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披露宴の主賓スピーチをお願いされたエンジニアリングマネージャーが考えたこと

2ヶ月ほど前、エンジニアチームのメンバーから披露宴への招待と、その宴席での主賓スピーチを依頼されました。
乾杯の発声、友人代表スピーチは経験したことがあったものの、主賓スピーチはさすがにやったことがありませんでした。2ヶ月間悩み続け、頭のどこかにはスピーチがいすわっていました。

先日、無事にスピーチを終えることができました。
悩み抜いたのでなにかネタになるに違いないと、振り返ってまとめてみます。


前提/状況設定

  • 新郎側の主賓で、新郎は20代で自分は40代

  • 新郎はエンジニア、自分はそのエンジニアチームのマネージャー

  • 格調高いスピーチは無理。自分の性格的にそんな雰囲気は出せない

スピーチの構成

基本的な構成は、王道の構成のままで考えました。

  1. お祝いのあいさつ

  2. 自己紹介

  3. 新郎のエピソード

  4. 二人へのメッセージ

  5. 結びのあいさつ

各項目のボリュームの多い少ないはあれど、この構成と順序を崩すようなことはなかったです。

聞き手を誰に設定するか?

どんなスピーチでもそうですが、聞き手の想定は大切です。どんな層の人に刺さる内容にするか、万人受けするようなものにするか。
披露宴は列席者のバリエーションは様々です。新郎新婦の友人だと20代〜30代、親族は60代〜80代もありえます。また、ITやエンジニアリングに造形があるとは限りません。
逆に、新郎の会社友人がいれば、エンジニアリングどころか社内ネタも熟知しています(知られているからこそ、しゃべりにくい)。

最初は万人受けするような内容を目指していました。IT専門用語を極力使わない、親族だけでなく、友人にも伝わるようなネタを探しました。ですが、万人受けしていて、内容に深みのあるようなものはありません。ありきたりな挨拶になってしまいました。

スピーチのコツを紹介するサイトを巡っていてたどりついたのが「聞き手を、新郎新婦の両親とする」でした。この発見はかなり助けになりました。

両親は我が子が新たな家族として旅立つ瞬間が結婚式であり、会社や友人関係のなかでうまくやっていけているのか心配なのです。うまくやっていることがわかるエピソードがほしいのです。
いちばん新郎新婦のことを聞きたい人は両親なのです。その両親が感動するような内容であれば、周りの親族も列席者にもそれが伝わり、感動をわかちあってくれそうと思いました。
なにより、聞き手として2人〜4人に絞られるのが非常にありがたいです。

5分のハードル

  • 結婚式のスピーチは短ければ短いほうがいい

  • 主賓も3分から5分に収めましょう

  • エピソードは1つに絞りましょう

世の流れはスピーチは短くでした。とはいうものの、初稿のスピーチを読んでみたら余裕で7分を超えました。練習すればするほど、延びました。
早口にすることはできないので、削れるところはとことん削るようにしました。
一方で、エピソードについては逆に長めにしたのですが、それは後述します。

お祝いのあいさつはシンプルに

堅苦しいあいさつは抹殺しました。小難しい言い回しも排除しました。短くしたかったのもありますが、なによりスピーチの冒頭で自分が言い慣れないフレーズが出てくることに強いストレスを感じました。
「ご結婚おめでとう」「ご両親ご両家にもお慶び申し上げます」「ご列席の皆様に代表してご挨拶します」「ご着席ください」
これら4つだけにしました。

自己紹介と会社紹介は勇気をもって省いた

主賓のこと、会社のこと、そんなことは10分後であっても誰も覚えてないです。事業内容も聞いた瞬間は「ふーん」と思いますが、忘れます。そう、そんなものは価値がない。そう思ってまったく話さないようにしました。

なにより、ITやソフトウェアの話、知らない人に説明するのはかなり時間がかかります。会社、事業内容、新郎の仕事内容の紹介はなしにしました。
こいつらは時間を食うだけでした。また、仕事のことは話しやすい反面、心細くなると要らないことまでしゃべってしまう困りものでもありました。
そして、「聞き手は両親」という作戦からも、両親は我が子の会社のことを多少なりとも知っているはずです。両親が知っていることはしゃべらなくていいのです(笑)

「新郎の上司の◯◯です」「新郎とは彼がチームに加わって以来、◯年の付き合いになります」
この2つだけにしました。まだ、このあたりはスピーチの冒頭にあたるので、これくらいシンプルなほうが緊張してても口から出てきやすいというメリットもありました。

結びのあいさつも簡潔に

スピーチが終わったことがわかるように、しっかり言い切れることが大切です。すぱっと終わって、みんなに拍手するタイミングをわかってもらう。
また、「最後に…」と言ってしまいそうな忌み言葉を言わないのも大切。

シンプルに「本日は本当におめでとうございます」とだけハッキリと言うようにしました。

本当に短いことが最良なのか?

