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シェイクスピア 『ヴェニスの商人(まんがで読破)』 イースト・プレス,2009.

シェイクスピア 『ヴェニスの商人(まんがで読破)』 イースト・プレス,2009.

物語の舞台は1596年の貿易都市ヴェニス

キリスト教徒のアントーニオは,
ユダヤ人の高利貸し・シャイロックの顔に唾を吐く
驚いた.


大金持ちの相続人・ポーシャは

「あなた[ポーシャへの求婚者・バサーニオ]のために
今よりも
百倍立派に
千倍美しく
一万倍お金持ちでありたいと思っています
これからは私も含めてここのすべてはあなたのものです」 (p. 105)
「三千ダカット?たったそれだけ?
(中略)
私が倍の六千...
いいえ
三倍でも
十倍でもいい
すぐに用意するわ!(強調は筆者)」

といい,
それを言われた,
無一文以下の身で,
アントーニオに借金しているバサーニオは,
引いている.

16世紀の1ダカットの価値はわからないが,
シャイロックは,娘・ジェシカの一晩で80ダカットの散財の噂にショックを受けている.

三千ダカットあれば,
80ダカットの散財が37.5回出来る計算であり,
「すぐに用意」出来る10倍の三万ダカットでは,
1年中,毎晩散財可能
な額だ.

ポーシャの金銭感覚は,ヴェニスの大衆とはかけ離れている.

シャイロックは
当時のヴェニスの人々は,
奴隷や召使いを金で買い、
「物」と考えていると,
指摘する.


バサーニオとグラシアーノは,ポーシャ扮する法学者に

バサーニオ
俺の妻[ポーシャ]よりも君[アントーニオ]の命のほうが大事だ!
君[アントーニオ]がいなければ今の妻もない

グラシアーノ
君[アントーニオ]が助かるなら俺の妻[ネリッサ]もすべて悪魔にやってもいい!

と訴える.
友愛,BL を感じる場面だ.
しかし
この美しい友愛に2人の妻は苛立つ.
この苛立ちは「やきもち」からなのだろうか.


シャイロックは
法の解釈によってヴェニスの国法,信用をhackした気になっているが,
法学者(ポーシャ)にやりかえされ,
元金さえ戻らず,
特赦との引き換えにキリスト教に改宗させられる.


173頁で,ジェシカは,
シャイロックがジェシカにあげた亡き妻の指輪,
猿が欲しいジェシカが代金がわりにしたらしい,
と街で噂されていた指輪を着けている
ジェシカは
父・シャイロックに対し,
どのような感情を抱いているのだろうか.


ポーシャ,ネリッサ,グラシアーノは,下品な印象で好きになれなかった.

原作とは違う点もあるとは思うが,

強い不快感が残った.


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