フルトヴェングラーのスカラ・リングを聴く1(ワルキューレ第1幕)

フルトヴェングラーのスカラ・リングを聞いていきます。もともとこのリングチクルスをyoutubeで聞いていたところ、あまりに音が悪いものしかアップされていなかったため、とうとう、CetraのCD全曲盤(CETRA CDC15 , 26 , 27 , 28)と、CetraのLP全曲盤(CETRA CFE101 (LP) )2種類とオーディオセット一式をそろえてしまいました。

今回は、まずはCDでチクルスを全部聞きます。

まず聞いたのがワルキューレの第1幕です。

ワーグナー ワルキューレ
録音:1950年3月9日、ライブ
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ミラノ・スカラ座管弦楽団
ジークムント:ギュンター・トレプトウ
ジークリンデ:ヒルデ・コネツニ
フンディング:ルートヴィッヒ・ヴェーバー
ヴォータン:フェルディナント・フランツ
ブリュンヒルデ:キルステン・フラグスタート
フリッカ:エリザベート・ヘンゲン
ヴァルトラウテ:ダグマール・シュメーデス
ヘルムヴィーゲ:イローナ・シュタイングルーパー
オルトリンデ:カレン・マリー・クルカル
ゲルヒルデ:ヴァルブルガ・ヴェーグナー
シュヴェルトライテ:ポティーパリク
ジークルーネ:マルゲリータ・ケニー
ロスヴァイゼ:マルグレート・ヴェート・ファルケ
グリムゲルデ:ジークリンデ・ヴァーグナー

まず録音についてです。テープ収録で基本は良いのですが、このワルキューレの第1幕は少し音揺れする箇所があります。以前、キングの国内盤で聞いたときは音揺れが多く大変聞きづらかったのですが、CetraのCDだと音揺れがすこし目立つのは、第1幕の後半の一部だけで大分聞きやすいです。LPだと音揺れはどうなんでしょうか?再生して確認してみたいと思います。

音揺れ以外だと、オーケストラの強奏時に、少し潤いが不足します。歌劇場で残響があまりないというのもありますが、少しきつめな音ですね。歌唱は良く録音されています。

これまで、大抵、第1幕の最後のジークムントがノートゥングを抜く場面しか聞いてこなかったのですが、改めて第1幕を全曲聞いて、特に感銘を受けたのが、オーケストラの中弱音での音の魅力です。木管、弦ともに中弱音でとても良い音を出しています。
トレプトウのジークムントは少し、怒鳴り気味ですが、なかなか良い歌唱を聞かせています。コネツニのジークリンデ、ヴェーバーのフンディングの歌唱も良いです。
このように歌手の歌唱も良いのですが、今回聞いて一番感銘を受けたのが、劇的な場面での迫力よりは、中弱音での魅惑に満ちたオーケストラの音色でした。例を挙げると、第3場でジークムントが'Ein Schwert verhiess mir der Vater'と歌いだす前の夜の場面などです。
この中弱音の魅力にはまってしまったので、何回かこの演奏を繰り返し聞きたいところですが、まずは第2幕に進むつもりです。
もちろん劇的な部分の盛り上がりもすごいです。たとえば第1幕最後の部分の'Siegmund heiss' ich und Siegmund bin ich!'以降の盛り上がりの箇所など、素晴らしい演奏になっています。
あと、フンディングの動機を奏でる金管セクションも良い音を出していました。全体的にテンポが速く、流れの良い演奏です。その中で、中弱音のオーケストラの濃厚な響きが特に耳に残りました。

あと、フライングで第2幕の冒頭だけ聞きましたが、フラグスタートの'Hojotoho! Hojotoho!'はいつ聞いても素晴らしいです。

あと今回改めて思ったのが、ワーグナーを聞いて退屈しないコツは、台本のドイツ語を読みながら聞くということです。ドイツ語読みながらだとやることがあるため、音だけ聞いているより退屈はしないです。台本は事前に読んでおいてドイツ語だけで何言っているかわかるような状態まで読み込んでおくのが一番ですが、そこまで読み込んではいないです。

次回は、いよいよ、フラグスタートのブリュンヒルデが登場する、第2幕を聞きます。

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