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ツーバス上達に役立つトピックス その1

※この記事は2年ほど前に別のブログで書きしたためたものを再編集して公開しているものです。


ツーバス上達でこれまでブレイクスルーを起こすキッカケとなった様々なトピックスを思いつくままに書き綴ってみようと思う。

とはいえども世の中には数多くのプロのドラマーがおり、星の数ほどの教則本が溢れている。そんな中で単なるアマチュアドラマーにすぎない私が書くTipsに意味があるのか。

あるかないかで言えば、あると思う。なぜなら発展途上の人が抱える問題点に関して、それを克服して間もない者こそ、何が悩みだったか、どう乗り越えたかなどを一番鮮明に記憶しているからである。

たとえば、スタンダードな8ビートが叩けない、手と足が分離して動かせないという人がいても、自分には今さらそれに苦戦した頃の記憶がほとんど残っていないから明確なアドバイスが出来ない。それと同様にツーバスをなに不自由なく自在に踏めるレベルの人は発展途上の人の悩みは明確に覚えていない、と思われる。

のど元過ぎれば熱さを忘れる。それが人間である。しかも楽器演奏というのは得てして「自転車に乗るようなもの」なのだ。最初は補助輪なしでは到底無理だと思っていても、いったん乗れるようになると無意識に出来てしまう。(これは神保彰か誰かが言っていた内容だが、これはすごく大事なとらえ方であると思う。)

「自転車に乗るとき何に気をつけてバランスを取って乗っていますか?」と言われても、「いや、特になんも……」となってしまうように、完璧に出来るようになると、最早それは考えながらやっているのとは違う。感じているんです。感じていたいんです。連なって輝く、止めてもあふれる、I love you because you are you~♪ Twilight Skyホンマええ曲や~。あ、いや、失敬。

巷で有名なのに地獄のメカニカルトレーニングフレーズという教則本があるが、3ページ目くらいの紹介フレーズにいきなりテンポ210だかのツーバスが入っていて、それが出来ない人は「ゆっくりなテンポからツーバスを踏む練習をしよう!まずはテンポ180から!」みたいな読者のことを完全にバカにしたような内容で教則のかけらもない。出来ない人の気持ちなんてこれっぽっちも考えていないのである。


だからこそアマチュアである私が現時点でなにが役に立ったのか、ということをまとめてみようと思い立った。ちなみに私はけっしてツーバスのセンスがある人間ではない。数年前(※執筆時点)の私はそれこそテンポ120ですらロクに踏めないポンコツだった。だからセンスがあって大して練習もしてないのにスコーッと踏めてしまうような人を見て自分の才能のなさを呪っていたりしていたものだ。

さて、今回本題としてまず最初に言うことはもう決まっている。

ツーバスが出来ない!という読者の方、もしかして安物のツインペダルを使ってはいないだろうか。もしそうなら今この瞬間にそんなものは捨ててしまってほしい。

とにかくアマチュアこそ筆は選ぶべきだと思う。弘法筆を選ばず、という言葉はこれから学び始める人が使う言葉ではない。自分は上級者だと吹聴しているわりに大したことない人を揶揄するときくらいしか使い道のない汎用性の低い言葉だ。義務教育で扱うことが不適切なレベルの低級慣用句であるので、今すぐ忘れるのがよい。そして、パールのデーモンドライブを買うことを強く勧める。

以前のエントリーでも書いたが、良い道具を使って良いフィードバックを得て最短で成長を実感し、練習を続けるモチベーションとする。これが、なによりも大事である。高い楽器を使うことでモチベーションも上がるし、自分に対する責任も生まれる。とにかく良いペダルを使うのは必須条件である。デーモンドライブは私が尊敬するプロドラマーが軒並み使っているので、少なくともペダルが原因で出来ないということにはならないと言い切れる。

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話題は少し変わって――、ここ数年で急速にインターネットコンテンツが充実している。少し前までは高額の授業料を払わないと手に入らなかったような情報や、図書館で手探り状態でいろんな書籍をひっくり返してようやく得られていたような体系づけられた知識が、今ではYouTubeなどで映像付きチュートリアルとして無料でいくらでも見ることが出来る。

