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1年かかりました。

「おもしろい人がいる。会ってくれないか?」

社長からそんなことを言われ、夜勤明けに会ったのが、ちょうど一年前。

着いたのは、なんでもない作業場の一画に建てた小さなプレハブ小屋。中に入ると、業者のような高価な設備。

そこからすべては始まった。

「どうも、社長とは仲良くさせてもらっています。」

あきらかに年下であろう僕に、深々と挨拶をされて、少々呆気にとられた。今まで会ってきた農家さんとは、違うタイプの人だった。

その農家さんの名は、『はるさん』としておこう。

「この小屋でドライフルーツに挑戦してみたいんです。」

きっかけは、はるさんが1年も過ぎている固くて黒くなった『ころ柿』を食べたこと。

「まだ甘味が残っている、柿の味がちゃんと残っている」

柿の生命力に感動して、これを何か活かせないかと考えたのが始まりだった。

はるさんは『安心・安全』に真摯に向き合う人だった。第三者機関に提出した検査証は一冊の本になるくらいある。費用だけで言うと、とても成り立たない。

「テストとおんなじだよね。95点って言われても、僕は間違ったほうが気になっちゃうんだ。」

「研究者みたいですね」

「バカだよね? ここまでやってどうしたいの?って検査官にも言われちゃってさー。もうおれが来ると露骨に嫌な顔するんだよね」

そうだろうな、と言いたいところを あはは、と笑って誤魔化して聞いていた。

ぼくはこういう人が好きだ。どこか偏っていて不器用な人。もったいないを努力する人、『そこ?』ってツッコミたくなる人が好き。

「とことんやりましょう!農家のアンパンマンになってやりましょう」

「高いところは苦手なんだ」

違う『そこ?』がきた。笑神様には嫌われそうだが…

10月にサンプルをいただいた。

「美味いっす、さっそく…」

「まだ…もうちょっと待ってくれ」

「十分美味しいっすよ!」

「まぁ、そうなんだけど…」

「でもっ」
「わかりました!」

社長が声の上から僕が答えた。

「納得いくまでいきましょう、後悔したくないっすよね」

2ヶ月経ったクリスマスのころ、社長のところに一本のおお電話が届いた。はるさんからだ。

「できたよ!社長、お待たせ」

「何が? どうした?」

「解けたんだ!」

少年のような目をしながら、暗号に近い数式を熱く語った内容に社長は、あくびで答えていたが、僕はわくわくしながら聞いていた。

このときよりも改良しています

「だから何?って感じだよね」

「いや、すごいよ! はるさんやったことを自己満足で終わらせないよ。自分の作物を信じ抜いたからこそできたことだと思う。想いは伝わる、だから伝えていこう」


グータッチじゃなく、ガッチリと握手した。

僕らの心とともに、機械が勢いよく動き出した。



はるさんこと、小春日和農園さんとコラボして、ドライフルーツ作りを一緒に走らせてもらいました。

はるさんの『安心・安全』に対するこだわりはプロフェッショナルだったし、共感しかなかったです。

1年かかりましたが、必要な遠回りだったと思います。菌の数は特に規格はありませんが、従来品の 1/10 まで殺菌することに成功しました。

間に合ってよかった。

ギリギリでしたが、抽選会の景品として出そうと思います。来年はすももや他の果物も挑戦していきます。

もったいないを努力します。

先日、嫁さんが通っているお店からお土産をいただき、ドライフルーツだと思って食べたら、部屋の芳香剤でした。

わかりづらっ

抽選会はお正月にやりたいと思います。

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