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追悼、ジェフ・ベック&高橋幸宏

こういうジャンルの記事を書くとは思っても居なかったのだが、やはり内心かなりの衝撃を受けているようなので、彼らの演奏をYoutube動画で振り返ることで、その人生を祝福したいと思う。

・Cause we've ended as Lovers.

1974年「Blow by blow」収録。すぐさま名盤の評価を確立したので、数年後に購入し、何度聞いたかわからないくらいリピートで聞いた。当時はCDもなかったので、カセットにダビングして聞いていたはず。スティービー・ワンダー作曲というのは随分あとになって知った。歌ではなくギターに、これほどまでに感情を乗せられるのだと知ったのは、ミドルティーンの年頃にとってはものすごいインパクトだったのだ。

・Scatterbrain

同じく「Blow by Blow」収録。当時のギター小僧たちはみなこぞってこの驚異的な速弾きをコピーしようと、指に血豆を作っていたはずだ(^o^)映像は2006年の来日ライブから。

・Blue Wind

初めて聞いたのはWiredのあとに出たライブ盤「Live Wire」、そのラストを飾る名曲。ヤン・ハマーの超絶速弾きに圧倒押されて、何の楽器の音だかわからなかった少年時代の記憶が蘇る。

・Beck's Bolero

昔見た映像ではティンパニを鳴らしてベックがボレロを弾いているのを見たことがあるが、Youtubeで見つけやすいのはこれかな。ライブの1曲めがいきなりベックのボレロ!

・Superstition

BBA時代の映像をググっていてすごいものを見つけてしまった!
白黒の上に映像はあまりに良質とは言えないが、ベックのボコーダーソロ以外にも、3人の白熱のバトルが凝縮した演奏。スーパーバンドと言われていたのが実感できる。

・Jeff's Bougie

73年の日本でのBBAのライブ音源より。これも当時のギターキッズたちはやたらとコピーに勤しんでいた。ライブでこの完成度っていったいなんなんだ!と50年後にも驚かされるとは!このライブ盤は今聞いても全曲すごい!当時会場にいた人たちは一生忘れられない体験になったのではないか?
追悼アルバムで1枚挙げるとしたらこれなのかも?

・Goin' Down

上記BBAのライブ盤にも入っている名曲「I'm Goin’ Down」、Stevie Ray Vaughanとジェフベックの共演映像( 10/28/1989)

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正直に告白しておくと高橋幸宏氏の熱心なファンではなかった。YMOはライブ盤をLPレコードで買ったど真ん中世代で、その他のアルバムは友人たちがみんな持っていたので借りて聞いた世代。
高橋幸宏もYMOで初めて知って、あとからサディスティック・ミカ・バンドの人だったんだと認識したくらい。その後はロックやポップスそのものを聞かなくなり、時折耳にする程度だったが、この79年のLAライブ映像を見かけたので紹介しないわけにはいかない。

YMOの3人の他に、ツアーメンバーとして参加したギターの渡辺香津美、キーボードの矢野顕子もみんな若い!タンスのようなMoog IIIの前で客席に背を向けて立っているのはシンセサイザー・エンジニア&プログラマの(4人目のYMOと言われた)松武秀樹!

しかし、バンドとしてのYMOの要は高橋幸宏のドラムだったんだなと実感できる映像。打ち込みやシーケンサー、リズムクリックを使った音楽の魁となったバンドと理解しているが、ライブではこんなにもGroovyなバンドだったのだ!このときの出演は実はTubesの前座で、「前座でありながらも観客が総立ちでアンコールを求めるなど、絶賛を浴びた」とWikipediaに記載がある。

シンセサイザー・ミュージックが当たり前になった現在では、このときの衝撃を理解するのは難しいだろう。無機質な音の代表と認識されているシンセサイザーをメインの音として生み出された音楽はこんなにも「人間」を感じさせる、魂を揺り動かすものだったのだ。

79年のライブはこちらのNYのクラブHurrahでのライブも評価が高い。79年10月からのトランス・アトランティック・ツアーでロンドン、パリ、NY、ワシントンDC、ボストンを回って最後に東京(中野サンプラザ)。ギターの渡辺香津美の音がLAライブより明確に聞こえて貴重!ほかに矢野顕子、松武秀樹。松武氏はこのツアーまではMoog IIIの前に陣取り背中を見せている(^^;)


翌80年のライブ映像も色々あるが、個人的におすすめなのは武道館ライブ。ツアーメンバーはギターが遠藤賢司、キーボード矢野顕子、シンセサイザー・エンジニアは松武秀樹だが80年のライブからは客席を向くようになったのはステージ映えの問題から?機材も色々進化しているのが映像からも見て取れる。
テクノカットなんていう髪型が流行ったのはこの頃から?

