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労働者代表(過半数代表者)の選出、適正に行っていますか?

 皆様こんにちは。HIELCCの相談員をしています特定社会保険労務士の佐々木亮です。
 今回は、労使協定等の締結時に必要となる「労働者代表(過半数代表者)の選任」について取り上げたいと思います。毎年更新が必要な「時間外・休日に関する労使協定(36協定)」の締結や「就業規則の作成・変更」を行う際に、労働組合がない場合、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出して、協定の締結や意見を述べる当事者とする必要があります。

この過半数代表者について、省令(施行規則)では、
①労働基準法第42条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者(管理監督者)でないこと②法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること、この①②いずれにも該当する者とされています。

①の「管理監督者」とは、部長や工場長など経営と一体的な立場にある人を指し②の「投票や、挙手等の方法による手続き」とは、労働者の過半数がその人の選任を指示していることが明確になる民主的な手続きのことであり、それぞれ選出にあたっての要件とされています。
 しかし、時折みられるのが「会社側が特定の労働者を指名する。」、「説明もなくサインを求める」あるいは、「ほとんどの社員が労働者代表に誰が選任されたのか知らない。」といった事案でこれらは適正な選出とは言えません。「いつもの事だから」と安易に考えていると、場合によっては労使協定そのものが無効となる可能性もあります。
「説明もなくサインを求める」あるいは、「ほとんどの社員が労働者代表に誰が選任されたのか知らない。」といった事案でこれらは適正な選出とは言えません。「いつもの事だから」と安易に考えていると、場合によっては労使協定そのものが無効となる可能性もあります。
過半数代表者選出にあたっては、前述の要件に沿って会社側から指名することなく、管理監督者以外から投票や挙手の他、労働者の話し合いや持ち回り決議など民主的な方法で選任する必要があります。また、選出にあたっては、パートやアルバイトなどを含めた全ての労働者が参加できることも必要となります。社員に対してメール通知を行い、「返信のない人を信任したものとみなす」ような方法は一般的に労働者の過半数が選任を指示したものとみなされないと考えられており、また、社員親睦会の幹事を自動的に過半数代表者にしていたケースでは、この選出方法が否定された判例もありますので注意が必要です。今一度、自社の選出方法が適正か確認してみましょう。


厚生労働省リーフレット

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