エルデンリングのゲーム性を、他作品と比較してみた

エルデンリングdlc、面白いのになぜ不評なのか 
という記事は多くのいいねをもらうことができた。
しかしクリア直後の怒りに任せて書いてしまったのもあり、
とても失礼な内容になってしまったと反省している。
dlcクリアから時がたち、新たにSEKIROとダークソウル3をクリアしたので
他作品3つを踏まえつつエルデンリングのゲーム性について綴る。


そもそも:フロムソフトウェアの姿勢

世界に注目される企業でありながら、
フロムソフトウェアの規模は中小企業並みだ。
これからは親会社バンダイナムコの支援も受けて
制作していくとしても、まだまだ成長段階の企業だ。
ソウル系シリーズのゲーム性は
よく「コロコロペチ」などと揶揄されるが、
似たシステムを引き継いでいる作品群はまだまだ飽きられていない。
そもそも人間の本能に作用する楽しさというのもあるのだろうが、
作品ごとにかなりゲーム性を変えているのもその一因ではないか。

またこれはソウル系を腐敗させないフロムの工夫でもあると思っている。
勢いのあるときに人気のあるものを作りつつ、その幅を広げることでシリーズを長く愛されるものにしようとしているのではないか。

このようなスタイルなら満足度の上下は成長痛のようなもの。
むしろ喜ばしいものと考えることもできる。

ゲーム性:隙かどうかを見極める

該当作品:ブラッドボーン、ダークソウル3

このゲーム性は少し昔の作品に見られる。
ボスの攻撃自体は避けやすいが、避けてすぐ攻撃するというパターンを繰り返していると連撃を見切れずダメージを受けてしまうというもの。

このゲーム性において咎められるのは判断だ。
「これも攻撃できる!」と調子に乗りすぎると、
手痛い反撃を受けてしまう。
そうしてまた「どの隙に回復するか」という判断を強いられることになる。
操作の技術よりも冷静に見極める姿勢を求められ、
それは「プレイヤーに成長を感じさせる」という理念を
幅広いプレイヤーに感じさせることに一役買っている。
少しずつ成長するという精神さえあれば勝てるのがこのゲーム性の良さだ。

ゲーム性:状況に応じて切り替える

該当作品:SEKIRO、エルデンリング
開発時期の近いこの二作はゲーム性も近いところがある。
ステップ(ローリング)、弾き、ジャンプ、ダッシュ、
しゃがみ、霧がらす(霧の猛禽)
と、回避方法のバリエーションが多く
基本は一つだけでいいが、時々別の方法を強いられる。
SEKIROでは避けて通れない道だが、
エルデンリングでは一部のボスを除けば、
特殊な回避方法で回避と攻撃を両立できることに気づいたプレイヤーへの
ご褒美としての側面が強い。

このゲーム性は先述のものよりもゲームセンスを要求する。
コントローラーが体の一部のように馴染まないとなかなか
瞬時に判断、操作を行うのは難しい。

補足:ディレイ

プレイヤーに避け方を定着させるためか、
この二作は攻撃が大振りでかつ長く続くものが多い。
その結果、技の一つ一つが覚えやすくなっている。
隙かどうかを見極めるゲーム性はその分失われている。
ディレイには慣れないときは焦らされる厄介さがあるが、
安全に攻撃できる隙でもある。
その結果この二作は極めると尋常ではない攻撃頻度で戦うことが
可能になっているが、それは簡単に真似できるものではない。

ゲーム性:RPG的に攻略する

色の強い該当作品:エルデンリング
アクションRPGである本作だが、
実際はRPG要素の方が強い。
それが顕著に現れているのが約束の王、ラダーンである。
攻撃は苛烈で一撃一撃が命取り。
隙も少ないので盾を用いて攻撃への対処のリスクを減らす。
ダメージソースとしては多いHPを削るための出血と腐敗が有効で、
その条件を満たしつつ盾との相性も良い蟻棘レイピアが適任。
第二形態から追加される聖属性は、
王たる聖防護と新たに追加された黄金の編み髪でほぼ無効化できる。

このように非常に対策手段があるのがこのボスだ。
パリィも可能だし、魔術ビルドでは重力魔術の岩を
「レナラの満月」「ラニの暗月」で打ち消すというプレイングも生まれた。
ゲームとして攻略のしがいがあるのはいいことだ。
しかし本来の、「成長と達成感」のゲーム性は薄れている。
「成長と達成感」のゲーム性を信じて進んできたプレイヤーこそ
ラダーンに苦戦したのではないだろうか。

まとめ:エルデンリングは良作である

なんだかんだいってエルデンリングも良作であるのは間違いない。
マレニア、モーグ、メスメルのような楽しいボスを多数輩出しているし、
圧倒的なグラフィックに気持ちいいパリィ音など、
進化している部分も多い。
エルデンリングが大味なゲームなのは単にRPG要素の強い
作品というだけで、フロムソフトウェアの技術力が下がったわけではない。
その証拠として、開発時期の被っていたSEKIROは最高傑作という声も多い。
RPG化はアクション要素が強めだったSEKIROの反動だろう。

だから我々消費者はただ期待すればいい。
フロムソフトウェアはまだまだ成長途中だ。


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