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ドラムのモニター環境構築 その1

プロがライブで演奏する様子をYouTubeなどで見ると軒並みイヤモニをしていることに気付く。

アマチュアレベルではそんなに大きなハコで演奏することはないが、プロともなると巨大なステージに爆音が響きわたっているわけで、そんな中ちゃんときこえるようにモニタースピーカーから出力していたら鼓膜をつんざくほどの轟音になってしまう。

演奏を生業とする人たちがそんな耳をぶっ壊すようなことを続けていられるわけもなく(と言っても大昔はそんなものもなかったわけだが)、設備が充実し環境を整えやすくなった近頃ではもれなくイヤモニ環境が普及している。

実際、インターネットでプロのインタビュー内容などを見ていると今書いたのと似たようなことを言っている人が多い。もっとも、プロともなると汎用品のイヤモニを使うことはほぼなく、各人の耳に合わせたカスタムIEM(インイヤーモニター)を使用しているようだ。

これは、演奏者に限った話ではなく、ドラムテックなどの現場のPAも爆音の中で正確なモニタリングをするためにカスタムIEMを使用することが多いようだ。

ではプロじゃないアマチュアのドラマーにはイヤモニは必要ないのか?


問いかけておいてなんだが、ほとんどのアマチュアドラマーはイヤモニ環境を整えるコストをかけてまでその恩恵にあずかろうとしないだろう。

単純に返しの音を聴くというのなら、イヤモニそのものとヘッドフォンアンプまたはミキサーが必要になる。PAから別に1系統もらって手持ちのヘッドフォンアンプ(ミキサー)に繋ぐというやり方になると思われる。

イヤモニ用に1系統もらう場合、よほど狭いハコでない限りPAミキサーからステージまでの長い距離を接続するのでバランスケーブルでの伝達になると思われる。ここでアンバランスのフォン端子入力のヘッドフォンアンプでも使おうものならおそらくノイズが乗るので、ヘッドフォンアンプはバランス入力のXLR端子がついたものを選択する必要がある。(ケーブルについて詳しくないのでノイズへの定量的な影響の知見は私にはないが)

と、ここまで書いて、ヘッドフォンアンプとはなんぞや、ミキサーとはなんぞや、アンバランス入力?XLR端子?となるドラマーも多いのではないかと思う。さすがにミキサーが何かわからないということはあまりないだろうが、ドラマーは基本的に回路的なことはすべて他のメンバーやPAまかせ、というのがまかり通っているのではなかろうか。

かくいう私もつい先日イヤモニ環境を構築しようと思い立った折に、連日のようにインターネットでひそかに調べ物をして、さも以前から知っていたようにここで知ったかぶりをしている。話は多少脱線するが、そもそもなぜ私はイヤモニ環境構築を思い立ったのか、そのモチベーションの出所を書くことにしよう。

それはずばり、バンドで演奏する際にクリックを安定して使用したい、という点に尽きる。
単なる安物のイヤホンをメトロノームに接続して使用すると音量が足りない、もしくは高遮音性のイヤホンを使用すると周囲の音、自分の音がきこえなくなる。逆にリハーサルスタジオ内のモニタースピーカーからクリックを流すと、それこそ耳をつんざくレベルで鳴らさないと演奏中では音がかき消されてしまいクリックがきこえない。

練習中に他のパートにもクリックがきこえると、結局ドラムではなく全員がクリックに合わせて演奏する形となってしまい、それもなかなか具合が悪い。理想的には、ドラムはクリックに合わせ、他のパートはドラムに合わせるという形が望ましい。

すなわち、高い遮音性を有するイヤホンを用いてクリックの音を聴きつつ、かつ同時に周囲からの音を集音しイヤホンに返してやるということをしてやらないといけない。

ここで必要となるのがミキサーである。もし、普段から耳栓を用いてドラムを叩いていて周囲の音が多少マフリングされても演奏に支障がないという人は、単に遮音性の高いイヤホンでクリックを聴くだけで用が足せる場合もある。

その場合はミキサーでなくて安価なヘッドフォンアンプがあれば事足りる。だが、イヤモニ+ミキサーの組み合わせで得られる恩恵はそれだけではない。

イヤモニ+ミキサーを使って可能になる、もう一つの重要な事柄。それは打ち込み同期系の演奏が出来るようになることである。

ミキサーがあると、ドラマーは打ち込み音源とクリックの両方をモニターし、PAには打ち込みのトラックのみを送ることが可能となる。アマチュアで同期系となると導入の敷居が上がるので、他との差別化になるというだけでなく、バンドで表現出来る幅が圧倒的に広がる。

では実際にそのシステム構築にはどうすれば良いのだろうか。だいぶ長くなってしまったので、その際に必要な知識・機材の詳細などは次回以降に書くことにする。

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