日本人でもYouTuberと呼ばれるような人たちが台頭してきて、電子機器や安価な食料品などのレビューならもはや腐るほどあふれている。ドラムに関する動画なども非常に充実していて、やる気のある人なら自主的にいくらでも学べるようになっているといっても過言ではない。

しかし、メタル音楽が下火の日本ではツーバスに関する動画は、その広汎性の低さからか海外に比べてあまり多いとはいえない。海外製なら多くの動画があるが、いかんせん日本人は英語コンテンツに極度のアレルギーを持っている人ばかりでなかなか海外で投稿された優れた動画を視聴する人は多くないように見受けられる。

それは非常にもったいないことだと私は思う。なんと今のYouTubeは英語であれば、字幕すら自動生成してくれるようになっている。機械的に生成されているため、専門用語などだと正確な単語になっていないことも多いとはいえ、「読めはするけど聞けない」という日本人にありがちなケースには非常に役立つ機能である(※執筆時点より英語字幕はめちゃくちゃ進化している)。

今日はこれだけ言って、私が練習するに当たって役に立った動画を列挙して、あとは勝手に見て勉強してね、オシマイ。というのでも良いのだが、それもあんまりなので1本の動画を軽く意訳しつつ紹介したいと思う。


今日紹介したいのがこの動画だ。

10分程度なのでまずは見てきて欲しい。英語はわからなくても映像を見ればなんとなくわかる。

投稿者のEugene氏は、多くの知人から速いツーバスをどうやって踏めるようになったのかという質問を受け、この動画を作ることにしたらしい。

世の中には星の数ほどの教則ビデオ、書籍の類いがあり、もう見知ったような内容も多いかもしれないが、それでもこの動画であなたをモチベートしたい、ツーバス練習のキッカケとしたいとしている。

動画はふたつのパートで構成されており、TheoreticalとPracticalに分かれている。さしずめ理論編と実践編といったところだろうか。
そしてEugene氏は実践編よりも理論編が重要だと説いている。

■Theoretical
高速ツーバス(Achieve high speed)のためには3本の矢が必要。
Patience、Perseverance、Disciplineである。

これらの言葉を英和辞書で引いてもあまりピンと来ないかもしれないが、英語では「忍耐」に関する語が多い。patience、perseverance、endurance、persistenceなどだ。
日本人的発想として、必要以上に苦しむのを美徳とする節があり、どんな苦しみもとにかく我慢なのだ。いろいろな苦しみがあるのになんでもかんでもひっくるめて有象無象、天地万物、森羅万象をすべて我慢という便利な言葉で片付けてしまう。このような言語感は、原因究明・分析を背景とするローコスト化の阻害を助長するものである。日本人は他人が楽することを認めない。自分が100の労力で100の成果を得てきた者は、20の労力で100の成果を得る者を卑怯者だと揶揄する。20の労力で済む方法を広く流布して全体の最適化を図ることをせず、自らの無駄になった80の努力が報われないというエゴイズムで封殺していく。足の引っ張り合いの集団といって差し支えない。だから日本人の書く教則本は役に立たないのだ。

と、中学生とかが喜びそうな適当な批判文を思いつきで書いている場合じゃなくて、PatienceとPerseveranceの違いについて述べよう。私はとても仕事が丁寧かつ親切なため、上で各語に英英辞典へのリンクを貼っておいたので、まずはそれらを読んできていただきたい(※リンク貼り直すのが面倒なのですいませんが気になる人は自分で調べてください)。

簡単にまとめると、Patienceは精神的タフさ、Perseveranceは目的を完遂するための粘り強さ、である。Patienceとは短気の逆である。すぐ腹を立てずにグッと抑えてこうや、という感じ。PerseveranceはDon't give up easilyということである。目的を決めたらそれを成し遂げるまで決して諦めない気持ちのことである。日本語だとここらへん一緒くたにされてしまっているから、ちゃんと意識して動画を見ないと違いもよく分からないまま何も頭に入ってこない。ちなみにEnduranceはPatienceが精神的タフさだとすれば肉体的タフさである。長距離走メッチャきついけど、止まらず走り続ける俺たち青春みたいな忍耐のことを指す。

それぞれの項目で言ってることを適当に端折りつつ意訳すると、

◆Patience
だれもが同じチャンスを持っている。君があこがれているドラマーだってみんな最初は同じだったんだ。一朝一夕にテクを身につけられる奴なんていない。君が才能にあふれていてそれが可能だと自負するならこのビデオを見るのは止めて勝手にしてくれ。でも逆に言えば、才能が無いって絶望する必要無いぜ。君もかならず出来るようになる。

