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カナザワ映画祭アンコールスペシャル「地下幻燈劇画 少女椿」レポ

※このレポは作品を見たことある人向けのレポになります。

1月3日、私は名古屋シティを走っていた。
チケットが売り切れるかもという不安に駆られながら。
どうしてそんなに躍起になるのかと言うと、このタイトルにある少女椿という作品は正攻法で視聴するのが難しいのだ。
ソフト化は海外でされたものの日本では販売されておらず、入手困難。リバイバル上映はたまにしかやらない。それが今回仕掛け付きで復活するというのだ!いえーい!
師走はこの間過ぎたというのに汗だくになりながら、シネマスコーレにてチケットを購入。昼間はその辺で時間を潰した。

さて20時、劇場は準備が遅れているのか20分くらい遅れていた。
音漏れが凄くて、爆音上映は伊達じゃないなと思った。(昼間チケット買いに行った時には上映中だったが音漏れはしていなかった。)
程なくして、中に入ると座席にトイレットペーパー?やお花紙で飾り付けがしてあった。
通路脇にはお面を被ったスタッフさんが待機しておりました。画面にはウルトラQのオープニングみたいなモノクロのマーブル模様が映っており、怪しげな音楽が流れていた。

劇場の照明が落とされる。映像がフェードアウトし、男性の語りが始まった。非合法のエログロ映画はアンダーグラウンドで色んな人に楽しまれたという様な内容であった。というかこんな語りあった?
それから淡々と映像は進んでいく。仕掛け上映ということでどんな事が起きるのかと期待と緊張で終始手が汗ばんでいた。

仕掛けは全体的に人力で、待機していたスタッフさんが何かしらしていた。音声もやはり爆音で、みどりちゃんの絶叫の迫力が増していた。最初の仕掛けは、みどりちゃんが遠足行きたい……と呟くシーンの後。映像が止まり上の照明がチカチカしだす。それと同時にドコドコとおどろおどろしい音楽が鳴り、座席後方でペットボトルかスライムを潰したようなぐちゅぐちゅした音が響く。私は後ろで何が起こっているんだ?と思いいつつ恐怖で身体が硬直して振り向けなかった。しばらくして唐突にジャーンとシンバルの様な音が響き何事もなかった様に映像が次のシーンへ移る。みどりちゃんの絶叫が凄すぎた。

さて次の仕掛けは何となく想像していたが、ワンダー正光が観客にバカにされるシーンだ。映像の中で電球が割れたのを皮切りに、クラッカーがパンパンと鳴る。座席には毛糸が投げ込まれ、スタッフさんの奇声が轟く。部屋中に広がる火薬の匂い。そして映画の中の観客の叫びとスタッフさんの叫びが混じり奇妙なハーモニーを奏でていた。私の1番好きなシーンということもあり、血が滾る様な感覚を覚えた。最高!!!

最後の仕掛けは桜吹雪の大団円シーン!
前列では桜を模したピンクの紙吹雪がスクリーン前に置かれていた扇風機の風を伝ってひらひらと舞う。中央辺りからは色とりどりのお花紙が人力で撒かれていた。恐らくみどりちゃんの顔だったと思うが、アップになった瞬間、私は目の前を落ちていく紙吹雪を本物の桜だと錯覚した。キャラクターがそこにいると思った。つまり作品と現実が重なった様に感じたのだ。決してみどりちゃんがこちらに向かって棒を振るうことは無いが、まるで観客も他のキャラと一緒になってみどりちゃんを嘲笑うかの様な演出だと思った。最高〜!それと、みどりちゃんが泣き出すシーンの左下に人の手ような物が映っており、なんだかほっこりした。
エンドロールが流れ、劇場が明るくなる。そしたらまあ何と、座席が紙吹雪、クラッカーのテープ、毛糸でカラフルに染め上げられておりました。

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スタッフの皆様片付けお疲れ様です……。
あっという間の1時間でまさに幻術に見せられたような体験でした。

これは後で気づいた事だが、この上映された少女椿はネット上にアップロードされている物とは別のバージョンのようだ。(違法視聴は後ろめたい事だ。)例えば終盤、みどりちゃんが正光を探すシーン。音楽が微妙に違う。そしてエンドロール。文字の裏で実写の映像が流れているのだ。霧生館公認Twitterによると、このために新しく作ったデジタル版だそうだ。(冒頭の語りも別バージョンから持ってきたものらしい。)細かな違いや当時の資料を見たい方は要チェックだ。

霧生館公認Twitterはこちら
https://twitter.com/kiyubaru

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