見出し画像

映画「テーラー 人生の仕立て屋」(Tailor, 2020, ギリシア・独・ベルギー, 監督 Sonia Liza Kenterman)

時間が短めで配信で安く見られる映画を探していて、巡り会った映画。とてもよかった。男性スーツの仕立て屋さんの話である。

ニコスは16歳から40年以上もの間、父が開いた仕立て屋で働いてる。父はかなり年老いたのでニコスが主力戦力だけど、商売はうまくいっていない。ギリシア・アテネの目抜き通りに構えた店には閑古鳥が鳴いている。

とうとう銀行から呼び出された。父とふたりで出向くと、借金を返してないので、差し押さえをするという。そのショックで父は倒れてしまった。策を考えるニコス。まずは即席で屋台をつくってオープンマーケットで仕立て屋屋台を開いた。でも、そんなところにスーツを仕立てにくる客など皆無である。

あるとき、屋台を引っ張っていると、掃除の仕事をしている女性に呼び止められた。娘のウェディングドレスを作ってくれない?女性の服はつくってないと一度は断ったニコスだけど、お金がないので背に腹は代えられない。郊外にある女性の自宅へ行き、その娘の採寸をした。

でも、女性服のつくりかたがわからない。向かいのアパートに住んでいるお茶目な少女ヴィクトリアの母親オルガに教えを請うことにした。ウェディングドレスをつくりながら、郊外に屋台を開きオルガのつくった服など飾ってみると、だんだん女性客がついてきた。ウェディングドレスをつくってほしいという女性がどんどんでてきた。なかなか調子がよい。

これで借金が返せるかと思いきや、なかなかうまくいかない。ニコスとオルガの距離が縮まっていて、タクシー運転手を務めるオルガの夫がよく思っていない。差し押さえも目前である。父親は、女性服の仕事など張り子の仕事だと見下している。ニコスはどうするのだろうか。

ギリシア映画を久しぶりに見た気がする。晴れ上がった空の下、アテネやその郊外、そしてエーゲ海が見られて、リゾートにいる気分。天候に恵まれているから仕立て屋屋台が成立するのだとつくづく思う。ニコスを演じるディミトリ・イメロスの演技はすごい。どうもギリシアの有名な俳優らしい。知らなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?