私は、58歳の独身おっさん。
長年タクシードライバーとして
勤めてきたが、
ある日、客と揉めて、1発でクビになった。
次の仕事も中々決まらず、
一年前から近所のコンビニで
朝から夕方くらいまで、アルバイトをしている。
最近ではセルフレジが増えてきているが、
ここのコンビニは未だ店員がレジをしている

はじめた頃は手が遅く、先輩の若い女に
叱られていたが、
最近では、自分とは思えないほど
商品を見事に捌いていく、

そんなある日。
スーツを着た30代半ばくらいの男の客が来た。

「いらっしゃいませー
 レジ袋付けますか?」
「はい」

ピッピッピッと
いつものように、商品を捌いていく。
我ながら、見事。

「以上で、1650円です。」
私が合計金額を言ったその時。

「すいません。これも良いですか?」
その男は、ジャケットの内ポケットから
白い封筒を取り出した。
その封筒には
【裏口で待ってる】
と書かれた。付箋が付いていた。

16:00。勤務が終わり、私服に着替え、
裏口を出るとさっきの男がいた。

男は口を開いた。
「先輩。お久しぶりです。
 お願いです。助けてください。」 

男はそう言いながら、深く深く頭を下げた。
私は、言った。
「あのなぁ、俺はもう、足を洗ったんや。
 頼むから関わらんといてくれ。」

そして、私は彼に背を向けて
家に向かって歩き出した。

すると、彼が私を引き留めるように、
大きな声で言った。

「【WordZ】が動き出しました。」

その言葉に全身の細胞が震え立ち、
咄嗟に振り返った。

「なに!?」
「先輩。WordZは死んでなかったんです!
 だから、お願いです!力を貸してください!
 先輩!いや、神崎刑事。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?