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2024富岡駅と夜ノ森駅と

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今年は3月に寒さが続いたせいで、東京でもやっと 4月に入り桜の開花を告げた。比較的温暖な福島県の「浜通り」だが、満開とは程遠い状況が予想された。昨年泊まった富岡駅前の町営ホテルを…
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#富岡駅

富岡駅と

その1 2024年4月6日 土曜日 2017年4月、富岡町では夜ノ森駅の東側に広がる帰還困難区域以外の土地で避難指示が解除された。JR常磐線の運行区間は富岡駅まで延長され、不通区間を走る代行バスの起点も竜田駅から富岡駅へと変更された。自分もこのバスで、何度か浪江・原ノ町駅方面へと足を運んだ。当初のバスには女性のスタッフも同乗しており、「ここから帰還困難区域に入ります」というアナウンスに緊張が走った。 駅前のロータリーを出たタクシーは、代行バスと同じルートを走行した。右手に

大野駅へ

その3 2024年4月6日 土曜日 夜ノ森駅前も「桜まつり」に向かう人で賑わっていた。 時計を確認して、大野駅まで歩いてみようと思った。2時間後の14時46分発の上り列車に間に合うだろう。大野駅から夜ノ森駅へは歩いたことはあるが、逆方向の歩行の歩行で、また違った景色が見えてくるかもしれない。雨足がさらに強くなったので折りたたみの傘を開いた。 夜ノ森駅西口を出て北に進み、突き当たりを左折する。この辺りはまだ富岡町内で、2019年に避難指示が解除されている地区だが、夜ノ森地

富岡駅へ

その4 2024年4月7日 日曜日 朝5時。遠くに見えるのは阿武隈高地だろうか。ホテル7階の部屋からの眺めは、山地からの霧が立ち込める幻想的な風景だ。ホテルの南西方向はスポーツ公園があり、ここからは野球場の施設が見えているのだが、中央に見える大型マンションの存在が、風景の中で際立っている。 思えば今まで浜通りの被災地で見た「家」といえば戸建ての住宅だ。取り壊された家の跡地に、新築の賃貸アパートが連なる風景を見ることはあっても、震災以前に建てられた、いわゆるマンションを見る