見出し画像

夕立 day4

早起きして洗濯物を干した
ご飯は昨日炊いた米に納豆とインスタント味噌汁
また平凡な日常が始まった

昨日のことが夢みたいだ
本当にあったことなのかどうかも怪しい


「私のことどう思ってるの?」
帰りの車の中での問い
「もちろん可愛いと思ってるよ」
「あんなことして遊びにしても大丈夫なの?」
「真剣だけど、事実と環境が思い通りにさせてくれないのさ」
「いくじなしなんだ」

確かに僕は意気地なしなのだろう
彼女に対してはフィジカルな関係は良好だけども
メンタルな関係ではあまりにもビジネスだ

彼女の今、輝いている瞬間を切り取ることにたけている僕
彼女もそれを理解して他の男には撮らせない
他の男が初見で彼女を撮る画が物足らないのもあるが
他の男に撮らせるとしばらく僕が使い物にならないからだ

彼女のセミヌード、いや今はイメージ写真とでも言うのだっけ
撮影する機会
昨日のことだ
コンタクトシートを見ながら昨日の撮影の反省をする
反省をしながら、あの奇跡的な時間を反芻する

薄地の服に写し出された胸の形や、脚のライン
表情や視線の意味について考える
僕の都合のいいように解釈すればメンタル面でも僕の思い通りになっているはずだ、でも撮影現場を離れるとそんな気が全然しない


妄想を膨らませようと写真にのめり込んだ瞬間
遠雷
バタバタとうるさい音がした、雨だ
現実に戻された
あわててシーツやバスタオルを取り込む
少し濡れたがこの暑さ、すぐに乾くだろう
のぼせた頭を冷やすのには丁度いいくらいだ、感謝する