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2023年 読書振り返り & ランキング

2023年、もう今日で終わりですね。

振り返りとかも諸々書きたいなと思っていますが、まず一番最初にまとめたいと思ったのが、今年読んだ本について。

今年読んだ本のランキングです。

個人的な備忘録と共に、いろんな人におすすめしたい本があるのでまとめようと思います。

ぜひ、気になるものがあったら、目次から飛んでいってください。もちろん、上から下まで全部読んでくれると嬉しいです。

今年は年間50冊読むことを目標にしていましたが、最終的に40冊読めました、、!

あと10冊、、、だけど、よく読んだと思います。(去年は29冊だったので11冊増えた!成長!頑張った!来年こそは50冊読むぞ〜)

ちなみに、ランキング外のものはあまり覚えてないやつです。
その時の自分にとってとても刺さったものは記憶にも印象にも残るけど、そうじゃないものはすぐ忘れてしまうんですね、、なんか悲しいけど、そういうものだよね。。

また、その時の自分にとって全然ささらずおもしろさを感じられなかったやつは途中離脱して積まれていっているので、読み切ったやつはそれだけでもある程度自分にとってはオススメなんですけどね。
これからも良い本に出会いたいな。

*本の内容に関しては、多分に自分の解釈が含まれているため、必ずしも正確とは限りません。ご容赦ください。

1位
『進化思考』

これは今まで読んだ中でも上位になってくるくらいの本。本当に良かった。

去年、海士町に行った時に存在を知った本。英治出版の社長が海士町に親子留学したことがきっかけで、海士町に出版社が誕生し、そこから出された初めての本。海士町に行かなかったら出会わなかったし、本当にご縁だなあと。

人間の創造性(クリエイティビティ)を高めるにはどうする?という問いに対して、生物の進化をモデルに体系的にわかりやすくまとめられてる。

分厚いけどもとても読みやすいので一気にスラスラ読めちゃう。「変異」と「適応」を繰り返すことで生物は「進化」することになり、その変異と適応をどのようにできるかの詳細まで記されているから、とても現実にも落とし込みやすい。

人間がここまで進化をしていることに対して、「言語」を扱っているからだという考え方もすごく納得。
言語をうまく扱って擬似的に変異と適応を生み出すことができるから、一般の生物の進化が何世代にもわたってゆっくりと起こることに対して、人間は様々な(生物学的なものではないが)進化を世代を跨がなくても起こせる。

何かを起こそうと思う時、新しいことをしていこうと思う時、とても勇気をもらえて背中を押してもらえる感じ。

そして後書きのパートもすごく著者の魂がこもってて感動した。人間に対する願いとアツい想いがとても伝わってきた。本当に感動した。

2位
『わら一本の革命』

自然と共に生きるとは?
豊かな暮らしとはどんなものか?

そんなことが自分の中で関心のあるテーマだった時に、偶然そこで出会った人が持ってて貸してもらった本。
前からいつか読みたいなと思っていたものだったけど、とてもご縁を感じたのでなんか出会えて嬉しかった本。

「人間及び科学は自然よりも優れているわけではない。自然こそが偉大であり全てである」ということを信じ実践した著者の人生をかけた壮大な実験、証明とも言える傑作。

単なる自然農法、農業についてではなく、人類の科学とそこに通ずる考え方、それに対する著者の「科学(人間)には所詮何もできない」という考え、その上での生き方など、、

これは哲学でした。生き方の本でした。

自然を自分の暮らしの中に取り入れて生きていきたいという想いがとても強くなったし、自然に生きていきたいなと改めて強く感じさせられた。著者の人生をかけた哲学にただただ圧倒された。

