【書籍】北の地で花開く夢ー香田誉士史と高校野球の挑戦
『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp272「8月23日:常識破りの努力(香田誉士史 西部ガス硬式野球部コーチ・駒澤大学附属苫小牧高等学校野球部元監督)」を取り上げたいと思います。
香田氏が語る物語は、単なる高校野球の成功談を超え、北海道の冷酷な冬という自然の壁に直面しながら、彼と彼のチームがどのようにしてその壁を乗り越え、最終的には全国の舞台で輝かしい成果を収めたのか、その過程は多くの教訓とインスピレーションを提供します。
北海道の厳しい冬の条件下では、日が落ちるのが早く、雪がグラウンドを覆うため、野球の練習は極めて困難でした。地域的なこのハンディキャップは、北海道のチームが本州のチームに対して不利であるという固定観念を生み出しました。しかし、香田氏はこの固定観念に挑戦し、物理的な障壁を克服するために、ブルドーザーを使用して雪を除去するという画期的な手段に訴えました。この行動は、ただ単に雪を取り除く以上の意味を持っていました。それは、どんな障壁も団結力と創造的な思考で乗り越えることができるという強いメッセージをチームに伝えたのです。
香田氏の指導の下で、チームはただ技術を磨くだけではなく、防御と攻撃の両方での連携力を強化しました。野球とは、個々のプレーヤーの技術だけでなく、チームとしての一体感や戦略が試されるスポーツです。冬場に練習を重ねることで、チームは肉体的な強さだけでなく、精神的な強さも養いました。厳しい条件下での練習は、選手たちを精神的に鍛え、寒さや他の困難に直面しても屈しない強い意志を育てました。
甲子園出場、そして日本一という目標を達成したことは、香田氏と彼のチームにとって、ただの勝利以上の意味を持ちました。それは、不可能と思われる障壁を乗り越えることができるという信念の勝利であり、北海道の冬という厳しい条件下でも、夢を追い続ける勇気を持つことの価値を示しました。彼らの成功は、北海道の野球界に新たな希望をもたらし、地域にプライドを与えました。それはまた、選手だけでなく、スタッフや選手の家族、そして地域社会全体が一つの目標に向かって協力することの重要性を示唆します。
香田氏の物語は、野球を超えて、あらゆる分野で夢を追い求める人々にとって大きなモチベーションとなります。障壁は乗り越えられない壁ではなく、自らを超え、成長する機会であるという教訓を与えてくれます。彼の教え、「姿即心、心即姿」は、成功への道は内面の姿勢から始まり、それが外に表れるという深い洞察を提供します。そして、強い信念と一致団結した努力があれば、最も遠大な目標も達成可能であることを教えてくれます。香田氏の経験から得られる最も価値ある教訓は、限界を超えることのできる無限の可能性が私たち自身の中にあることを信じる勇気を持つことです。
人事としての応用
香田氏の経験は、人事に従事する者が取り組むべき多くの側面に光を当てています。北海道の冬という厳しい環境下でのチームビルディング、目標達成のためのリーダーシップ、組織力の強化、そして常識に挑む姿勢など、これらの要素は人事の分野においても非常に重要です。以下に、これらの点について詳しく掘り下げ、人事の専門家としてどのように活用できるかを探ります。
厳しい環境下でのモチベーションとエンゲージメントの維持
香田氏は、冬という自然環境の厳しさを乗り越えるために非常識とも言える方法を取りました。これは、困難な状況下でもチームの士気を保つためには、創造的かつ柔軟なアプローチが必要であることを示しています。人事管理においても、リストラ、経営危機、またはパンデミックのような予期せぬ事態が発生した場合、従業員の不安を和らげ、モチベーションを維持するためには、伝統的な枠を超えた施策が求められます。例えば、リモートワークの普及、フレキシブルな勤務時間の導入、ウェルネスプログラムの強化など、従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう支援することが重要です。
チームビルディングと組織力の向上
個々人の技術向上だけでなく、チーム全体の協働を強化することの重要性は、人事領域においても同様です。部門間のシナジーを生み出し、異なるバックグラウンドを持つメンバーが一つの目標に向かって努力する組織文化を育成することは、企業の成功に直結します。人事部は、クロスファンクショナルなプロジェクトチームの設立、メンターシッププログラムの展開、チームビルディングのための研修やワークショップの実施などを通じて、これを促進できます。
明確なビジョンの共有とリーダーシップ
香田氏が北海道での優勝という明確な目標を掲げ、チーム全体にそのビジョンを共有し続けたことは、組織におけるリーダーシップの模範です。人事部は、経営陣と連携し、会社のビジョンや戦略を明確にし、それを従業員に効果的に伝える役割を担います。社内コミュニケーションの強化、透明性の確保、そして従業員が会社の大きな目標にどのように貢献しているかを理解できるようにすることで、全員が同じ方向を向いて努力できるようになります。
常識に挑む姿勢
最後に、常識に囚われず、新しい方法を試みることの価値は、特に急速に変化する現代のビジネス環境において、人事管理の領域で非常に重要です。採用プロセスのデジタル化、パフォーマンス評価の革新、リモートワークやフレキシブルな働き方の推進など、変化に適応し、組織を前進させるためには、常識に挑み続ける必要があります。人事部がこのような姿勢を示すことで、組織全体のイノベーション文化を育むことができます。
香田氏の取り組みから学ぶことは多くあります。厳しい環境下での挑戦、チームビルディングの重要性、リーダーシップの果たす役割、そして常識に挑む姿勢は、人事管理の分野においても、非常に価値のある教訓となります。これらの原則を活用することで、人事専門家としても、組織の持続可能な成長と成功を支援することができるでしょう。
厳しい北海道の冬の中で練習を続ける高校野球チームの姿を描いています。ブルドーザーで雪をかき分けるコーチの先導のもと、選手たちは投球、バッティング、フィールディングの練習に励んでいます。彼らの姿からは、逆境を乗り越える決意と団結力、そして極限状態でのトレーニングへの革新的なアプローチが感じられます。画像は、早く暗くなる空と広大な雪景色を背景に、この厳しい冬を克服する彼らのストーリーを強調しています。
1日1話、「生き方」のバイブルとなるような滋味に富む感動実話を中心に365篇収録されています。素晴らしい書籍です。
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