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ヒルベルト変換について

ヒルベルト変換(Hilbert transform)は、実変数関数 u(t) を別の実変数関数 H(u)(t) へと写す線型作用素のことを言います。実用面でのヒルベルト変換は、主に時系列データの信号処理に使われています。ヒルベルト変換は、時間領域ではu(t)と1⁄πt とのコンボリューション(畳み込み)で表現されます。

この変換は、ドイツの数学者であるヒルベルト(David Hilbert)によって考案されました。ヒルベルトの業績は、抽象代数学・代数的整数論・積分方程式・関数解析学・幾何学などの多岐にわたり、『現代数学の父』と呼ばれています。

ヒルベルト変換の実際の計算は、コンボリューションを使っても計算できますが、多くの場合はフーリエ変換とフーリエ逆変換を使って計算します。ヒルベルト変換自体は、実変数関数から実変数関数への変換です。しかし、元の時系列を実部に、ヒルベルト変換後の時系列を虚部に持つ複素関数を考えると、時系列データの隠れた性質が導き出せます。この複素データは、解析信号(analytic signal)と呼ばれています。

解析信号の絶対値は、瞬時振幅と呼ばれ、ある時間での振幅となります。この瞬間振幅を繋ぎ合わせると、元の時系列データの包絡線が描けます。また、この瞬時振幅の時間変化は瞬時位相と呼ばれ、その瞬間瞬間での位相の変化を表わします。この瞬時位相がわかると、周期的な変化をする現象の微妙な位相の変化を捉えることができます。

ヒルベルトさんは、実用面などは一切考慮せずにヒルベルト変換を考案したのでしょうが、実用的な時系列データ処理に応用されています。今日の午前中、”拡張ヒルベルト変換”という高精度なアルゴリズムの論文を見つけました。まだ概要を理解しただけですが、これを使うと高精度に位相が計算できるそうです。

まだまだ知らないことが多そうです。連休中ですが、ちょっとだけ勉強しました。

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