3位
『懐かしい未来』

たまたまマルシェ会場に出店してた古本屋さんにたまたまあって、たまたま手に取ったらとてもよかった本。

まずはタイトルと表紙の雰囲気に惹かれたところからはじまったけど、これもまたご縁で出会った本。

生活丸ごと、必要なものは全て自分の手で生産(つくること)ができるようになることが、豊かな暮らしに繋がるんじゃないかな。

なぜ我々は「仕事」をするのか?
それはお金が必要だから。現在社会においてはお金が必須すぎるから。ただ、日々の暮らしを営んでいく上で必要なものを必要な分だけ自分たちでつくることができるのであれば、必ずしも今よりかはお金が必需品ではなくなるし、お金を稼がないといけないという強迫観念・プレッシャーからも幾分かは離れることができるし、だからこそ日々の時間を大切に豊かに感じられるんじゃないかなと。

そうであるならば、お金が必ずしも必要ではないような社会、世界、生活をみんなで送ることができ、それぞれが思うような時間の使い方をすることができるのであれば、それこそが彩溢れる豊かな世界が広がっていくきっかけになっていけるのではないか。

そのようなことをぼんやりと考えていたときにこの本に出会いました。

中央アジアのラダックという土地の話。古来より、資本主義経済の尺度においては最貧層である住民たちが、満ち足りた生活を送っていた地。言うなれば、東インド会社が創業し現在の資本主義の礎が築かれていく16世紀以前の人間の暮らしを絶えず続けていた地。

世界中で資本主義による産業化、都市化、科学化、グローバル化が進む中で20世紀後半までそのような暮らしが続いてきた。
その地に、急激に資本主義の波が押し寄せてくる。

現地で研究を行い続けてきた著者による、資本主義が古来からの営みに与える変化、そしてその顛末に関して詳細に記している。

本当の意味での豊かな暮らしとは?
自分が目指していきたい暮らしのあり方とは?
資本主義により巻き起こされる弊害とは?

自分に取って関心領域のテーマであったことに関してとても良い視座を与えてくれた本。

お金持ちになることだけが全てではない。お金持ちになるために、自分を捨てて資本主義社会のゲームの中で勝ち残っていく、そういう価値観だけではない。

それらわかりやすい「損得」ではなく、いかに日々を楽しく豊かに充実させて暮らすか、そしてその日々が持続可能であるのか。ラダックはグローバル資本主義が最後に進出した地域。1970年代。だからこそ、記述も詳細だし、イメージもしやすい。

資本主義という制度の奥底に潜むものが、いかに人間の欲望を刺激するのか、そこに人間がどのように否応なく反応してしまうのか。そしてそれに対して、それでもありたい姿を持ち続けそこに向かうのか。

現代社会に対する新たな視点をもらえて解像度も上がったし、そこに対する人間の行動に対して勇気ももらえる。

現行の資本主義制度を超えた、世界中のみんなが幸せになれるような、時代にあった制度がつくれたら、着想できたらいいなと切に感じた。と、同時にこの本は40年も前に出た本なのにそこから基本的に何も変わっていないことに対する何とも言えない想いも感じた。


4位
『きみのお金は誰のため』

お金ってなんだ?
何故人は人生の多くの時間を使って働くのか?

それは、お金が生きるためには現状必要であるからだ。だから人々は労働する。そうであるのであれば、生きるためにお金が必要でなければ人々は労働しなくても良くなり、それぞれが使いたい時間の使い方を今よりもずっとできるようになるのではないのか?

そんなことを考えていた時にたまたま出会った本。

最初は小説だということも知らずに読み始めたけど、めちゃくちゃ読みやすく、わかりやすいものだった。そして、物語としてとても素敵で感動するものだった。

何故人はお金を使うのか?

この問いに対しての答えで自分の中で新しかったのは、国に税金を納めるため。国家という(『サピエンス全史』でいう「虚構の」)存在に対して税金として現物ではなくお金を納めることが必要であるから、その拘束力が威力を発揮する時に、人々はお金が無ければならない。
お金を稼がなければならないという動機が生まれる。
その税金を、国家が国民がより幸せに暮らせるような社会資本を整備していく。インフラや医療、教育など。

なるほどな、と思った。
豊かな暮らしをしていく上で、お金がなくても自分たちで必要なもの(食べるもの、着るもの、住む場所、エネルギー、などなど)全てを生産することができれば、それが豊かな暮らしになっていくと思ってた。

