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#067 キャンプでの実用性は?伝統工芸のような多機能薪バサミを本音レビュー

  【木村ヒデノリのTech Magic #067 】 今回紹介するのは「炎群 homura」という多機能薪バサミだ。目を引く見た目は、金属加工職人と木地師きじし(木工ロクロ職人)がタッグを組んで実現した。特筆すべきは薪バサミに火吹きや灰かきなどさまざまな機能を持たせた点。特に薪バサミが火吹き棒になるというのは便利そうだ。実際にキャンプで使ってきたので包み隠さずレビューしたい。

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見た目からも重厚感が漂う多機能薪バサミ「炎群 homura」
実際にキャンプで実用性を検証した

ハンドメイドで製作された満足感の高い佇まい

 homuraは一生モノと思ってもらえる道具を目指して、すべてハンドメイドで製作されている。実際に手にしてみると写真で見るよりも細部まで行き届いた作りで、非常に満足できた。取手は木地師きじしという木工職人が担当し、滑らかで持ち心地が良い。木地師はろくろ師とも呼ばれ、椀や盆などの木工品を加工、製造する職人だ。日本では今から1200年ほど前に惟喬親王これたかしんのうが巻物の軸が回転する原理からろくろを思いつき、その技術を家臣の「小椋・大蔵おぐら・おおくら」などの一族へ伝えたのが始まりと言われている。こうしたゆかりのある技術が使われている点も、伝統文化に触れられるという意味で良かった。

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柄のタイプはスタンダードのヒノキと
漆加工されたものがある。漆は通常の漆と赤漆の2種

 グリップ部の素材には岐阜県産の東濃ヒノキを使用。伊勢神宮の御用材としても使われている質の高い素材で、水気・湿気に強く軽い、かつ強度や耐朽性にすぐれているとのことだ。熱伝導率も0.095と低いため、冬場に素手で使う時も冷感を防いでくれる。

 また、金属部分の溶接や焼き付け塗装も品質が高く、キャンプで思い切り使っても壊れたり剥げたりしなそうな点も気に入った。全長は薪バサミの中ではやや長めの540mmで、離れたところからでも焚き火のケアをすることができる。2軸の接合部がかなり太めのビスで固定されているので歪みづらく、重さのある太い薪も問題なくくべられそうだ。先端にはギザギザのパーツが付いているため、細い薪もすべらず掴めるように配慮されている。

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先端のパーツはギザギザになっており、薪が滑りづらい
しっかり噛み合ってしまうと開くとき余計な力が必要なので
ややズレる仕様になっている

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職人によって手曲げ加工された本体は頑強
鉄製で繊細なフォルムにもかかわらず、歪まない強度を兼ね備えている

本体のみならバランスの取れた良品だがオプションに懸念点も

 前述したようにハンドメイドで作られた本体は信頼性が高いが、実用性ではいくつか懸念点が見られた。一つは本体がやや重めな点。492gと長めな本体にしては優秀だとは思うが、小さめな焚火台にはフィットしづらい。あくまで大きめの薪を複数くべていくような焚火台に合わせるのが良いだろう。

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今回筆者は調理用途に使ったので合わなかった

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クラウドファンディングのウェブサイトには小さめのもので使う画像もあるが、
重さや小回りを考えると使いづらかった

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やはり最低でもこのくらいの焚火台で使うことを想定すると良いかもしれない

 また、オプション品を取り付けた時の重さも懸念点だ。homuraにはフックと灰かきの二つのパーツが先端につけられるようになっている。自分は用途が多そうな灰かきを選択したが、これが意外に重い。物自体の重量は139gだが、先端につけるため長さも相まってかなり重く感じる。付け方はネジを4か所締める方式なので簡単に着脱ができないので、使うのであれば最初からこの重さを受け入れなければならない。熱の問題もあって難しいのかもしれないが、せめてマグネット式であれば着脱が容易で使いやすかったかもしれない。また、オプションパーツのみチタン製にするなど、素材を変えれば重さの問題も解決できただろう。こういった部分に関しては改善の余地があると感じた。

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灰かきオプションをつけた状態
先端にかなりの重みが来るので通常の用途で使いづらくなってしまう

 もう一つ気になったのは、火吹き棒としても使えるグリップパーツだ。筆者としてもまさにここに魅力を感じて購入した部分なのだが、息の通り方が非効率と感じてしまった。元々筆者が使っていたのはVARGOヴァーゴのアルティメイトファイヤースターターだが、比べてみるとこちらの方が力を入れずに効率よく酸素を送れる印象。重さも53gと非常に軽いので、実用ではこちらに軍配が上がった。

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コンパクトに持ち運べるVARGOヴァーゴの火吹き棒は重さの面でも使いやすい
ただし、火花を起こす機構には難あり

コンセプトは非常に良いので、第2世代に期待したい製品

 火吹き棒と薪バサミを統合しようというコンセプトは非常によかったhomuraだが、実用部分であともう少し頑張って欲しい点が垣間見られた。本体の形状や長さは問題なかったので、軽さと息を送る際の抵抗をブラッシュアップしてくれれば、メーカーが提唱しているような「一生使える製品」になると感じた。次回作ではオプションパーツの重量など、更なる進化に期待したい。

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