#5. コントと即興芝居の違いは何か 〜『why me?』ができるまで〜
お客様と行なう即興2人芝居
『why me?』vol.2まであと71日!
本番を迎えるまで『why me?』に関連する内容を
Q&Aの形で説明していきます。
本日のQ&Aはこちら。
Q5:
コントと芝居の違いは何か
A5:
何を優先して描くかの違いとなります。
人間ドラマを描く事に重きを置いたものは "芝居" になります。
人の葛藤などを描く事で観客はその登場人物に感情移入し物語の中に惹き込まれます。よって、感情が揺れ動かされる作品を見た後は「おもしろかった」、あまり感情が動かされなかった作品は「おもしろくなかった」と評される事となります。
一方、観客を笑わせる事を優先した場合は "コント" となります。
コントの場合、人の気持ちの揺れ動きを描くよりも、どうすれば一番効果的に観客を笑わせられるかを計算します。
観客の評価としては、たくさん笑わせられれば「おもしろかった」、
笑いの量が少なければ「おもしろくなかった」となります。
芝居とコントの間に優劣はありません。
トレードオフというか、提供する側(表現者)が何を観客に届けたいのかによって異なります。
しかしながら、
"即興" という性質上、笑いは起きやすい
という事もまた事実として存在します。
表現者同士のミスコミュニケーションや、
客席の少年の野次、
言い間違いなど、
表現者自身が狙っていない箇所で笑いが生まれるチャンスがたくさん眠っているのが即興なのです。
これは、「コントの方が創るのは簡単」と言っているわけではありません。前述した通り、コントは観客の笑いを大きくするために計算されて創られています。そのため、狙いとは別のところで雑な笑いが発生してしまうと邪魔になる事さえあります。
そうではなく、
即興芝居を創ろうとしている人たちが
何かしらのハプニングで起きた笑いで観客を楽しませたのだと勘違いしやすいという事に警鐘を鳴らしています。
即興 "芝居" である以上は
登場人物たちの葛藤を通して人間模様を描く必要があります。
これは寿司屋に行ったらお寿司食べるのと同じぐらい当たり前のことです。
人間の葛藤こそがドラマがドラマたる所以です。
しかしそれを即興で行なうという事は決して容易な事ではありません。
ぼくを含めた即興演者は皆そこに苦心しています。
即興芝居を行った後、言われたくないセリフランキング1位は
「これだったら台本書いた方がいいね」
です。
これは言わずもがな、
「これだったら台本書いた方がいいね」
=「即興でやる意味無かったね」
=「おもしろくなかったよ」
の言い換えです。
「おもしろくなかった」と言われるのを恐れるあまり
安易な笑いに走ってしまう即興芝居の演者が
多いようにぼくは感じてしまいます。
笑いが起きればとりあえずは安心できるためでしょう。
先に述べたように、芝居とコントには優劣はありません。
提供する側が自分の好きな方をお届けすれば良いのです。
しかし、
"芝居を演りたいと思っているのに
お客さんにお届けしているのが雑なコントになっている"
という事はなかなかの悲劇であると言えます。
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