だけど、社会全体を考えると、より良い社会をつくっていくとなると、道路や水道、そして教育などを整備・改善し続けていくこととても大事。
自分たちだけが、であれば自分たちの分だけつくれればそれで十分かもしれない。でも、そうではないのかもしれない、そう気づいた。

自分たちだけでなく、日本、そしてもっと広い世界、全てがより豊かな暮らしをしていけるようになるには?そう考えるようになった。

この物語の最後に出てくる話。
それは、人を愛すること。
人を愛することで、自分だけではなくその人の幸せも願うようになる。それがひいては、社会がよくなることを願うことになる。その人がいつでも自分のそばにいるとは限らないから。

素敵な物語でした。

5位
『資本主義の次にくる世界』

読書が滞ってた時、その時はなんとなく自分の中の調子も良くないとき。
そんな時には本屋に足を運んで新しい本に出会いにいく。
この本は、そうして出会った本。

「資本主義の次にくる世界」とはどんなものか?その問いはいつもなんとなく持っているから、タイトルがピッタリだった。
表紙には、”「少ない方が豊か」である。”という言葉。
「あ〜、いつもの脱成長論が書かれているんだな」と、新しい視点はないのかもしれないなと、中身には期待感をたくさん持っていたわけではなかったけど、読み始めた。

思った通り、中身の結論には自分にとって新しさはなかった。けど、資本主義の成り立ちを解説している部分が自分の中で新しく、とても印象に残った。

資本主義は、資本家が囲い込みをすることで始まった。農民の土地を囲い込み、農民を農地から追い出すことで都市への人口流出を生み出す。その大量の人口が都市部の工場が成立する必須の条件を満たし、労働集約型で大量の人手が必要である工場が成り立ち、資本家-労働者の関係性も強化されていく。

その過程で、かつては農村で自分たちが生きていくのに必要なものは自分たちで生産し生きてきた人間の、生産することの能力がなくなっていく。食べ物を作る上で必要な土地が奪われ。工場において効率を求め分業体制が確立されることにより、人々は最終製品を作る能力がなくなり、最終製品を自らの手で作り上げることを生業としてきた職人が淘汰されていく。

このように人々は知らないうちに、自分の生活に必要なものを自分たちで作ることができなくなっていく。自分で作ることができないものは、お金で買うしかない。お金がなければ生きていくことができない。だから、人々は労働をすることでお金を得て生活を買うようになっていく。その繰り返しで、労働者が汗水垂らして必死に働き続け、その働きにより資本家の資本が拡大し、資本家と労働者の格差がどんどんと広がっていく。

そんな表面的な流れの奥にある、精神的な部分もこの本では「植民地化」として扱っていた。

資本主義の歴史は、植民地化の歴史である。ここで話が宗教や科学、哲学にまで話が及んでくる。

資本主義を植民地化の歴史とみると、はじめの植民地化は農地の囲い込みだ。このことで農民は農地を奪われる。その次は、生産手段の植民地化だ。これにより人々は生活に必要なものを生産する能力を奪われる。そして、思想・価値観も植民地化される。従来はアニミズム的思想が強く、自然と共に生きてきていた人々。そんなとき、デカルトの二元論が台頭してくる。人間とそれ以外。自分とそれ以外。そんな二元論が台頭することで、植民地化されることで人々の価値観がアニミズムから二元論に変化する。それをきっかけに資本主義は加速していく。なぜなら、科学技術の研究が加速するから。

今までのアニミズム的な価値観だと、自然界から搾取することに抵抗が生まれる。それが二元論的な価値観、人間とそれ以外で分けることが正当化されることによって、人間が自然界のものを扱う、搾取することが可能になる。自然界のものを、ともに生きていく対象ではなく、搾取する対象と見なすことで、科学が発展する基盤になった。