◆Perseverance
目的をしっかり見定めてくれ。多くのドラマーが貴重な時間を無駄に費やしている。楽な道、ショートカット、ずる、あっと驚くような仕掛け、いくら探してもそんなものはないから、そんなことに時間を浪費するな。苦しい道は誰もが避けて通りたい。そういう道は成果が遙か遠くに感じられて、モチベーションがなくなっていく。かつての私もそうだった。通ってきた道だからわかる。だが、楽な道はない。粘り強くやることこそが唯一の勝利の道なのだ。

◆Discipline
めっちゃ到達点が遠く感じるだろう、諦めたくもなる。たとえばテンポ180で行き詰まりを感じて、そこでやめてしまったり。続けてやっていれば必ずうまくなるってことはみんな分かっているはずだ。でも、なぜかやめてしまう。それが正しい方法だとわかっていたはずなのに手応えが感じられなくて諦めてしまうんだ。やり続けるには意思の力がいる。他の誰にも証明する必要は無い。自分自身に証明するんだ、自分は出来るってことを。YOU CAN DO IT! PROVE IT BY YOURSELF!絶対出来る。保証してやる。

なんというか、修造を想像するといいんじゃないだろうか。


■Practical
実践的な内容なので、箇条書き。

・靴を履け
・椅子に深く腰掛けろ
・デーモンドライブを使え
・ロングボードにしろ
・スプリングはメッチャ張れ
・膝の角度は少なくとも90度より広く
・手で早く叩くとき手首とか指を使うように、速く踏むには足首を使え
・スイベル奏法には2種類ある
・足の筋肉はこわばらせるな
・とにかくリラックスだ
・テンポ170で1日30分やれば20400発だ(続けることが最重要だ)
・自分のレベルにあわせてメニューは変えてもいい
・1週間で驚異的に効果が出るからだまされたと思ってやってみろ
・とにかくリラックスした状態をキープして踏んで踏んで踏みまくれ

重要そうな部分について見ていこう。

まず、靴。靴は絶対に履いた方が良い。コンバースのスニーカーと同じような形状のものがもっとも望ましい。靴底の厚さがほぼ一定のものだ。とにかく四の五の言わずにコンバースでもVANSでも買うこと。

個人的に圧倒的におすすめの靴がVANSのV98CLAシリーズだ。ソールの厚みと靴自体の重さがツーバスを踏むためにあるのかと思うほどしっくりくる。ドラム用の靴はもう絶対にこれしか買わないと決めている。つい今月も買ったばかりだ(※編集時に追記)。


そして椅子。これは教則本によってはワンバス前提で前半分に浅く腰掛けろとか書いてあるが、ツーバスをやるなら絶対に深く腰掛けること。これだけで一気に出来るようになる。両足を浮かした状態で安定しなければ、ツーバスが踏めないのも当たり前。

デーモンドライブについては以前のエントリーを参照のこと。フットボードはロングボードのほうが絶対に良い。連打はスピードレンジによって踏む位置が変わるので、長い方が圧倒的に制御しやすい。

そして超重要なのがスプリング。もうとにかく強い方が良い。フットボードはスプリングによって元の位置に戻ろうとするわけで、これを弱めていては物理的にまったく理に適っていない。たしかに踏み心地は重くなったような気がするかもしれない。だから抵抗感の少ないようにバネを緩くしている人を多く見かけるが、それでは一生踏めるようにはならない。ビーターを動かしているのは足ではない。バネだ。バネが伸ばされることによって生じる復元力がビーターを動かす。手でビーターをフットボード側に抑え付けてから手を離せば、バネの力によってビーターは振動する様子はドラマーならよく分かると思う。摩擦により振動はどんどん減衰していくが、足の力が必要なのは、その減衰による分だけである。バネの力を最大限使うには、バネの伸びを最大にしなくてはならない。それはフックの法則という歴然たる物理式が証明している。

うーん、もっと理論的に説明したくなってきたのでフットボードのメカニカルな話はまた次のエントリーに回そうと思う。またしても長くなってしまったので今回はここまで。

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