#42 日本で感染者や死者数がなぜ少ないのか?

新型コロナウイルスへの対策として、①徹底的な検査に基づく感染者の同定と隔離、②社会全体の活動縮小、がありますが、いずれの対策ともほかの国と比べて穏やかであった日本で、なぜここまで感染者や死者数の数が欧米より少ないのか?

※6月18日の時点での死者数は、日本は939人。アメリカの約12万人、英国の4万人超と比べるとケタ違いに少ないです。
【コロナ感染状況はこちらから調べられます】
新型コロナウイルス感染 世界マップ/日本経済新聞


ノーベル賞受賞者の山中伸弥先生は、「ファクターX」と呼ぶなんらかの因子の存在が考えられるとして、以下の候補を挙げています(山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信より引用)。

ファクターXの候補
・クラスター対策班や保健所職員等による献身的なクラスター対策
・マラソンなど大規模イベント休止、休校要請により国民が早期(2月後半)から危機感を共有
・マスク着用や毎日の入浴などの高い衛生意識
・ハグや握手、大声での会話などが少ない生活文化
・日本人の遺伝的要因
・BCG接種など、何らかの公衆衛生政策の影響
・2020年1月までの、何らかのウイルス感染の影響
・ウイルスの遺伝子変異の影響

ニューヨークでは、マスク着用によって感染ペースが下がったという話がありますし、手洗い、うがい等の高い衛生意識は間違いなく感染症に効果があります。また、ハグやキスなどの習慣の違い、言われたことは愚直に守ろうとする国民性・・・色々な複合要因が重なっていると考えるのが妥当だと考えます。

粘膜免疫がカギ?

さて、ファクターXなるものがまだ何か分からない状況ではありますが、非常に興味深い仮説がありましたので紹介します(注:ただし、これはまだ証明されておらず、正しいかはまだ分かりません)。

健康産業新聞「免疫グロブリンAからみた新型コロナウイルス感染リスクの可能性」(前編)山本哲郎

健康産業新聞「免疫グロブリンAからみた新型コロナウイルス感染リスクの可能性」(後編)山本哲郎

↓英語版↓

Watanabe S, Naito Y and Yamamoto T. Host Factors That Aggravate COVID-19 Pneumonia. Int J Fam Med Prim Care. 1(3):1011. 2020


その仮説は「粘膜免疫」に関するものです。

「粘膜免疫」とはウイルスや細菌などが入ってきた際に、最初に接触する粘膜部分でバリア機能を果たすものです。この粘膜免疫で中心的な役割を果たす免疫物質がIgAと呼ばれる物質。この量が多いほど、自然免疫が強く、異物を排除しやすいと考えられています。

さて、このIgA濃度(基準値:110−410mg/mL)が極端に低い、いわゆるIgA欠損症(4歳以上で7mg/mL未満)の比率は国ごとに大きく異なり、スペインは163人に1人、イギリスは875人に1人、ブラジルは965人に1人、アメリカは223〜1000に1人、中国は2,600〜5,300人に1人、日本人では極めて少なく14,840〜18,500人に1人とのことです。

今回の新型コロナウイルスとの爆発的感染パターンとよく相関しているように見えて、非常に興味深いです。

粘膜免疫を強化する食べ物=発酵食品?

日本人は発酵食品を多く摂っているので、もしかしたらその中に粘膜免疫を強化する食べ物が含まれているのでは?と思って調べてみました。

その結果、いくつか面白い研究や素材を見つけたので紹介したいところですが、もう少し読み込んでからご紹介します。お楽しみに(^^)

それではまた明日!

<了>

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