科学が発展することにより、産業革命も促進されその波がイギリス、フランスをはじめとしてヨーロッパ各地に広がっていく。その植民地化の流れは止まることなく続き、帝国主義的な拡大を引き起こし、欧州発の二元論的な価値観とともに物理的に国家を植民地化していく。そのようにして資本主義は広がっていった。

だからこそ、現行の資本主義社会において、自分とそれ以外という個人主義が横行するし、人間とそれ以外という部分から自然界からの搾取が止まることがない。

このような視点は自分にとってとても新しかったし、資本主義に関する理解がより一層深まった。それと共に、
誰がなんのために資本主義を始めたのか?
その中核の部分をより知っていきたいと思った。

また、哲学に対する興味も生まれてきた。哲学というものは強力であり、哲学により価値観が生まれ、その価値観によって人々の行動が決まってくる。だからこそ、哲学はとても大事だし、当時デカルトの二元論を支持し始めたのは誰なのか、どのようにしていかにして二元論を浸透させていったのか?知りたくなった。

いろんな問いが、この本を読むことによって生まれてきた。
いろんな問いを、ありがとう。

6位
『経営』

稲盛さん!
2023年を締め括る本として何が相応しいかな、ここはやっぱ稲盛さんでしょ!
ということで、2023年最後の本はこちらでした。

稲盛さんと出版社チームが生前進めてきていた、稲盛和夫の総まとめとなる本を出版するプロジェクト。残念ながら稲盛さんが途中で亡くなってしまったために実現しなかったけど、その出版社チームがどうしても世に出したいということで出来上がったもの。だから、著者は稲盛和夫ではない。そして、中身は稲盛さんの講演録を集めているもの。

京セラ創業から第二電電創業、そしてJAL再建までの稲盛さんの歩みの途中途中で行われてきた講演をピックアップしてきているこの本は、その当時の稲盛さんの哲学を背景と共に知ることができるし、『生き方』『考え方』『実学』『アメーバ経営』『京セラフィロソフィー』などなど稲盛さんの著書にまとめられてきているものがどのように形作られてきたのか、その一片に触れられたような気がする。

総じて、稲盛さんの中での哲学は変わってない。「人としてどう生きるのが正しいのか」
そこに愚直に、人として善いことを原理原則に則って行動をしていく。ただひたむきに、ただそれだけを信じ生涯を走り抜けてきた稲盛さん。

そんな真っ直ぐな言葉に触れると、いつも背筋が正されるし、日々の自分の行動と考え方を反省させられる。

人としての器を広げていきたい。
徳を積んで生きていきたい。

いつも稲盛さんの言葉に触れる度にそう思う。今までも、今回も。ことあるごとに稲盛さんに触れて、その哲学を自分の血肉にしていきたい。ありがとう、稲盛さん。


7位
『HUMAN KIND 上下』

友達の住むシェアハウスに遊びにいった時に出会った本。『サピエンス全史』みたいだなあ、それがこの本を見た時の最初の印象。難しそうだけど、ここで出会えたのもご縁だし、読んでみよう。そうして手に取った。

とても良かった。著者の人類に対する願いがとても感じられるしそこに触れられてあたたかい気持ちになった。

「人間は本来善である。だから大丈夫。惑わされずにみんなで前に進んで行こう。」

そんな著者からのメッセージをもらった感じ。

どこかの大学(どこか忘れた)の監獄実験。その結果は現在とても有名で、人間は置かれた環境によってすぐに人を傷つけることもできるようになる。そんな性悪説がある。だけど、それは真実ではない。人は本来は善である。

ニューヨークの住宅街で起こった殺人事件。その土地の住民は真夜中に起こったその事件に対して、自分に危害が加わることを恐れ、窓から傍観することしか出来ずに被害者は誰からも助けられることなく亡くなってしまった。そう大々的に報道されていたけど、真実は違う。いろんな人間が手助けをしようと行動していた。人は本来は善であるから。

