで昇格。2019年にはMLB公式のプロスペクトランキングで27位にランクインするなど、さらなる成長が期待されましたが7月頭に故障し、シーズンの半分を棒に振ってしまいます。それでも翌2020年には招待選手としてMLBキャンプに参加することとなり、いよいよAAA、そしてMLBが……!?

 と思ったらCOVID-19のおかげでマイナーは中止に。

 そんな感じでどうにもついてないミログリオですが、2022年はAAAで63試合に出場し、OPS.823と及第点の成績(注・D-backsのAAAは超打高)。これを受けて2023年のスプリングトレーニングでは招待選手としてMLBキャンプに参加&イタリア代表にも選ばれました。決して若くないミログリオにとっては、千載一遇のチャンスが到来したと見るべきでしょう。代表でのプレーで結果を残し、MLB契約に向けて弾みをつけたいとの思いは間違いなくあるはずです。

 そんなミログリオの武器は守備です。プロスペクト時代から彼の捕球技術やグラウンド内での優れたリーダーシップは高く評価されていたほか、肩の強さは平均程度だが送球モーションが速いためある程度走者を刺すことができると見られていました。

 また、打撃面では優れたアプローチが最大の武器です。昨季のAAA・リノでミログリオは243打席に立ち31三振、25四球という好成績を残しました。BB/Kで見ると、チーム内ではAlek ThomasやJake McCarthyといったMLBレギュラークラスとそれほど変わらない成績です。加えて長打力の指標となるISOは.224を記録しており、これはCorbin Carroll(.248)やThomas(.217)とくらべても引けを取りません。昨季の成績だけ見れば、MLBクラスと変わらない長打力やアプローチを備えていると見てよさそうです。

 今回のWBCでイタリア代表として選出された捕手は4人。ミログリオは実績だけで見るならば、Brett Sullivan(ブレット・サリバン。パドレス傘下AAA)と併用で捕手のレギュラー争い、あるいはプラトーンで起用されると見られます。また、ほかのポジションとの兼ね合いですが一塁やDHで起用されることもあるでしょう。どちらにせよ、ある程度出場機会が与えられるのは確かです。イタリアは日本と当たる可能性も十分ありますので、対戦時には注目して見ていただけるとうれしいです。


内野手

Emmanuel Rivera(エマニュエル・リベラ)🇵🇷

 Wikipediaだと「エマヌエル・リベラ」なんですね。知らんかった。

 リベラはプエルトリコ🇵🇷出身のパワー溢れる三塁手です。2015年にドラフト19巡目でロイヤルズから指名を受け入団し、2018年にはMLB公式のプロスペクトランキングで11位にランクイン。その後はしばらく足踏みする場面もありましたが2021年にMLBデビュー。29試合に出場しました。

 その後翌2022年にはLuke Weaver(ルーク・ウィーバー)とのトレードでD-backsに移籍すると、三塁のプラトーンとして起用され、移籍後はfWAR1.0を記録する活躍を見せました。右のパワーヒッター不足に陥っていたチームにとって、移籍後の148打席で6本塁打を放ったリベラの活躍は大きかったですね。

 豪快なバッティングを見せるリベラですが、その真価は打撃ではなく守備にあります。もともとプロスペクト時代から守備には定評があったリベラですが、昨年は701.2イニングの三塁守備でDRS6/UZR0/OAA3を記録。評価がまちがいではなかったことを証明しました。

すごいやろこの肩、このフットワーク。

(なんでカンザスシティ時代のしかないねん)

 今回のプエルトリコ代表は野手の多くがMLBプレーヤー(NPBからはDeNAのソトがいます)。特に内野はハビアー・バエズ(Javier Baez/タイガース)、ホセ・ミランダ(Jose Miranda/ツインズ)、フランシスコ・リンドーア(Francisco Lindor/メッツ)、エンリケ(キケ)・ヘルナンデス(Enrique "Kike"
Hernandez/レッドソックス)などレギュラークラスが揃っていますので、どの程度出場できるかは正直謎です。ただ、三塁の出場を争うであろうミランダは守備がかなり怪しい上、外野手のメンツを見る限りキケ・ヘルナンデスは外野に回るでしょうから順当に行けば三塁である程度の出場機会を得られるはずです。

 前回までの2大会連続の準優勝を果たしているプエルトリコですが、今回も投打ともに充実しており、十分に優勝が狙える戦力を整えているように思えます。日本と対決するかはわかりませんが、見る機会があればぜひ、リベラの華麗な三塁守備に注目していただければ……と思います。

Ketel Marte(ケテル・マーティ)

