受験小論文記録㉖ 定年制を企業に義務付けることの是非

 定年制規定のメリットは、労働者から見ると、生活の安定を得られることで、企業から見ると少ない。又、デメリットは労働者か見ると少ないが、企業から見ると、パフォーマンスの低い社員に高い給与を払い続けることは大変である。
 日本の給与体系から考えると、年を経るにつれて給与は上がっていく。これは、自由主義経済の中に組み込まれている企業からみると、定年制の廃止と組み合わさると、デメリットしかない。入社してからパフォーマンスが最大になる50歳頃まで給料が上がって、それから下がっていく、あるいはそのままと考えても、企業にとっては痛い出費になる。もし、法律により全ての民間企業に対して定年制の廃止を義務付けた場合、このような過程で企業の利益が減り、GDPが下がってしまう。そして、必然的に国民の所得が下がり、子育てへの教育費が高い日本では、従来のように子供への投資ができなくなり、成長スピードも下がるだろう。
 従って、定年制の廃止ではなく、労働者と企業双方が正当な手続きを踏めば、定年制の延長がきるというシステムにすべきである。
 定年制とは日本の慣習的な制度で、年功序列な価値観を、自由主義経済によって生み出されたものである。新入社員は経験が浅く企業への貢献度が低いため給与が低く、仕事の経験が増えていくにつれ、給与が上がっていく、ただし60歳以降は体力も衰え、認知機能なども衰えていくため、これまで通りの給与を与え続けるわけにはいかないというのが、自由主義の中の企業の原則である。一方、資格を持っている人は、年齢はほとんど関係ないもので、定年制の仕組みに組み込まれず、もし離職したとしても、再就職ができる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?