オランダの川に母と幼い子供を乗せた車が沈んでいってしまった時。周りの通行人が咄嗟に救出に川に入った。それも1人ではなく何人も。みんなが協力したことによって、内側からロックがかかっていた車の窓を開けることができたし、母子を助けることができた。人間は、危機に陥った見知らぬ人間は助けない。自分とは関係ないからだ。時にはそのように思ってしまうかもしれないけど、そんなことはない。人間は善であるから。

いろんな角度から、人間の善性について語ってくれている。
そして、いかに人間の「凶悪性」が広がってきたのか。マスメディアによる報道では毎日といって良いほどに戦争や凶悪犯罪が扱われ、あたかもだんだん世界は悪化しているように思わされている。

だけど、大丈夫。真実はそうではない。
凶悪犯罪による被害者の数は年々減少しているし、重犯罪の発生件数も減少している。戦争などによって人間が他の人間によって殺される数も減少している(今はロシアウクライナの件やパレスチナの件があるから、どうなんだろう?)。

だから、人間は捨てたもんじゃない。
みんなで善い世界を作っていこう。

そんな想いが溢れてた。ともすれば人間、社会に対して諦めの念を抱いてしまう時に、勇気をもらえる本。

8位
『世界はシステムで動く』

システム思考が体系化されている本。

社会をより良い形に変えていく、自分の周りの環境を変えていく、そのためには単純にAをBにする、CをDに変化させる。
そんな単純な話ではない。方程式でいうと変数が多すぎて、世界はそんなに単純化することはできない。じゃあどう考えていくのがいいのか。そんな時に、このシステム思考なら何かヒントをもらえるんじゃないかな、そう思って読み始めた。

世界の現象として目に見えるものは、氷山の一角のようなもの。さまざまなものごとが複雑に絡み合って表出している。
良かれと思って行った対応が、予期していなかった結果をもたらすことも多々ある。何事も早く対応すれば万事OKということでもない。

そんな世界を、ストックとフロー、二つのフィードバック・ループを用いて、静的ではなく動的に理解していくこと。

今後に役立ちそうなことが目白押しだった、だけれどもまだ完全に理解しきれずにふわふわしている感じ。もっともっとこのシステム思想を自分のものにしていきたいし、うまく活用していきたい。もっと勉強しないとな。そう思わされた本。

9位
『SINIC理論』

オムロンの創業者が提唱する未来予想理論であるSINIC理論に関して背景から網羅しまとめた本。

はぐくむでも今後の社会に関してこのオムロンのSINIC理論を引用していることから、概要は事前に知ってはいたが、詳細についてはまだまだ知らないことが多かったから、勉強もかねて読むことにした本。

概要に関しては、元々知っていたこともあり難なく進められたけど、詳細の部分が少し難しかった印象。科学者の専門的な部分も多数扱われてて、その分手触り感が自分には薄くなってしまった。

とはいえ、半世紀以上も前に提唱されたこの理論、今のところ大きく異なることがないように感じられることがまずすごい。
多少の差異はあれども順調にその理論の通りの未来へと進んでいるように感じられる。

SINIC理論によれば現在は工業化社会末期であり、最適化社会。そして2025年からついに自律社会へと入っていく。大きく分けると工業化社会から自律社会への移行期を今まさに歩んでいるということ。来たるべき社会の変化のうねりに臆することなく歩んでいきたい。

また、別の観点では、自分の中でも社会に対する確固とした見方・視点と、そこに対する自分なりの考え・哲学を持っていきたい。そんなことを思わせてくれる本。

10位
『現代社会の理論』

社会学者の見田さんが書いた本。

一見難しい文体だし、内容も難しく感じるけど、論理だっててとてもわかりやすい印象。

見田さんの文章は他の本でもそうだけど、同じく一見難しそうだけど、全体としてとてもスッキリしているので、どちらかといえば単純でわかりやすいという、なんだかおかしな感じだけど、そんなことはともかく、現代社会に対する考察がとても的を得ているような感じで、自分にとって新しい視点を与えてくれた。

資本主義というものは歴史的に定期的に恐慌が起こってきているし、その恐慌の度に危機に陥ってきた。その度に立ち上がってきたが。(一方の社会主義は崩壊し、当の資本主義に関しても現状最高の制度ではない、という問題はあるけど。)