 押しも押されもせぬアリゾナのスターです。ここ3年は故障による離脱に悩まされていますが、2019年には打率/出塁率/長打率.329/.389/.592をマークしfWAR6.2を記録。二塁に加え外野も守れ、しかもスイッチヒッターという万能さも相まって一気にチームの顔に成長しました。2027年までの長期契約を結んでいますので、今後もD-backsを攻守両面にわたって支えてくれると見ていいように思われます。

個人的には右打席の時の方が好きです。構えが。

 そんなマーティですが、どの程度の出場機会を得られるかは正直不透明です。今回のドミニカ共和国は例年のごとくとんでもないスター集団。あまりにもネームバリューがすごすぎてドン引きするレベルです。ただ、一方で内外野をこなせるユーティリティはマーティしか選出されていませんので、そのあたりの需要はありそう。出番は多くないのかもしれませんが、がんばってほしいです。

 余談ですが、表記揺れが多いのもマーティの特徴。Ketelは「ケーテル」なのか「ケテル」なのか謎ですし(現地の発音を聞いてるとケテルな気がします)、Marteは「マーテ」なのか「マーテ」なのか「マーテ」なのか「マルテ」なのかも謎です(元阪神のジェフリー・マルテに引っ張られがちな気が)。日本語放送時の字幕にもご注目ください。


外野手

Dominic Fletcher(ドミニク・フレッチャー)🇮🇹

 大谷の同僚のフレッチャーの弟と紹介されそうでなんか嫌な予感がしますが、兄はエンゼルスのデビッド・フレッチャー(David Fletcher)です。2019年のドラフト2巡目追補指名でD-backsに入団したプロスペクト。2020年のCOVID-19の影響によるマイナー中止で割を食ったとはいえ、3シーズンでAAAまで到達した次世代のレギュラー候補



と言いたいところですが、すでにD-backsの外野はフレッチャーより年下か同世代の、しかも同じ左打者で埋まってしまいました。2023年もどの程度出番があるかは正直不安……。

 さて、そんなフレッチャーですが選手としての能力は確かです。マイナー通算で出塁率.358を記録する出塁能力は1番打者に適任でしょう。また、2022年はAA/AAAで12本塁打を放っており、身長175cmとMLBの選手としては非常に小柄ながら1発もあります。

 加えて、最大の魅力はその守備でしょう。MLB公式のスカウティングレポートによると、D-backsの関係者はフレッチャーをチーム1の外野守備力と評価しているとのこと。それがわかる動画が以下です。

 正確なコース取りとクッションボールへの対応、そして正確な送球。

とんでもないスコアになってるのはリノのお約束。

 というわけでこれだけ宣伝しましたので、もしイタリアと対戦する時にはぜひ「フレッチャーの弟」とか「大谷の同僚の弟」と呼ばずに「ドミニク・フレッチャー」と呼んでください。よろしくお願いします。



Alek Thomas(アレク・トーマス)🇲🇽

 この人がメキシコ代表で出られるとは正直思っていませんでした。2022年のプロスペクトランキングではMLB公式で全体18位、Fangraphsでは全体21位、Baseball Americaでは全体32位、Baseball Prospectusでは全体37位……。という全会一致のトッププロスペクトです。なんとまだ22歳。

 身長180cmと決して大きくはない(むしろ小さい)トーマスですが、2021年のマイナーでは435打席で18本塁打、2022年にはMLBで381打席に立って8本塁打を放つなどかなりの長打力を持っています。つまりかなり打てます。また、守備は肩こそ弱いものの広大な守備範囲が最大の売り。2022年は守備についた907.1イニングすべてで中堅を守り、DRS6/UZR4.2/OAA6とすべての指標でプラスを叩き出しました。つまり上手い。さらに走塁では全体5%に入るスプリントスピードを誇ります。要するにめちゃくちゃ足が速い。結論、走攻守三拍子揃ったいい選手です。

 今回のメキシコ代表は個人的に優勝候補と見ていますが、これはトーマスやアレハンドロ・カーク(Alejandro Kirk/ブルージェイズ)、ルイス・ウリアス(Luis Urias/ブリュワーズ)といった若手の主力選手が多いのも一因。穴党なので上がり目が大きい選手の多いチームにはついつい期待してしまいます。メキシコはドジャースのフリオ・ウリアス(Julio Urias)が早々にキャプテンを買って出るなどWBCへの熱意も高い印象。ぜひトーマスにもチーム内で中心的な活躍を見せてほしいものです。


まとめ

投手に比べると野手にはAAA-MLBクラスの主力クラスが多く集まった印象。もちろんこれは投手の方が野球が盛んでない地域でもMLBと契約しやすいという事情も絡んでいるのかと思いますが。まあなんでもいいので、とにかく怪我なく頑張って欲しいです。

 

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