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野球と暴力 元永和宏 を読んだ

ふと思い返してみると、小さい頃に親にゲンコツされたり、学校の先生に頭を叩かれたことがあった。僕はそれが暴力とは思っていないし、なんの恨みもないけど、今考えるとそれは暴力に該当するのだと思う。
僕自身が、暴力を受けたとは思っていない。この感覚の危険性をこの本を読んで感じた。
僕は暴力を振ったことも、振るつもりもないが、その感覚で選手に暴力を振ってしまう指導者はいるのではないかと想像した。
この本に出てくる、仙台育英高校前監督の佐々木さんの「いい親父になれ」という言葉はとても面白いと思う。
人として成長するうえで、暴力は決して必要ない。大人も子どもも選手も指導者も。
この本は、野球界の暴力について、過去と今の視点から、異なる環境の指導者のインタビューを交え問題を探っていく。
生々しさやジレンマ、野球のあるべき未来を感じることが出来る本だ。

メモ
•野球と暴力はいまだに親和性が高い。
•野球界では、ある種の洗脳が行われていたと言ってもいいかもしれない。
•勝者が歴史をつくるのが真実なのだとすれば、暴力を排除した指導を行うチームが勝利を積み重ねることでしか、現状を変えることができないことになる。

中矢信行さん(元愛媛県高野連審判長)
•本当に技術を持って指導に当たる人は、選手を叩くことはないと思う。教える技術が未熟な場合には、自分の考えをうまく伝えられなくて、手が出るかもしれんね。

三谷志郎さん(今治西、早稲田大学OB)
•一言注意しただけで理解できる部員もいれば、何回叱ってもわからない子もいる、

渡辺俊介さん(元千葉ロッテマリーンズ)
•もし暴力的な指導が有効なのであれば、陸上競技の100メートルを走る選手をスタート前に叩けばいい。
•平岩さん(元110Mハードル日本記録保持者)とトレーニングをして、殴られなくても、怒鳴らなくても、厳しい指導ができるということを知りました。
•僕がコーチになってから、「はい」と「大丈夫です」は禁止しました。

田中聡さん(元日本ハムファイターズ)
•みんな、勝とう、勝とうと思いすぎですよ、指導者が前のめりになりすぎじゃないですか。
•甲子園に出ることやプロ野球選手になることだけが、野球の楽しみではない。

菅原勇一郎さん(立教大学OB、株式会社玉子屋社長)
•「野球はチームスポーツで、誰かを責めるものじゃないでしょ」と息子さんに言われた

阪長友仁さん(立教大学OB)
•指導者と選手は対等です。どちらが偉いわけではない。

島田裕己さん(宗教学者)
•おかしいことをおかしいと認識していないところが、一番の問題じゃないですか。
•野球界は巨大な閉鎖社会だと感じます。

佐々木順一朗(元仙台育英監督)
•勉強して、論文を調べたんですが、野球関係の研究が少ないことに驚きました。野球界自体が勉強してないんだと思いました。

喜入友浩さん(東京大学OB、TBSアナウンサー)
•東大と公立高校が強くなることが、日本の野球界を変えるきっかけになると思っています。

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