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Left Alone/ Mal Waldron

 先日、ファンであるサイバージャパンダンサーズの「 ファン感謝祭」に行ってきた。渋谷にあるクラブだ。若い頃この辺でよく遊んだ。
 ある日株で大損し、クラブに行く気にならずこの近所のバーで1人飲んだ。古びたさすがに綺麗とは言い難いバーだ。マスターは50歳くらいか。今の私より少し若いくらい。無愛想だ。私が店に入ると おそらく 常連だっただろうか そんな客が 会計を済ませて 店を出て行った。 私はカウンターに座った。 ジャックダニエル のストレートとチェイサーを頼んだ。 当時 私は 30歳ぐらい。 若造だった。 かっこをつけて ウイスキーを頼んだが まだまだ 喉が焼けるように痛く 美味しくは飲めなかった。 私は もともと バンドをやってて それも ヘヴィメタルバンド だが 音楽は何でも好きだった。 マスターは 私に早く出て行けというような感じで 1人 奥からレコードを出してきて プレイヤーにかけた。 それがこのアルバムである。 私は 悲しげな痛々しい ジャッキーマクリーンのアルトサックスに 心を打たれた。 まるで心の傷に ウイスキーが染み込んだように焼けるように心が痛かった。 一音一音噛み締めるように聴いた。 レフトアローン という曲が終わると 私は2000円 置いて 店を出て行った。 曲の通り ほっといて欲しかった 話しかけないで欲しかった。 季節は 12月 降り始めた 東京の雨は 冷たかった。

中山 康樹 著の「ジャズの名盤 入門 」講談社現代新書 によると、 レフトアローン の作詞は ビリーホリディで 作曲が マルウォルドロンであった。 このアルバムは当初は マルのピアノトリオ でのアルバム制作だったらしいが 同時期に ビリーホリディが 急逝したので 追悼の アルバムに 変化したらしい。 なんか 1曲だけ 漢字が違うなと思っていた。 なんでジャッキーマクリーンがレフトアローンだけしか出てこないんだろうかと不思議で思ってた。 この曲 こそが 路線変更してた プラスアルファの曲だったらしい。 しかし この路線変更で ビリーホリディに捧ぐというコンセプトアルバムにしあがった。

私はCDを買うと貪り聴いた。このアルバムを一番きいた。
サイバージャパンダンサーズとは関連がないが、渋谷のこの辺りを通るとジャッキーマクリーンのアルトが自然にこだまする。

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