YMO結成当初の目標は「Grooveの排除」だったと当時も言われていた記憶があるが、めっちゃGroovyやん!!

当時も今も、YMOのサウンドを支えていたのが高橋幸宏のドラムだったことはファンも評論家たちも認めるところであり、当時よりも耳が鍛えられた今聞いてみると、まさしく「屋台骨でありスター」なのだと感じられる。

このドラムが、ヘッドホンのクリックリズムを聞きながら合わせて演奏しているのが信じられない。正確無比なのに人間味を感じるとは一体どういうことなのだろう?そういう意味では、細野晴臣がベースを弾いている曲のほうが、ドラムとベースの生み出す、音楽の腰つきのセクシーさが際立っているような気がする。

その後のYMOのライブは、機器の進化によってギターなどのサポートメンバーが必要なくなり、YMOの3人+松武氏という4人でのライブが増えていく。83年の「散開」LIVE at BUDOKANを見ていると、中期以降の曲で3人のVocalが増えたことに気づく。そのために初期の曲以外は、幸宏氏の代わりにドラムをDavid Parmer氏が叩いている。そのせいか?終盤まではとても省エネというか緻密に、スタジオライブ?というくらいクールで完成度の高い演奏に仕上げ、最後にテクノポリス、ライディーンでは昔のようなGroovyな演奏で締めくくったように感じた。ぐぐってみると、David Parmer氏のドラムが「デジタル・パーマー」と言われるくらい、クールでジャストなドラムだったから、という記載も見かけた。当時もこういう「ノリ」か音楽性か、というバンドの方向性の話題はあったように記憶している。

結局の所、自分にとってYMOの印象は、特にライブにおける打ち込み+シンセ+Groovyな曲のカッコよさで、それは高橋幸宏というドラマーの功績大なのだろう。

サディスティック・ミカ・バンドの高橋幸宏も取り上げておこう!
「タイムマシンにおねがい」Gt.加藤和彦、Gt.高中正義、Ba.小原礼、Dr.高橋幸宏、Vo.木村カエラ、Guest 奥田民生:2007年3月8日NHKホールでのライブ映像。

このときのリハーサル映像をみつけた↓

「黒船 (Full Ver.) 」-2007 三部構成: (嘉永六年六月二日 / 嘉永六年六月三日 / 嘉永六年六月四日) Gt. 加藤和彦, 高中正義, Dr. 高橋幸宏, Bs.小原礼


↓こちらは1989年の再結成時の映像。Gt.加藤和彦&高中正義、Bs.小原礼、Dr.高橋幸宏、Vo.桐島かれん

CDで販売されたこのアルバムは当時の愛聴盤だった。日本語ロックのひとつの完成形だったと、今聞いてもそう思う。この映像はTV放映されたのを見た記憶がある。桐島かれんのVocalデビューだと思うけど、彼女の若々しい歌とダンスがあまりにもカッコよくて、周りのベテランたちがガッチリサポートすればこんなにすごいライブができちゃうんだなぁと感動したのを覚えている。

サディスティック・ミカ・バンド〈歴代VOCAL・ミカ~かれん~カエラ〉なんて動画もあった!

歴代のVoを比べると、録音のせいかもしれないが、木村カエラの声の太さが好みだ。

1975年、イギリスのTVショウに出演した時のサディスティック・ミカ・バンドの映像見つけた! Vo.ミカ、Gt. 加藤和彦&高中正義、Bs.後藤次利、Kb.今井裕、Dr.高橋幸宏:「Time to Noodle」「Suki Suki Suki」

実は最初期のミカを映像で見たのはこれが初めて。幸宏さんもみんな若いね(^^;)

以上、二人の人生を振り返るということは東西のロックの歴史を振り返ることになったけれど、二人の輝かしい功績を偲ぶ一助になれば幸いです。Rest in Peace, Jeff Beck & Yukihiro Takahashi!


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