定型的なあいさつ、つまらない内容は割愛し、短くすることはセオリー通り大切だと思う一方で、エピソード部分はどうしても削れませんでした。
エピソードを削れない分、5分をどうしてもオーバーしてしまいます。

Chat GPT に原稿を読み込ませたところ、7分かかる内容だと言われ、5分に短くするようにお願いしました。見事にエピソードは全部カットされました。
具体性もなにもありません、短いだけでした。それは両親が聞きたいような生々しく心に響くようなものではなかったです。

ということで、このエピソードは価値があるはずだ、長くなっても飽きさせないはずだと勝手に思い込んで、そのまま突っ切ることにしました。
結果論ですが、スピーチ後に「あなただけしか話せない内容でよかった、自分の言葉で伝えていた」という評価をもらえたので、この選択をしてよかったなと思いました。

エピソードのテーマをなににするか?

これは本当に悩みました。
ずっと悩んでいて、披露宴前日まで用意していたエピソードを全部削除して、別のエピソードに切り替えることにもなりました。

エピソードのテーマは最終的には「新郎(新婦)の強み」になりました。

新郎新婦を褒めて褒めて、褒めちぎるのがスピーチです。なので、エピソードはしぜんと強みの発揮の事例になっていました。
それに気づいたことで「私が思う彼の強みは◯◯です」というところからエピソードをスタートするようにしました。そう思っているのは当然ウソではないので、緊張していても自然とエピソードにつなげられました。

強みの話だと思えば、実はとてもとても話しやすいです。上司なので人事評価も育成もしています。当然、新郎新婦の強みは意識しています。1on1 でも会話してますよね。なので、「いつもどおり、強みの話をしているんだ」と思うと、むちゃくちゃ気が楽になりました。

また、「彼(彼女)の強み」というのは両親、親族、友人を共通して共感できるテーマでもあります。会社に入社してから後天的に生まれたものではなく、幼い頃からもっているものになります。
なので、万人に共感を得られる内容に自然となっています。スピーチ中は緊張していて会場を見渡す余裕はなかったですが、強みの話をしている間は何人かがうなづいている姿が目に入ってきたのを覚えています。きっと共感してくれていたのだと思いますし、うなづいてくれるのでこちらも緊張が若干ほぐれました。

次にスピーチを依頼されても、強みの話をしそうだなと思ってます…

二人へのメッセージ、どうする?

格言とか自分の体験から得た人生訓とかを伝えて、結びのあいさつへつなげるのですが、いいものが思いつきませんでした。
とはいえ、新郎のことだけ話して、新婦のことを置き去りにするのはよくありません。

幸いなことに、今回は事前に新婦と顔合わせする機会を作ってもらっていました。なので、メッセージというよりも、自分から見た二人のエピソードを紹介することにしました。
「実際に会ってみたらこんなことがありました」「そんな二人だから◯◯な家族を築いてくれるはずです」という具合にしました。

むすびに・・・

こんな感じでスピーチを考えてました…というものをまとめてみました。
次にまたお願いされたときの自分がいちばん参考になりそうです。



補足:ふりかえりメモ

よかったこと

  • 「聞き手を両親にする」に気づいたのは本当に大きかった

  • 事前に新郎新婦と顔合わせできていた

  • Google Docs で原稿を書いていたので、スマホのきれいな画面で全文をチェックできたのはよかった

  • 一方で、紙のカンペは箇条書きでキーワードだけ書いていたので見やすかった。全文が気になるときだけ Google Docs 見ればいいので

失敗したこと/やっておけばよかったこと

  • どういうスピーチにしてほしいか、新郎新婦に聞いておけばよかった(叶えられないかもしれないけど、マッチしていれば自信につながる)

  • 列席者の客層を聞いておけばよかった(友人が多いなら◯◯、親族が多いなら◯◯という作戦はたてられるかも)

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