見出し画像

オッカムのカミソリと”KISS”

オッカムの剃刀かみそりとは、「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くを仮定するべきでない」とする指針のことです。これは、14世紀の哲学者・神学者である”オッカムのウイリアム(William of Ockham)”が多用したことで有名になりました。

ところで、”オッカムのカミソリ”については結構前から知っていましたが、当然オッカムさんという名前の人かと思っていました。もちろん、名前の一部ではあるのですが、オッカムが厳密には地名です。レオナル・ド・ダビンチが”ダビンチ村のレオナルド”であるように、”オッカム村(?)のウィリアム”というのが本当の意味です。

オッカムは地名ですが、後半のカミソリは何を意味しているのでしょうか?。このカミソリという言葉は、「説明に不要な存在(複雑さ/冗長さ)を切り落とすこと」の比喩として使われています。オッカムのカミソリは、「説明するために必要以上に多くの仮定を用いるべきではない」や「説明する理論・法則は比較的に単純な方がよい」などの意味で使用されることが多いため、この指針は”思考節約の原理”また”ケチの原理”と呼ばれることもあります。

必要が無いなら多くのものを定立してはならない。少数の論理でよい場合は多数の論理を定立してはならない。

by オッカムのウィリアム

よりシンプルな答えこそ好ましく、往々にしてそれは正しい―とする神学者オッカム思考指針は、皮肉なことに科学を宗教の支配から解放し、その後の地動説・量子力学・DNAの発見など、多くの科学的偉業を支えることになりました。私はまだ読んだことがないのですが、その辺の詳しいことは下記の本に書かれているそうです。興味があればご一読を。

コンピュータの世界でも、同じような意味で使われる有名な4文字があります。それは”KISS”です。これはキスと同じ綴りですが、そのような意味ではなく、”Keep It Simple, Stupid! (単純に考えろ、馬鹿野郎!)”の省略形です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?