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【書籍】自己超越の旅路ー堀文子氏と学ぶ、不安を力に変える生き方

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp181「5月28日:いつも不安の中に身を置いておく(堀文子 日本画家)」を取り上げたいと思います。

 堀文子氏は日本の著名な画家であり、彼女の芸術と人生哲学は多くの人々に影響を与えてきました。若い頃、女子美術専門学校を卒業したばかりの彼女が出品した絵が賞を受賞し、一躍注目の的になったことがあります。しかし、この時彼女は自分が若い女性であることが注目の一因であると冷静に分析し、若さによる一時的な注目に流されず、本質的な価値を追求することの重要性を自覚しました。彼女は、若い時に周囲からの過度な賞賛によって自己を見失い、堕落してしまう人々を警戒し、自分の人生と芸術への道を自ら切り拓くことの大切さを語っています。

 堀氏は、自分自身を堕落させるのも、高めるのも自分次第であるという強い信念を持っています。彼女は他人に依存することを避け、個々人の運命が異なるように、自分独自の道を開拓することの重要性を強調しています。彼女にとって、安全な道を選ぶことは避け、不安や未知を受け入れることによってのみ、真の成長と創造性が得られると考えています。この姿勢は、大通りを避け、獣道を選ぶという比喩を通じて、彼女がいつも新しい挑戦を求め、既成の枠を超えようとする強い意志を示しています。

 芸術家としての生計を立てるために、堀氏は絵本の制作にも手を広げました。しかし、この分野でも彼女の作品が注目され、児童教育委員会などから仕事が舞い込むようになると、再び周囲からの注目に警戒を感じ、絵本の仕事をやめる決断をしました。彼女は、常に周囲からのちやほやされる状況を避け、自分自身の道を追求することを選んだのです。

 堀氏の芸術観においては、絵は他人から学ぶものではなく、自分自身の内面が直接表現されるものであるという考えが根底にあります。彼女は、自分の内面のだらしなさや弱さが作品に直接反映されるため、常に自分を未知の挑戦に投じ、不安の中で生きることの大切さを語っています。彼女にとって、常に不安の中に身を置き、昨日の自分を超えていくことが、成長と自己実現の鍵であると言えます。彼女は、「学ぶ」よりも「壊す」ことを重視し、過ぎ去ったことを忘れて常に新しい自分に挑戦する姿勢を持ち続けています。

 また、堀氏は、過去の成功に固執することなく、常に自分を空っぽに保ち、新しいインスピレーションを受け入れる準備をしていると述べています。この姿勢は、彼女がいつも新しい可能性を追求し、未知の領域に挑戦するための心構えを示しています。彼女にとって、過去の作品は一度完成したらその役割を終え、新たな創造のためのスペースを空ける必要があるという考えです。

絵は他の人から学ぶことはできない。ただ、自分のだらしなさが直に表れます。ですから自分がいつも未知の谷に飛び込むこと。不安の中に身を投げていなければダメだと思っております。いつも不安の中に身を置いて、昨日をぶち壊していくということです。ですから学ぶよりも「壊す」というのが私のやり方です。そして、過ぎたことを忘れることです。きょう出品したものはお葬式が済んだ後ですから、もう一度はやれません。

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)p181より引用

 堀氏の人生哲学と芸術観は、安全で確実な道を選ぶのではなく、常に新しい挑戦を受け入れ、自己破壊と再生を通じて成長を遂げることの大切さを教えています。彼女の作品と人生からは、自己実現のためには、不安や未知を恐れずに受け入れ、自分自身を常に更新し続ける勇気が必要であるという強いメッセージが伝わってきます。

人事として考えること

 堀氏の言葉と生き様からは、一個人の成長や変化、そして挑戦の重要性が伝わってきます。これらの価値観は、人事管理の分野においても深い洞察と示唆を提供しています。以下では、堀氏の哲学さらに考察してみます。

