パクリによるマーケティング方法

誰かの真似をしたり、コピーしたりすることをパクリという。
パクリは悪いこととして世の中に広まっている一方で、ビジネスやマーケティングの世界ではパクリは一種の戦略として使われている。

「新人はできる営業マンの方法を真似しろ!」とか「海外ではやっているサービスを真似して日本で展開させよう」とか「流行っているゲームの雰囲気やシステムを真似しよう」とか言われたことがある人もいるんじゃないだろうか(笑)

かく言う自分もその一人で、「とりあえず他社をパクれ」って言われて要素をひたすらパクっていたことがある。
でも、先輩や上司はなぜパクるのかを理論的に説明してくれない
だけども、パクったおかげでサービスが成長したり、売上が伸びることもあるので結果論的に正しい。
今回はなぜパクるというマーケティング戦略が成り立つのか自分なりに説明していく。

パクリはソーシャルネットワークのコピーである

私達は生活していく上で、何かしらの人間と関わり、何かしらの関係性を築く。ネット上でも同じで、SNSやブログなどで発信すると、様々な人から認知され、印象を与えることができる。ここでは様々な人から認知され、印象を与えたことによる関係性をソーシャルネットワークと呼ぶことにする。
例えばあなたが、たくさん面白い記事を書いて、たくさんのひとに読まれて認知されれば、あなた自身のソーシャルネットワーク巨大になる。ソーシャルネットワークが巨大であるということはあなたが有名であり、世の中では発言力が大きくなったということである。そしてあなたはこの巨大なソーシャルネットワークをつかってビジネスをすることができる。つまりマーケティングとはソーシャルネットワークの巨大化をおこなうことである。
まあ簡単に言えば、めっちゃ面白いことをたくさんやってるサービスや人は、人気になって自然とビジネスができるという環境になりますってことになる。

今現在、人気のあるサービスやインフルエンサーはこのソーシャルネットワークの規模を何年もかけて地道に大きくしていった結果であるとも言える。しかし、時間かかるのって嫌じゃね?ってみんな思い始める。そこでパクリという戦略が使われるようになる。

人気のサービスや人はなにかを発信することによって巨大なソーシャルネットワークを構築することができた。なのでそのサービスや人と全く同じことを発信すれば、全く同じソーシャルネットワークを構築することができる。これは実際に実証されている。Twitterでのパクリツイートの例を見ると非常にわかりやすい。Twitterでオリジナルのユーザーが面白いツイートをして、数万いいね&数万リツイートされたとする。そのツイートを全く別の人がパクってツイートすると、数千~数万いいね&リツイートされる。そして興味深いことに、オリジナルのツイートとパクリツイートをいいねリツイートしているユーザーの属性(性別、年齢、アイコンの傾向)がほとんど同じである事が多い。

このようにパクリによって、同じような反応が得られるだけでなく、エンゲージメントするユーザー層も同じになる。そのため、パクリによってソーシャルネットワークのコピーが簡単に行えてしまう。
なので、立ち上がったばかりのサービスは大手サービスの真似をして、大手サービスと同じようなソーシャルネットワークを形成し、大手サービスと似たようなユーザーをエンゲージメントさせるという戦略をとる。

むやみにパクリをするとサービスは終わる

だったらパクリ戦略が最強じゃん。と思う人もいるがパクリ戦略には重大な欠点がある。それは単純な話で、なぜ巨大なソーシャルネットワークを形成できたのかという理由がわからないことである。
オリジナルの人たちは、発信する内容考え、ユーザーのフィードバックをみてソーシャルネットワークを形成してきた。しかしパクった人たちは、発信する内容を考えていないので、どういう人達によってソーシャルネットワークを形成しているのかを把握するのがオリジナルの人たちに比べて難しい。

例えば、「きのこの山が素晴らしい」というスタンスの人が人気であり、それをパクって同じように「きのこの山が素晴らしい」と言っている人がいるとする。そのような状況で新しく「たけのこの里が素晴らしい」というスタンスの人が人気なってきた。パクっている人は人気だからということで「たけのこの里が素晴らしい」というような内容を発信してしまうと、おそらくサービスは失敗してしまう。

オリジナルの人とパクった人の両方には「きのこの里が好きな人達」によってソーシャルネットワークが形成されているが、そのソーシャルネットワークの人たちに向けて良くない発信をしてしまうと、ユーザーが離れてしまい、ソーシャルネットワークが崩壊してしまう。
オリジナルの人はソーシャルネットワークの形成の経緯を十分理解しているので避けられるかもしれないが、パクった人は十分に理解せずにパクっているので避けられないかもしれない。

すごくわかりにくい例だったかもしれないが、パクるときはパクる内容をちゃんと理解してパクらないとマーケティングが失敗してしまうということである。

数値ではなく形成されたソーシャルネットワークを意識する

マーケティングをやっていると、PV、いいね数、フォロワーなど表面的な数字が指標にされてこだわってしまうことが多い。その数字を増やすためにパクリを常習的にしている人なんてすごくたくさんいると思う。でも考えなしにパクっていると意図していないソーシャルネットワークを形成してしまうことがある。パクりまくってユーザーたくさん獲得したけど、サービスのターゲット層とは全然違いました。もしくはパクった結果ユーザーが離れてしまいましたとか。

だけども、パクリはすごく良い戦略だと思う。サービスをゼロから成長させてソーシャルネットワークを形成するのは、多大な努力と才能がいる。そういった才能がない人にとってはパクリによるマーケティングが非常に心強い。どのようなソーシャルネットワークが形成されているかを正しく認知して、どのようなユーザーを獲得し、どのようなユーザーとの関係性を強化したいかを理解して戦略的にパクっていくと良いと思う。

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