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センサの誤差補正と測定誤差について

測定機器を使って何かを測定する場合、測定誤差は付き物です。どんな正確な測定機でも、測定機器固有の自己ノイズや外部ノイズが存在します。また、測定機に使用されているセンサ自体にも、そのセンサ固有のクセみたいなものがあります。センサ固有のクセを予め正確な実験で測定して把握し、測定値を手直しすることをキャリブレーション(補正/補償)と言います。

キャリブレーションを行なうことで、センサ固有のクセを取り除いて正確な測定値を推定することができます。もちろん、そのためには測定機器自体の自己ノイズや、外部環境由来の外部ノイズも少なくする工夫が必要です。

自己ノイズを抑制するためには、測定制御回路に使用するICを厳選することです。最近では自己ノイズレベルが極限まで高めた低ノイズレベルのICがあります。このような高精度なICを利用することで、測定機器自体から出る自己ノイズを低減することができます。

ただし、外部ノイズはどうすることも出来ません。我々が完成を目指している探査装置の場合、外部ノイズの原因は商用電源からの電磁ノイズや電車等の架線から出る電磁ノイズです。そのため、余程人里離れた場所でないと、人工的な電磁ノイズを避けることは出来ません。

そこで考えられるのは、観測データに含まれるノイズを、欲しい信号(シグナル)から分離することです。信号の大きさがノイズの大きさより十分大きい場合、これをSN比が高い状態といますが、ノイズとシグナルの分離は比較的簡単です。しかし、ノイズが極端に大きく、SN比が低い場合には、ノイズの分離は難しくなります。

現在、低SN比環境下でのノイズ除去に様々な方法を使って取り組んでいます。もう少しの所まで来ているのですが、決定打が見つかりません。ちょっともどかしい気はしますが、これが研究の醍醐味です。

ちなみに醍醐だいごは仏教用語ですが、牛乳を精製する最後の過程でできる、最も上質な食べ物のことを指します。牛乳は、乳⇒らく生蘇しょうそ熟蘇じゅくそ⇒醍醐、という順番で生成されていきます。研究の進み具合で言うと、いまは”生蘇/熟蘇”レベルです。早く醍醐を味わいたいと思っています。

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