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【work】 雨粒と電線のTシャツ

過去作品から、今回はなんだか憂鬱な雨の日を子供の頃のように楽しみたくてデザインしたTシャツを紹介。

雨って、小説や映画などの中でも憂鬱や悲しみの情景を描写する際にしばしば利用されますよね。 人間の感受性や共感性って面白くて、多くの人が同じような印象を持つ物事がいくつもあります。 天候なんかはその代表例です。

しかし、天候自体は単に自然現象でそこに元々感情は介在しません。 天候の変化に伴う湿度や気圧、気温の変化などが生物の体調に影響を及ぼすため、そこに気分の変化が表れるのでしょう。 僕なんかは眼鏡に雨粒が付着して視界が制限されれば不快感が大きくなるし、雨が靴に染み込んで足が濡れたりするともう絶望的に気分が落ち込んだりしますが、子供の頃は長靴を履いてレインコートを着ることが楽しくて雨の中ずぶ濡れになってはしゃいでいました。 この憂鬱さは大人になるにつれて醸成されていったのかもしれない。

雨、どこか憂鬱で、太陽が顔を出すことを待ちわびる受け身の時間。 そんな雨の日に2階の窓から外を眺めていたら眼の前の電線に雨粒が滴っていて、定期的にポタッポタッと落ちていくさまにしばらく見入っていました。

今回紹介するデザインはこの時撮影した写真を使用しています。 Tシャツを見てみましょう。

商品名を失念した雨粒のTシャツ 前面
デザイン部分

雨粒の滴る電線を胸に走るボーダーとしてレイアウトしています。 電線の結束具がちょうどいいアクセントになっていますね。 電線と雨粒だと気がつくとそのボーダーを中心としてTシャツ全体に情景が見えてくるから不思議です。

こうしてデザインTシャツを作ってから、雨の日にはこれを着ることが自分の中で決まりになって少し楽しみになりました。 もう僕が持っていたこのTシャツは引退しましたが、今は雨の日には水玉模様のネクタイを締めることが僕の中で雨の日の楽しみになっています。 こんな小さなことで雨の日が少し楽しくなるんですよね。 ほんの少しだけ、長靴にレインコートではしゃいでいたあの頃の気持ちに近づいた気がします。

さて、次回はおとぎ話をモチーフにしたデザインTシャツを紹介予定です。

サポートしてくれる人が増えると、新しい作品を作る余裕も出てきます。余裕は新たな可能性を見出す機会をもたらしてくれますね。新たな可能性からは今までと違った視点も生まれるかもしれません。