シェア
……これは、ちょっとした御伽噺。 刑事としてがんばる智樹。そして、不思議な少女、心花。 2人は遠い過去から結ばれていた……。 文字数:約9500字 推定読書時間:約15分 ……これは、ちょっとしたお伽話。 1 再会 三上智樹は重くなった体を引きずるようにして、帰路についていた。 疲れた……。 刑事の仕事は激務だ。横浜の繁華街を含む管轄ともなると事件も多い。 警察官になりたての頃は、刑事に憧れたんだけどなぁ。 何とか30才までに所轄署の刑事となった
定年間近の老刑事、重松弘。彼の右前腕には傷痕があった。 遠い夏の日の出来事……その記憶が蘇る。 文字数:約8000字 推定読書時間:14分弱 1 座間警察署捜査課 「覚えていますか?」 重松弘がコーヒーを飲み終え窓の外を眺めていると、城崎拓哉が隣に立ち徐に訊いてきた。 座間警察署捜査課の一室だ。2人して、丹沢山系の雄大な景色を眺める。 「何をだい?」 彼に視線を向けながら、重松が訊き返す。 「あれは何年前でしたっけ? その右腕の傷……」 「ああ
とある理由から「暗殺者」をやめ、立派な一般庶民を目指すことに決めたアカマ。そのために、凄腕の美人暗殺者にある依頼をする。 はたして彼は、普通に生きていくことができるのだろうか? 文字数:約8000。読書時間目安:14分弱。 1 決意? 今日から俺は、一般庶民だ。もう、殺しはやらない。 うらぶれた路地を歩きながら、アカマは何度も自分に言い聞かせた。 数時間前、トムに最終連絡もした。 もう俺には依頼しないでくれ、と……。 アカマは暗殺を生業としていたが、悪
事件を起こして逃亡したプロボクサー、富樫巧。 しかし、それには事情があった――。 文字数:約8000。読書時間目安:14分弱。 小説投稿サイト「エブリスタ」に公開中の「First challenge」を改題し、多少手を加えています。 1 富樫巧 逃亡 目を覚ますと、すでに明け方になっていた。遠くの空が白んできている。 富樫巧は、慌てて上体を起こした。 狭く汚い公園のベンチだ。逃げまわってたどり着き、一休みするために腰掛けたのだが、つい寝入ってしまったらしい。