自己啓発と自立の促進

 堀氏は「自分を堕落させるのも良くするのも自分」と述べており、これは自己責任と自立の精神を強調しています。人事部門は、従業員が自らのキャリアと成長を自分の手で築き上げるために、必要なリソースと機会を提供する役割を担います。これには、目標設定の支援、キャリアパスの相談、プロフェッショナルスキルやリーダーシップの研修などが含まれます。さらに、従業員が自らの強みと弱みを自覚し、それらを活かすための環境を整えることが重要です。これにより、個人の自立心と自発性を促進し、組織全体の革新と成長に貢献します。

挑戦とイノベーションの文化構築

 「誰もしないことを開拓しなければダメだ」という堀氏の言葉は、新しい挑戦を恐れずに進む姿勢を示しています。人事部門は、従業員が安全圏から一歩踏み出し、新しいアイデアやプロジェクトに挑戦する文化を促進する責任があります。これは、失敗を許容し、それを学びの機会として捉える組織文化の確立を意味します。イノベーションは失敗を恐れずに試行錯誤することから生まれます。人事部門は、イノベーションを促進するために、リスクを取ることを奨励し、支援するメカニズムを作る必要があります。

継続的学習と成長の環境

 堀氏が「学ぶよりも『壊す』」と表現することは、常に現状に挑戦し、自己超越を目指す精神を象徴しています。人事部門は、従業員が常に新しい知識を学び、スキルを磨き、自身の限界を超えて成長するための支援を行うべきです。これには、継続的な教育プログラム、eラーニングコース、メンターシッププログラム、そしてクロスファンクショナルなプロジェクトへの参加機会の提供が含まれます。また、従業員が自らの業務やプロジェクトから学び、反省し、成長するためのフィードバックループの確立も重要です。

変革と適応の促進

 「いつも自分を空っぽにしておかないと新しい水は入ってこない」という堀氏の考え方は、自己変革と適応の重要性を教えてくれます。人事部門は、従業員が変化する環境や新しい要求に柔軟に適応できるように、支援と環境を提供する必要があります。これには、キャリアの再設計、スキルの再編成、そしてライフステージや個人の目標に応じた多様な働き方の選択肢を提供することが含まれます。また、従業員が自己反省し、自己変革を促すためのツールやプログラムの提供も重要です。

まとめ

 堀氏の生き方や哲学からは、人事管理においても大切な教訓を学ぶことができます。自己啓発、挑戦、学習、変革の重要性は、個人だけでなく組織にとっても不可欠です。人事部門は、これらの価値を組織文化に根付かせ、従業員が自らの可能性を最大限に発揮し、組織全体が持続的に成長し続けるための環境を提供することが求められます。堀さんの言葉を借りれば、「いつも不安の中に身を置いて、昨日をぶち壊していく」という精神で、絶えず自己を更新し、組織の未来を切り拓いていく姿勢が重要となるでしょう。

自己発見と独自の挑戦を追求する旅を象徴する、少なくとも通られた道の芸術的解釈を特徴とする、静かな広大な風景を描いています。神秘的な森の中に設定されたこのシーンは、よく踏まれた広い道路から分岐する、狭く曲がりくねった小道が森の奥深くに続く様子を示しています。森は、密な樹冠を通して柔らかく霊的な光が漏れ、穏やかな影を作り出し、平和な雰囲気を醸し出しています。この小道に沿って、不確実性の中でのガイダンスを表す開かれた本、絵筆、ランタンなどの象徴的な要素が散りばめられています。このアートワークは、未知を受け入れ、自分だけの道を切り開くという哲学を体現しており、著名な日本の芸術家の生涯と教えに触発されています。そのスタイルは柔らかく、招き入れるようであり、深みと神秘感を持っており、個人の成長の重要性と少なくとも通られた道の美しさを考えることを視聴者に促しています。


1日1話、読めば思わず目頭が熱くなる感動ストーリーが、365篇収録されています。仕事にはもちろんですが、人生にもいろいろな気づきを与えてくれます。素晴らしい書籍です。




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