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蚊の倒し方
昔、野球をしていた同僚に蚊の倒し方を聞いた事がある。
両手で叩こうとすると空気が圧縮されて逃げやすいけど、
片手ではたけば簡単に倒せますよ
との事だった。
それまで私は拍手をするように蚊を叩こうとしてきた。
もしくは、血を吸われている間にパチンと叩いてた。
同僚はいつも空中を飛んでいる蚊をバレーでアタックするように
片手ではたいていた。
はたかれた蚊は地面でピクピクと満身創痍になるかピクリとも
動かなくなっていた。
凄い技術だ。画期的な倒し方だった。
しかし、実際やってみて2つ問題が出てきた。
①飛んでいる蚊を目で追う動体視力が必要
②はたくには、腕の振りが上手でなければならない
問題1は、不規則に動く蚊を目で追える必要がある。
気が付いたら見失う私の動体視力では難しい。
問題2は、私が壊滅的な運動能力の持ち主だった事だ。
遠投のテストで思い切りなげると下にボールを叩きつけてしまい、
更には肩が痛くなるような男だった。
そんな訳で、せっかくの画期的な倒し方を教えてもらったのに活用することなく生活していた。
2年くらい前に、近所の小学生とキャッチボールをする機会があり、子供の方に上手くなげれない自分に嫌気がさした。
一念発起して投げる練習を初め、同僚からも投球フォームの指導を受けた。
それから毎日数分のシャドーピッチングが始まった。
1年目は大した向上も見られず、ただ過ぎていった。
2年目になると、ブンッという腕の振りの音が、ピュッに変わっていった。
そして、蚊が飛んでいたので何気なく片手ではたくと地面には弱って飛べなくなった蚊が落ちていた。
これだったんだ!と頭でなく腑に落ちるように納得できた。
問題1の動体視力は改善しなかったけど、思い通りの軌道で手が振れるようになると何とかなった。
あれから実際にボールを投げる機会はなくひたすらシャドーピッチングの毎日で、たぶん実際にボールは投げる能力は向上していないけど、別の方向で活用されている。
何事も継続して意味があるかどうかなんて分からないけど、やらないよりもやってみた方が良いんじゃないかと思った、そんな話です。
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