そんな資本主義が、「消費化」「情報化」という進化を遂げることで自己強化をしてきた。

特に「消費化」の部分、使用価値が残っているにも関わらず、人々が廃棄し新品を購入するということが起こるのか、その理論的な解説がとてもわかりやすかった。
消費化社会へと進化する中で、大量生産・大量廃棄が行われるのは当然の結末であり、それを根拠に資本主義が「成長」してきているんだということがよく理解できた。

社会に対する目線がめちゃくちゃすごいと思う。考察力と論理立てる力、そしてそれをわかりやすくまとめる力。

何をとっても深淵すぎてすごいなと。憧れる。と、同時にそういうものにたくさん触れて、少しでも社会理解が進むようになりたいし、血肉にしていけたらいいな。

11位
『哲学と宗教全史』

『資本主義の次にくる世界』を読み、哲学に関しても勉強したいと思い読み始めた本。とりあえずこれを読んどけば、哲学の全体像はわかるんじゃないかなという期待を持ち。

内容は期待通り。有名どころの哲学者とそこに対する詳細は基本的に網羅されているんじゃないかな(わからないけど)。その反面、当然ながらそれぞれの深掘りはしきれていないけど、全史であるからそこはしょうがない。

中でも特に印象に残っているのは、言語に関して。
世界は言語によって認識され形作られる。言語があることで認識が生まれるし、当てはまる言語がなければその存在はない。

日本語では表現できることが、英語になると同じ表現がなく、それゆえに日本人にとっては存在するものが、英語話者にとっては存在しないもののようになる。そんなようなこと。

これがとても共感できるし、言語と世界の認識についてもっと知っていきたいと思った。
『進化思考』においても人間を人間たらしめている一つの特徴として言語を挙げていることもあるし。

おそらく、いろんな言語を扱えるようになると、それと同じ数の世界に対する見方が生まれるし、語彙が増えれば増えるほど世界には彩りが増えるんだろうな。いろんな世界の見え方ができるようになっていきたい。


12位
『科学と資本主義の未来』

現代が人類史における第三の人口定常化へと推移してきていて時代の変わり目である、ということはこの著者が他の本も通じて一貫して述べていることで、自分にとっては新しい見方だった。改めて、社会への視点はいろんな角度からあり得るんだなと。

また、資本主義とともに発展してきた科学の根底にある価値観・考え方についても述べられていて、これは『資本主義の次にくる世界』ともつながる部分があり理解が進んだ。科学の根底の哲学が、一周回ってアニミズムに回帰しようとしていると。

13位
『二千年記の社会と思想』

これも見田さんの本。自分なりの哲学を持っている人は、やっぱり素敵だ。

人々が生活を送っていく上で、必須で働かないといけない時間は週に1-2日で充分である、そんな研究結果が出ている。この部分は特に印象に残っている。

みんながみんな好きなことをやりながら楽しく生活を送れるのであればそれに越したことがないし、どうやったらそういう世の中になるのかなあという問いがある中で、一つの道が開けた気がする。

14位
『冒険の書』

小説風で、とても読みやすかった。
「問いを持ち続けるということ」これがとても大切だよ、と一貫して伝えてくれている。

著者が抱いている問いと、それに対する答えを昔の哲学者に求めている。
『哲学と宗教全史』を読んだ後だったから、登場する哲学者も知っている人が多くてより理解が深まった。

著者は教育に対しての問い、想いが強いなと感じたけど、自分はまだ教育に対してはものすごく興味関心があるわけではない。でも、「社会」を考えると教育というものはとても大事なピースであるから、いずれそこにも意識がたどり着くのかなあ。

15位
『ものがわかるということ』

養老先生。養老先生も自分なりの哲学を持っているし、それを養老先生らしく表現されているから、とても好き。

人はともすればものごとをコントロールしたいと思いがちだし、そこに強くこだわりがちだけど、そうではない。

自然界においては「ああすれば、こうなる」というものはひとつもない。人間も自然界の一部であるのだから、その直線的な価値観以外の現象を受け入れることができるか。とても大事だよなあ。

