受験小論文記録㉓ 地球温暖化とフリーライダー問題

問1 気候変動が深刻化するのはなぜか、300字以内で説明しなさい
問2 規模の小さい安定した社会においてはフリーライダー問題を回避できる理由について500字以内で説明しなさい。
問3 環境問題において、フリーライダー問題を回避する方法

問1
 気候変動対策に従事することは、長期的に見れば自国も含め、社会全体にとって多大なメリットをもたらすものであるが、短期的に見ると、環境政策の成果の大部分を享受するのは、今日の有権者ではなく将来世代である。
 そのうえ、環境問題において、ある国の努力によって得られる利益の大半は、よその国を潤すことになる。例えば、世界人口の1%の人口を持つある国が、100%自前で環境政策を実行したとしても、結果はその1%のメリットしか享受できないのである。
 このように、利益の享受者が全世界の70億人の子孫であることや、努力の大半が他国の利益になり、見合ったメリットが得られないことが、気候変動深刻化の主な原因だ。

問2
 規模の小さい安定した社会において、フリーライダー問題が回避できるのは、努力や結果が互いに見えやすく、努力を怠った場合に罰を下しやすく、当事者が直接不利益を得るからである。
 例えば、昔の日本の納税対策に、五人組というものがあるが、これは規模の小さい安定した社会におけるフリーライダー回避の分かりやすい例の一つだ。五人組の場合、達成すべき目的にあたるのが一定の年貢で、そのために一人がするべき努力の目安が明確に定まっている。もし、目的が達成されなかった場合、五人全員の席何になるので、互いが互いを努力が怠らないよう見張るのだ。
 ただし、環境問題の場合、結果や努力が比較的見えにくく、罰を下すことも難しく、今日の人々が不利益を被るものでもなく、大規模なため対策が難しいのだろう。
 実際に、この問題と同じ構造で、動物の絶滅や文明の消滅がおこっている。世界規模の社会で信賞必罰のメカニズムが働くことも難しいだろう。自国や目先の利益優先でしかものを見ない現在の各国の姿勢を変えないと日々進行しつつある諸問題は解決することはない。

問3
 大規模で、努力や結果が見えにくく、利益や不利益を被る対象が自分たちではない環境問題において、フリーライダー問題を回避ルする方法は排出抑制である。
 国際的な枠組みの中で、達成すべき規約や、分かりやすい指標を定めることだ。しかし、パリ協定や京都議定書が有名無実化し、中国やアメリカの二酸化炭素排出量は増加する一方だ。又、発展途上国からの反対などもあって、これを達成する障壁は大きい。
 そこで、排出権取引が必要である。国際的枠組みにおいて策定された各国の二酸化炭素排出割合を下回ると、その差分を他国にうることができるというものだ、これには大規模な監視組織が必要で、コストがかかるという問題はあるが、このように各国に分かりやすい利益を示して訴えることが解決につながる。

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