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声かけないと出会いが始まらない世界で #02

撮影した写真を彼女に見せる
「写真、上手いんだね」
「毎週、撮ってるからね」
「モデルさん毎週撮るの?高いでしょ」
「お金の話なんだw 僕が撮ってるのはコスプレでイベントとか行くんで」
「なるほどね」

手に持ったカメラの液晶部分に撮影した画像をコマ送りにして彼女に見せながら話をする
「表情が色々とあっていい感じだよね」
シリーズごとにポージングを変えているわけではないのだが、ゆっくりと表情を変えていたのがわかる

電柱にもたれて立って、最初はうつむき気味にしているが、だんだん上を向いてきりっとする。またうつむき気味になるかと思うと、目線だけこちらに向けそれからこちらに顔を向ける。最後ににらみつけた後、ほほえみだ。
これだけで話ができてしまう感じが僕の好みの写真だった

「昼間にも写真撮りたいんだけど、どうだろうか」「モデル代出すよ」
「お金の話w」
「いや大事だろ?」
「お金はいいよ、昼間ね、大丈夫」「よろしくね」
「いつにしよう」
「私は終始暇w」
「じゃあ軽く準備もあるから、来週末金曜日かな」
「楽しみ」
連絡先を交換した、これは今日撮ったデータを渡すためという口実もある


「金曜日だと社畜じゃないの?」
「今日で(正確には明日)大きな仕事に区切りつくから多分大丈夫じゃないかな」
「お仕事上手くやってねw」
「大丈夫」「君はまだここにいるの?」
「もう帰る、もともと暇つぶしなんだ」
「そうなの」
「声かけたのは僕くんだけなんだよw」
「光栄なことだな、それは」
その日はそこで別れた、彼女はいったんコンビニに入って何かを買っていた