受験小論文記録⑰ 成熟社会である現代日本の豊かさ

設問1 日本経済に対する筆者の見方を300字以内でまとめよ
設問2 日本の産業構造がどのように変化したか、図1と図2から読み取れることを300字以内を述べなさい
設問3 一般企業の資金の動きについて、図3から読み取れることを述べなさい
設問4 前述の文章および前掲の図を参考にして、日本経済の再生や不況の克服に何が必要とされるか、あなたの意見を、具体例を一つあげつつ述べなさい

設問1
 発展途上社会では貧しいけれど、皆で一緒に頑張って働けば豊かになれたが、現代日本のような成熟社会になると、これまでと同じように遊ぶのを我慢して一生懸命働いても、経済を成長させることはできず、かえって不況を激化させてしまう。日本の論壇では、新古典派経済学とケインズ経済学の二つの経済学からしかものを見ていなかった。しかし、これらの学派が想定していなかった長期的不況が成熟社会の日本を襲っている今、需要不足を解決すべく、政府が余った労働力を使うために、生活の質を向上させる事業を税金を取り上げて行うべきだ。それによって総生産が増加し、支出が促される。そのために、自分の生活を楽しむ知恵も必要である。

設問2
図1では、電気洗濯機、電気冷蔵庫、カラーテレビが1980年に普及率100%に到達し、乗用車、ルームエアコン、携帯電話、パソコンのいずれも普及率70%を突破した。
 図2では、第三次産業の構成比、実数ともに増加し続けている。一方第一次産業は構成比、実数ともに減少し続けている。第二次産業では、1973年に構成比がピークの36.7%になるもそれ以降は減少し、実数は1993年に2194万人になるもそれ以降減少し続けている。

設問3
1950年以降、第一次産業の人材が第三次産業や第二次産業に流入して、1980年以降は工業化の時代が終わったことによって第二次産業の就業者数は横ばいになり、2000年代以降は海外に工場が移ったことから、実数は下がり続ける一方である。1990年のバブル経済崩壊まで、銀行から借り入れをして事業に対して、投資を行っていたが、バブル経済崩壊を契機に、企業は投資をおこなわなくなった。そのため企業の金の内部留保が2003年まで続き、2014年からは、海外への投資が増加し、資金余剰がなくなっていった。

設問41⃣
  モノを作ったら売れる発展途上社会が終わり、テレビや洗濯機、冷蔵庫などが普及し、物を作っても売れなくなる成熟社会に到達した日本社会で、長期不況を克服するためには、プロダクトイノベーションを生むことが必要だ。
 例えば、スマホはプロダクトイノベーションの一つである。電話もメールもカメラもひとつの機器ででき、さらにタッチパネルで操作も簡単なスマホは、一瞬にして普及し、その後も多くの便利なアプリのプラットフォームとして発達した。そして、これを作ったアップル社は一躍世界のトップ企業へ上り詰めた。
 このように、物が飽和した成熟社会での不況をぬけだすためには、長期的に見て、イノベーションを起こすことが必要である。そのために、人々が仕事のことばかり考えたり、生活の不安にさいなまれることなく、遊び心をもって生きていける社会に変化していくことが必要である。

設問42⃣
 日本の長期的不況を克服するためには、政府が社会保障を充実させることが必要である。
 日本国憲法には生存権が規定されている。この権利は、賃金が低く生活が苦しい人々や非正規雇用で生活が安定しない人々も、もちろん持っている権利である。
 医療費の国民の負担がゼロになったり、生活保護を受けられるようにすること、公共事業による雇用の創出などは、国民の生存権を保護し、生活の安心につながる。国民が安心して暮らせるようになることで、雇用や支出の増加、素早い社会復帰につながる。
 社会保障が充実することによって、非正規雇用で賃金も低く、生活も安定しないため支出を抑えていた人々も支出が促され、経済が活性化する。又、正規雇用でも基本給が少なく、残業ばかりしなければならなかった人々の時間的、金銭的余裕が生まれて支出が活性化し、経済が活性化される。

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