何が正しいと言う話ではないけれど。

先月末、お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんが所属事務所の吉本興業から退社した件が話題になった。
その事について、西野さんと吉本興業の養成学校NSCで同期の「南海キャンディーズ」山里亮太さんが、ラジオ番組の中で思うところを話していた。
西野さんは、同期の中でもトップレベルの速度感でスターダムにのしあがり、あっという間にテレビのレギュラーを手に入れていた。本人は常に新しいことに挑み、批判を恐れずやって来た「炎上上等」スタンス。自らに対する批判も何なら取り込もうという感じ。今では笑い話だが、ハロウィンの終わった後、ゴミだらけになった渋谷の街で「ゴミ拾いをしようや!」と呼びかけたら、「西野にゴミ拾いをさせないために先にきれいにしよう」というムーブが起きた、なんて話もあった。それでも「アンチに薪をくべる」ようにツイートをし続ける。山里さんが「SNSで自殺しようとしてるのか?」と話していたこともあった。

そんな西野さんが、先日吉本興業を退所したとニュースになった。マネージャーとのスタンスのズレと言われていて、円満退社であると本人は言っている。真相はわからないところだが、経緯からすれば担当していたマネージャーやスタッフとの間に確執や意見の相違はあったのであろう。製作総指揮を執った映画のプロモーションに対する映画のスタッフと吉本興業のマネジメントの温度差が原因とも。本人のこの映画に対する思いや規模といった部分に対し、吉本興業のスタッフに「熱量」がないように感じてしまった。それまでにも、西野さんの「革新的なやり方」で突き進み「炎上を恐れない」感じが、マネジメントをする側の吉本興業としては「持て余してしまった」部分があったのかもしれない。

この一連の動きに対し、同期の中で急スピードで先行していった「キングコング」に対して後塵を拝したというジェラシーを感じながら、それをバネに芸や喋りを磨いてきたのが南海キャンディーズの山里亮太さんである。今やレギュラー番組を16本も抱え、特番のMCまでこなすトップタレントに上り詰めても、その「嫉妬心」は全く持って消えるどころがますます増大し、それを原動力にしている山里さんにとって、「西野さん退所」の報は相当思うところがあったことは想像に難くないところだ。担当する深夜のラジオ番組で、オープニングトークの長い時間を取って話していたところからも色々とうかがえるし、おそらく奥様にはもっと深い部分まで思いを吐露したところもあったのではないかと思う。そんな山里さんが「西野は確かに同期の中でも群を抜いて才能が早く開花して、急スピードで出世していったのは本人の実力によるところが大きいとは思う。ただ、間違いなく当時吉本興業の大人たちによってものすごいプッシュがあったことも事実で、同期から見ればそれはそれは羨ましい「追い風」を吹かせてもらっているように見えていた。」というような話をされていた。

自らの才能を多方面で発揮して、だれにも追いつけないような感じで進んでいく西野さん、それに対して山里さんは「それは自分一人だけの力なのか?スタートダッシュで吉本興業のもうプッシュというマネジメントがあったことで今があるのではないか?」と投げかける。とりわけ山里さんは最初のマネージャーだった方と今も一緒にトークライブやオンラインコミュニティを企画し良好な関係を構築している。またその後に関わったスタッフがマネジメントしている後輩芸人を自分の番組のロケに呼ぶなど、過去に自らを後押ししてくれた人との関係性の中で、ストイックに芸やトークを磨きエンタメの世界での地位を固めていった。そこに大きな嫉妬心を常に秘めて戦い続けている。

より先鋭的に進んでいこうとする中で衝突もやむなしとする西野さん。それに対し同期の立場で違和感を感じたことを吐露した山里さん。本当に「どちらが正しい」という話ではないのだろうと思う。どちらに「共感」するか?についてはスタンスが別れるところではないか?少し時間を空けてから、この同期二人の「ガチトーク」は聞いてみたい気がする。

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