16位
『なめらかな社会とその敵』

友達に紹介してもらった本。今後の社会のあり方を、とても現実的に数字も用いながら提示してくれている。

中身に関しては個人的にあまり賛同できない部分もあったけど、その思想を実際に社会に実装するとなった時のやり方がはっきりとしているし、その技術的な背景も確立されているし、実装のための実証実験も着々と行われてきていることが述べられていて、とても良かった。

自分なりの考えで描き、それをいかに実現するのか。実現できないと意味がないから、そのための道筋を着々と歩んでいる姿がかっこよい。

細胞の核と細胞膜、そして外部というように、細胞をモチーフにしているのも視点が新しかった。

17位
『おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる』

地域で活動する人たちのことを紹介している本。地域で働くということはどういうことか、どのような仕事があるのか、その実態がわかりやすく描かれている。

18位
『宇沢弘文著作集XII 20世紀を超えて』

宇沢先生。
相変わらず難しい文章で、3回くらい当該箇所を読み直さないと理解できないくらい。
でも、久しぶりに宇沢先生に触れてみたくなったから読みました。

著作全集の最後の本で、『20世紀を超えて』と題されているから、今後の社会のヒントとなることが得られればいいなと思い。

19世紀以降の資本主義、社会主義の隆盛の記述はとてもわかりやすく全体像を理解できた。

また、この本の中では成田空港問題や都知事選など、宇沢さんが実際に現場で活動していることに関しても記述されてて、そこもとても良かった。

自分なりの考えを持ち、それをもとに社会をより良いものにしようと実際に現場で実践していく。この姿がとてもかっこよいし、憧れるな。

19位
『魔法の世紀』

落合さんの本。
これもなんかわかるようでわからない、そんな感じ。

デジタルとアナログの融合、デジタルネイチャー、、この部分の話は全然わからないことが多いけど、今後知っていないとどんどん置いていかれる部分だろうなと。
この分野も定期的に勉強していかないとな。

20位
『コミュニティシップ』

小田急による下北沢エリアの再開発についてまとめられたもの。

下北沢が身近な地域だったから、とてもイメージしやすかったし、実際に工事が着々と進み色々な施設がOPENしていくのを隣で眺めていたからこそ、内容がとても入ってきた。この施設ができた背景ってそんな感じだったんだ〜って。

まちをつくっていく上で、土地を既に持っていることの強さを改めて感じた。土地がそもそもあるからこそできること、描けることがたくさんあるから、すごく強いよなあと。

終わりに


以上、今年読んだ40冊の中でのトップ20!

やっぱり、自分にとって好きな本は、

著者の頭の中が覗き込めること
著者の哲学に触れられること
社会のことを知れること
新しい世界を知れること

この要素がとても大事なんだなと、まとめながら改めて感じさせられた。

自分なりの哲学が確立されてて、そこに基づいて行動していく、そんな姿に憧れる。

色んなことを吸収し、様々なことを体験し、自分なりの哲学を固めていきたい。そして、それを基に行動していきたい。

これからも、たくさんの人の哲学に触れ続けていきたい。
2023年の本との出会いも素敵なものばかりでした。
2024年も素敵なものに出会えていける年にしていきたいな。

ここに挙げた本は、とてもオススメのものばかりなので、ぜひ読んでみて欲しいです。そして読んだら、一緒に内容に関して、感想を語り合えたら嬉しいな。


◇2024年読みたい本リスト
ビジョナリーカンパニー
京セラフィロソフィー
SONY盛田さんの本
共有地の平井さんの本


現時点で2024年に読んでみたいものは以上のもの。

みなさんのオススメの本があればぜひ教えてください!小説とかでもなんでもウェルカムです!素敵なものに出会いたい。

それでは、良いお年を。
来年もよろしくお願いします!

2023.12.31

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